初夏のフルーツ、イチジク。濃厚な甘味があり、プチプチとした食感も楽しいイチジクは生食するほか、ドライフルーツとしても楽しまれていますね。イチジクは古くから世界中で愛され、フルーツとしてだけではなく、天ぷらとして、また、ソースとして利用されることもあります。今回はそんなイチジクの栄養価やおいしいレシピをご紹介します。
目次
イチジクとはどのような果物
イチジクは、クワ科の落葉小高木で、大きくて肉厚な葉をつけます。原産地は現在特定されていませんが、アラビア半島を中心とする西アジアとする説が有力視されています。当地では今から6500年ほど前からイチジクを栽培し、利用していたとされ、紀元前1400年頃には古代エジプトを経てギリシアにも伝わっていたといいます。
ギリシア神話や旧約聖書にも、イチジクが登場する話があり、当時から人々に愛されていたことをうかがい知ることができます。日本には、江戸時代に薬用植物として持ち込まれたとされていますが、持ち込んだ国や人物に関することは詳しくは分っていません。
ところで、イチジクは漢字で書くと「無花果」。この名前や漢字の意味はご存じでしょうか?イチジクの可食部は、果実ではなく花なのです。皮をむいた内側のジューシーでツブツブとした部分に小さな花が集まっているのです。そのため、花を見ることなく実がなる、という意味でこの漢字が当てられています。
イチジクの栄養価とは?
① カリウム
カリウムは主に私たちの細胞内液に含まれ、過剰に摂取したナトリウムを排泄する働きがあり、血圧の安定に効果があります。また、利尿効果があるためむくみを予防する働き、カルシウムの沈着を助け、骨粗しょう症の予防に効果があります。
イチジク100gあたり、170mgのカリウムが含まれています。
② カルシウム
カルシウムは私たちの体内に含まれる総量のうち、99%が骨や歯に蓄えられています。残り1%は血液や体液中に含まれ、止血を助け、神経伝達や筋肉の動きを促し、生命活動の維持を行う役割を果たす栄養素のひとつです。
イチジク100gあたり、26mgのカルシウムを含んでいます。
③ 鉄
鉄は成人の体内に3~4グラム存在しています。そのうち約70%は血液の中のヘモグロビンに含まれ、体の隅々まで酸素を運ぶ役割を担っています。鉄分が不足すると、体の隅々まで酸素が行き渡らなくなるため、心臓は酸素をいきわたらせるためにより多くの血液を送り出さなければいけません。そのため、動機や息切れが多くなります。
残り25%は肝臓に貯蔵されています。
イチジク100gあたり、0.3mgの鉄を含んでいます。
④ 食物繊維
イチジクには、ペクチンという食物繊維が多く含まれています。これは主に植物の種子や皮の周りに含まれているもので、腸内で水分を抱えて便を柔らかくし、便秘を解消する働きがあります。
また、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整える働きも期待できます。
さらに、急激な血糖値の上昇を抑え、血糖値をコントロールし、胆汁酸の吸収を抑えて悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を低下させる働きがあります。
イチジク100gあたり、0.7gの水溶性食物繊維、1.2gの不溶性食物繊維を含んでいます。
⑤ アントシアニンなど
・アントシアニン
イチジクの皮や実の赤色成分は、抗酸化物質、アントシアニンの一種、アニジン-3-ラムノシドが含まれています。アントシアニンは目の疲れを癒す効果のほか、抗酸化作用が強く、肌あれや老化予防にも効果があることが確認されています。
・クロロゲン酸、クマリン、ルテインなど
イチジクには、アントシアニン以外にも多くのポリフェノールやカロテノイドが含まれています。そのため、さまざまなストレスによって発生する活性酸素を除去し、老化防止、抗ガンなどの働きが期待されています。
いにしえより不老長寿の果物として、生薬として利用されてきたのも、このような効果を体感されていたからなのかもしれませんね。
イチジクの選び方
イチジクは丸みを帯びていて果皮に痛みやシワがなく、甘い香りがしているものがおいしいものです。ヘタの断面は白いものが新しく、茶色くしなびたものは鮮度が落ちています。
なお、イチジクは傷みやすいので生での保存には向きません。できるだけ早く食べるか、ジャムにしたり、薄切りにして冷凍し、アイスクリームなどに添えたりするとその美味しさをゆっくりと楽しむことができます。
イチジクのおすすめレシピ
【イチジクのカラメリゼ】
購入したイチジクが思いのほか固かったときなど、バターと砂糖でさっと焼いて、香ばしく温かいデザートにしてみませんか?シナモンともとても相性が良いので、あればひとふりしてみてくださいね。
【材料】 2人分
イチジク 2個
砂糖 大さじ2
バター 大さじ2
シナモン 少々
バニラアイスクリーム 適宜
【作り方】
① イチジクはさっと洗ってヘタを落とし、横半分に切る。皮を食べることが気になる場合は薄くむくとよいです。
② 冷たいフライパンにバターを入れ、弱火にかけて溶かし、砂糖を振り入れます。
③ 砂糖が溶けて茶色く焦げてきたら①のイチジクを入れ、両面をさっと温めるように焼きます。
④ ③のイチジクを皿に盛り、ソースを回しかけて好みでバニラアイスを添え、シナモンパウダーをふりかけます。
『イチジクのレシピ』まとめ
甘くてプチプチとした食感のイチジク、ご実家に木が植えてあり、もいで食べた記憶をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?食物繊維も豊富なイチジクは、旬を過ぎてしまってもドライフルーツのものを入手することができます。
生薬としても利用されてきたイチジク、頻繁に便秘や下痢を起こす方は特に、一年を通して少しずつ口にして、少しずつ胃腸の調子が整っていくとよいですね。