40代と言えば、親の年齢が70代前後となり、中には何らかの介護や要支援認定を受けられる方も出てくるころではないでしょうか?
「親の介護なんてまだまだ先のこと」などと思っていても、実は身近に迫っているかもしれません。
今回は、急な介護生活に戸惑わないための備えについてご紹介します。
目次
40代は親の介護が身近になってくる
冒頭でもお伝えした通り、40代の方々の親世代といえば、そろそろ70代も半ばを迎えられている場合が多いですね。
周りの同級生との会話でも、親の介護についての話題が上がってくることもあるでしょう。
「うちは両親ともに元気だから大丈夫!」などと思っていても、介護生活はある日突然にやってくるものです。
要支援・要介護者の年齢別人数
下の図は、令和4年3月現在の介護給付費実態統計をグラフに表したものです。
このグラフを見ると、要介護者数は70代前半から増えはじめていることが確認できます。
これは、年齢をかさねるほどに、寝たきりとまではいかなくても何らかの介護を受けて生活している方が増えていることを表しています。
今まで元気だった親世代が要支援、要介護認定を受けなければならなくなるきっかけにはさまざまな種類があります。
入院を伴うような大きな怪我や疾患だけでなく、ちょっとした病気やけがにより、ほんの数日間寝込んでしまったこと、また、パートナーやペットとの死別によるショック、今まで同居していた子どもが結婚や仕事の転勤で離れて暮らすことになって気落ちしたことなどもあり得ます。
年齢があがるほどに要介護度が高い方の人数が増えてきていることから、70代前半は要介護度1または2であったとしても、その後、年齢をかさねるごとに要介護度も上がっている方が増えていることが推測されます。
一般的な介護期間
一方、下の図は、令和3年度生命保険に関する全国実態調査(生命保険文化センター)から、介護に要した期間を抜粋したものです。
平均で約5年、中には10年以上も介護を続けた例も報告されています。
介護は長い期間にわたるものであることの認識を持つ必要がありますね。
介護生活が始まる前に考えておきたい事
このように、健康に自信がある方であっても、年齢をかさねるほどにちょっとしたきっかけで急に要支援、要介護になってしまうことがあります。
老人ホームに入らず、自宅で生活を続ける場合は、ヘルパーの介助を受けることもできます。
しかし、生活のすべてを任せることは難しいため、当然のことながら、家族も何らかの援助を行うことが必要になります。
介護と仕事の両立
要支援度・要介護度によっては、毎日ヘルパーさんに来てもらうことができずに、家族が見守らなければならない日が少なからず発生します。
そのため、仕事を欠勤したり、中には転職が必要になったりする場合があります。
いくつかの要件を満たしている必要はありますが、育児・介護休業法の両立支援制度を利用し、介護休業や介護休暇を取得することができます。
また、企業や職種によっては在宅勤務を選択し、仕事と介護を両立できる場合もありますので、勤務先に確認してみるとよいでしょう。
精神的負担の軽減
何の気がねなく、今まで仲良く過ごしてきた実の親を介護するということは、他人を介護するよりも精神的な負担が大きくなりやすい、という声をよく耳にします。
子どもの立場からすると、「実の親だからこそ今まで育ててくれた恩がある。できるだけのことをしてあげたい」という想いの一方で、「自分が築いた家族や、やらなければいけない仕事を放置するわけにはいかない」という葛藤もあるでしょう。
一方、親の立場にから考えると、体が思うように動かないストレスや、やってほしいこと、伝えたい思いがうまく伝わらないジレンマがあるかもしれません。
今まで仲良く過ごしてきた実の親子だからこそ、遠慮なく言いたいことを言ってしまい、時には感情的になって後で後悔したり、やりどころのないストレスを抱えてしまったりすることがあります。
親とあらかじめ介護について話しておく
このように、急に介護生活が始まってしまうことで、介護する側、される側、ともに負の感情を持ってしまうことがないようにするためには、親が元気なうちに介護が必要になった時のことを考え、話し合っておく必要があります。
金銭的な負担
先ほどもご紹介したとおり、介護が始まると、介護そのものにかかる費用だけでなく、介護する側が仕事を減らしたり退職したりしなくてはならなくなる可能性もあります。
40代というと、子どもはまだ高校生や大学生である方も多く、子どもの学費や生活費に多くの負担がある世代です。
もし仕事を辞めたり、社員からパートになり、収入が減ったりした場合、現在の生活を維持できるのかをしっかりと考えておく必要があります。
また、親の介護そのものについても一定の負担が発生します。
お金のことは話しにくいかもしれませんが、年金や貯蓄はいくらあるのか、どのようなプランのものに加入しているのかを知っておくことは大切です。
施設への入居希望の有無
いざというとき、老人ホームなどの施設への入居を希望するか否かも、元気なうちに話し合っておきましょう。
できることならいくつかの施設の資料を取り寄せたり実際に見学に行ったりするなどして、希望に合う施設の候補を選んでおくとよいでしょう。
施設によっては、要介護度や認知症の有無により、受け入れの可否や負担金額が大きく変わる場合もあります。
兄弟や親せきとの連携
親の介護をするにあたっては、兄弟や親せきのうちのだれかが日々家を訪問し、介護にあたったり、ケアマネージャーとの相談の窓口になったりする必要があります。
介護する側の子どもに兄弟がいる場合は、だれがこのように実際の介護を負担し、だれが金銭的な負担をするのかを、あらかじめご両親やご兄弟で話し合っておくと、慌てることなく対応できます。
また、最後の時を迎えたとき、残された財産はどうするのか?家や家財道具は相続するのか、処分するのか、ということも、できるだけ早めに兄弟や親せきの間で話し合い、心づもりをしておくほうが安心です。
40代の親の介護についてのまとめ
急に直面する親の介護、まだまだ先のことと思っていても、はじめて親の介護を経験する年齢は、40代から50代が最も多くなります。
急なことで慌てないために、また、不要なトラブルを避けるためにも、親や兄弟、親せきが元気なうち多少なりとも役割分担や金銭的なやりくりの方法を話し合っておきましょう。
また、親御さんにも日々健康に留意して、できるだけ栄養バランスが整った食事をとること、体力に応じた運動を行い、健康を維持できるよう、心がけていただけるとよいですね。
記事一覧へ戻る