60代の方の親世代といえば、80代も半ばから90代に手が届きそうな後期高齢者の方ではないでしょうか?
このころの年代の方は、怪我で数週間静養しただけでも、寝たきりや要介護になりやすいものです。一方、60代というと、ご自身も高齢者として持病などが気になる世代でもあります。
本コラムでは、高齢者の声が聞こえてくる60代が親の介護を進めていくうえで、備えておきたいことについてご紹介します。
目次
60代が親の介護をする上で考慮したい事
60代といえば、仕事を持っている方なら定年が視野に入ってきていたり、要職について忙しく仕事をしていたりしますね。
家庭に目を向けてみれば、子どもが独立し、孫がいらっしゃる方も多いことでしょう。
そんな中で、親が急に倒れるなどして介護が必要になった場合、どのように親を支えていけばよいのでしょうか?
仕事や家事と介護の両立
60代に入ったとはいえ、まだまだ仕事が充実している方、子どもの学費や住宅ローンの支払いなどで、仕事を続けていく必要がある方、または、定年後の生活プランを検討し、準備に取り掛かっている方もいらっしゃいますね。
あと数年で退職を迎えるという頃に、介護のために役職を離れたり、時短勤務や介護離職を余儀なくされたりすることや、生まれてくる孫の世話と家事、介護の両立を図らなくてはならなくなってしまうことが考えられます。
自らの病気と親の介護の両立
さらに、冒頭でもふれたとおり、60代といえば自分自身の体調が気になる方も増えてきます。
自らの病気の治療と親の介護の両立は、心身ともに大きな負担になることがありますね。特に親と自らの病気が異なる場合は、治療にあたる病院や医師も異なることが多く、ひと月の間に何日も、誰かしらの病院に通うことになり、それだけで多くの時間や費用をかけなければならなくなります。
ダブル介護のリスク
「ダブル介護」という言葉を耳にされたことはありますでしょうか?
ダブル介護とは、一人で実の親と義理の親、または兄弟、パートナーなど、複数人の介護をしなければならない状態を指します。
60代になると、早い方では介護が必要になることがあります。
夫婦どちらかが何等かの理由で介護が必要になり、さらに親の介護もしなければならないとなると、介護をする側には大きな負担がかかってしまいます。
そのうえ、自らも持病があるとなると、その負担は計り知れません。
介護の負担を軽減するために
親に介護が必要になった場合、介護をする側の子どもは、時間的、体力的、そして金銭的な負担を負うことになります。
これらに対し、すこしでも負担を減らすためにできることがあります。
事前に家族で相談しておく
親に介護が必要になった時、通常は最も近くに住んでいる方が介護を行う、というパターンが多くなります。
しかし、60代の親世代はおそらく80~90代、要介護度も高くなりがちになります。当然のことながら、要介護度が高いほど、介護に要する時間や体力的な負担は大きくなります。
60代になって何の準備もなく、急に一人で介護をするのはとても負担が大きいものです。
できることなら、親が元気なうちに、パートナーや兄弟、親せきとも連携を取り、時間的、金銭的な介護の分担を考えておくとよいでしょう。
ケアマネージャーや近隣との連携
親と離れて暮らしている場合は特に、親しくお付き合いをしている友人の情報や、お住まいの地域を担当している民生委員と連絡を取り、介護が必要になった場合にスムーズに体制を整えられるように、支援先を探しておきましょう。
もし引っ越しなどで近隣に親しい友人がいない場合は、事前に親が暮らしている地区を担当している地域包括支援センターに連絡を取り、いざというときに依頼ができるケアマネージャーの紹介を受けておくのもよいですね。
万が一入院が必要になったり、施設への入居を考慮しなくてはいけなくなったりした時のために、高齢者のケアが得意な病院を探しておく、近隣の老人ホームの紹介を受け、料金などを確認しておくのも、いざというときに慌てることなく手続きができて安心です。
自らの体調を整えておく
仕事や家事、子育てに注力したのち迎えた60代、若い世代とは違い、筋力、体力が落ちている方が多いのが現実です。
また、早い方は60代から何らかの介護が必要になります。親の介護のため、とまでは言いませんが、健康を維持しておくことはとても大切です。
自らの老後を楽しく充実したものにするためにも、体力に合わせた運動や栄養バランスの整った食事をとることなどして病気などの予防をしておくのもよいですね。
介護離職を防ぐために
あと数年で退職を迎える60代とはいえ、自らの老後資金や家族を養っていくためにも、介護のために予期せぬ離職はできるだけ避けたいものです。
雇用形態や親の要介護度など、いくつかの要件はありますが、介護休業給付制度を利用して、一時的に仕事を休むことができます。
制度の利用については勤務先や厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部に相談窓口が設けられています。
お住まいの都道府県の担当窓口に相談してみてくださいね。
60代の親の介護についてのまとめ
「もうあと少しで定年、これからはパートナーと趣味や旅行を楽しもう」と思っていた時などに、不意に訪れるかもしれない親の介護。
子育てとは違い終わりが見えない介護には、する側もされる側も負担が大きいものです。
とはいえ、介護は親との絆を改めて見直す良い機会でもあります。
さまざまな制度を上手に活用し、お互いが悔いなく気持ちよい介護生活が送れるよう、しっかりと準備を進めておくことをお勧めします。
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