
目次
モロヘイヤとは
モロヘイヤはシナノキ科ツナソ属の1年草で、日本では夏が旬です。原産地はエジプトを中心とした東地中海地方で、青じそに似た葉と、葉の付け根の両側に赤く細いひげが1本ずつ伸びているのが特徴です。ナガミツナソやタイワンツナソという別名がありますが、「モロヘイヤ」という名前は国内で流通させるにあたり、エジプトで呼ばれていた発音から決められたそうです。
モロヘイヤの歴史
モロヘイヤは古代エジプトではすでに食用とされていたといわれています。モロヘイヤのスープが王様の病気を治したといわれるほど栄養価の高い野菜で、王族しか食べられない野菜だったという説もありますが、実際は庶民も日常的に食べていたようです。日本で栽培されるようになったのは比較的最近で、1980年代に飯森嘉助氏らが設立した全国モロヘイヤ普及協会によって紹介されました。馴染みのあるほうれん草や小松菜などの青菜を大きく超える高い栄養価が注目され、全国に普及しました。
クレオパトラも食べた?モロヘイヤスープ
エジプトではモロヘイヤはスープにするのが最も一般的な食べ方といわれます。2000年も前にエジプトの王様がモロヘイヤスープを飲んで病気が治ったとか、クレオパトラの好物だったなどと言い伝えられ、現在でもエジプトの家庭にはモロヘイヤ専用の包丁があるほど、日常的に食べられています。本場のモロヘイヤスープは、モロヘイヤとニンニク、発酵バターで作ります。洗ったモロヘイヤの葉を、生のまま細かく刻みます。葉の形がわからなくなるまできざみ、すりおろしたニンニクと一緒に発酵バターで炒めます。水とブイヨンを加えて温め、沸騰直前で火を止めてから、最後にも発酵バターを入れてできあがりです。少ない材料で簡単に作ることができるので、ぜひ作ってみましょう。
モロヘイヤには毒がある?
1996年、長崎県でモロヘイヤの種子による牛の中毒が発生しています。中毒の原因となった物質はストロファンチジンという強心作用のある物質で、めまいや嘔吐などの中毒症状をおこす可能性があります。ストロファンチジンは、成熟した種子に最も多く含まれますが、成熟中の種子、成熟した種子のさや、発芽から一定期間の若葉などにも含まれます。収穫期の葉や茎、根、つぼみなどには含まれず、野菜として流通しているモロヘイヤには含まれていません。厚生労働省では、食用として市販されているモロヘイヤに危険性はありませんが、家庭菜園などで栽培したものを食べる場合には、収穫時期には十分留意し、種子やさやなどの有毒な部分を誤って食べないよう注意を呼びかけています。
モロヘイヤの栄養
モロヘイヤは、不足しがちなビタミンやミネラルをバランスよく豊富に含んでいます。葉を刻むと粘りが出ますが、粘りの主な成分は水溶性食物繊維で、腸内環境を整える効果があります。
βカロテン
モロヘイヤのβカロテンの含有量は、野菜の中でもトップクラスです。βカロテンは活性酸素を抑え、生活習慣病の予防効果が期待されます。また、皮膚や粘膜の働きを正常に保つために重要であり、免疫力を高める働きもあるといわれています。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性のビタミンで、強い抗酸化作用を持ちます。また血行を促進し、肩こりや冷え性の予防・改善にも効果的です。血流が良くなることで、毛細血管のすみずみにまで栄養が行き届くと、肌の新陳代謝が活性化し美肌効果も期待できます。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性のビタミンで、体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。ビタミンCは、美肌作りに欠かせないコラーゲンの生成に必要なビタミンであり、メラニンの生成を抑制する働きもあります。また、ビタミンCとEは一緒に摂ることで相乗効果を得られます。ビタミンCもEも非常に酸化しやすく、活性酸素と結びつくことで細胞を酸化から守っています。酸化して無力化したビタミンEは、ビタミンCから電子をもらうことで復活して再び働き始めるため、同時に摂ることで酸化を抑制する効果は高くなります。
カルシウム
モロヘイヤにはカルシウムも非常に多く含まれています。モロヘイヤ100g中に260㎎のカルシウムが含まれており、めざしやしらすよりも豊富です。
ケルセチン
ケルセチンは、植物に広く存在するフラボノイドの一種で、黄色の色素成分です。ケルセチンはフラボノイドの中でも特に強い抗酸化活性を示し、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の予防・改善に効果が期待されています。ケルセチンは油と一緒に摂取すると吸収効率が高まるといわれています。調理の際にはオリーブオイルなど質の良い油を使って調理するとよいでしょう。
モロヘイヤのレシピ
モロヘイヤは、葉がきれいな緑色で、一枚一枚がピンとして張りがあるものを選びましょう。茎はやわらかく、全体にみずみずしいものが新鮮です。日持ちがしないので、購入後はできるだけ早く食べるようにしましょう。サッとゆでて水気を切り、ラップに包んで冷凍しておくと保存できます。
【モロヘイヤの酸辣にゅう麺】
【材料】(2~3人分)
・モロヘイヤ 1束
・ささみ 2本
・豆腐 150g(1/2丁)
・卵 1個
・鶏ガラスープの素 小さじ2
・酒 大さじ1
・みりん 小さじ1
・塩 小さじ1/2
・コショウ 適量
・酢 適量
・ラー油 適量
・すりごま(白) 適量
・そうめん 適量
【作り方】
1. モロヘイヤは茎から葉を取っておきます。
2. 葉をサッと水で洗い、ゆでてから水で冷やし、ざるにあげて水をきっておきます。
3. ささみもゆでで、食べやすい大きさにほぐしておきます。
4. 鍋に水900mlを入れて、沸かします。
5. 酢とラー油以外の調味料を入れ、豆腐を入れます。豆腐はさいの目に切るか、そのまま入れて、鍋の中で大きめにくずします。
6. 豆腐が温まったら、モロヘイヤを軽く絞ってから、好みの大きさに切り、鍋に入れます。細かく切るほど粘りが強く出ます。
7. 少し煮たててから味をみて調節します。卵を溶きほぐして流し入れます。
8. そうめんを袋の表示通りにゆでます。水で洗ってよく水をきり、器に盛ります。
9. スープを注ぎ入れ、すりごまをトッピングします。お好みで酢とラー油をかけてできあがりです。
モロヘイヤレシピのまとめ
モロヘイヤの栄養価はバランスも良く、他の主な野菜と比べても非常に豊富に含まれています。食欲が低下しがちな夏には、ビタミンやミネラルなどの栄養素は不足しがちです。旬のモロヘイヤを日常の食事に取り入れて、夏バテを予防しましょう。
株式会社シルバーライフの【まごころケア食】では、管理栄養士が考えたバランスの良いお食事をご提供しております。健康な毎日のためにぜひお役立てください。
記事一覧へ戻る