十年ほど前からダイエットに効果的と話題のもち麦、購入して雑穀ご飯などにしばらく使ってみたけれど、何となく使い切れずに残ってしまっている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、ごはんに炊き込むだけではない、もち麦の栄養価や、食べやすいミネストローネスープのレシピをご紹介します。
目次
もち麦について~生産地域や利用方法~
もち麦とは、イネ科大麦属の植物の種子です。米に、もち種とうるち種があるように、大麦にも、もち種、うるち種があり、もち種の大麦が、もち麦と呼ばれています。
原産はカスピ海沿岸周辺と言われていて、世界で最も古くから栽培されていた穀物の一種です。中国を経由して弥生時代頃に伝えられ、栽培が容易なことから、現在では全国で栽培されています。現在は国産大麦の約半量を北海道、ついで福岡県、佐賀県、栃木県など各地で生産されています。
雑穀米として食用に利用されるほか、ビールの原料、また、味噌・しょうゆなどの原料として、家畜の飼料として用いられています。丈夫な茎は、麦わら帽子の麦の材料やエコなストローとして利用されています。
スーパーマーケットの雑穀コーナーには、調理のしやすさや食べやすさ、見た目の好みなどから、さまざまに加工した製品がみられます。
・丸麦
大麦の外皮やぬかを削り取ったもの。縦中央部分に黒っぽい線が通っています。
・米粒麦
中央の線の部分で半分に切り、米粒状に加工したもの
・押し麦・胚芽押し麦
火通りをよくするために、丸麦をローラーで薄く平らになるように押しつぶしたもの
もち麦に含まれる栄養価と効果効能
① マグネシウム
マグネシウムは体内でエネルギー代謝にかかわる酵素の働きを促し、また、たんぱく質を合成をする働きがあります。ダイエットや美肌にとても効果的で、美容に欠かせないミネラルとして注目を浴びています。
② 鉄
鉄は成人の体内に3~4グラム存在しています。そのうち約70%は血液の中のヘモグロビンに含まれ、体の隅々まで酸素を運ぶ役割を担っています。鉄分が不足すると、体の隅々まで酸素が行き渡らなくなるため、心臓は酸素をいきわたらせるためにより多くの血液を送り出さなければいけません。そのため、動機や息切れが多くなります。
残り25%は肝臓に貯蔵されていて、必要に応じて放出されています。
③ 亜鉛
亜鉛は新陳代謝を担う多くの酵素を作る成分となり、皮膚や粘膜を保護する働きがあります。舌の上にある、味を感じる味蕾という細胞の代謝を促進する効果があるため、亜鉛不足になると味覚障害を起こしてしまうことが知られています。
④ 銅
銅は、血液中のヘモグロビンに鉄を組み込む役割をしています。そのため、鉄分をしっかりと取っていても、銅が不足していると、赤血球中の鉄分が不足し、貧血になってしまいます。また、体内のさまざまな酵素のもととなり、抗酸化物質として働いたり骨を形成する助けになったりしています。
⑤ ナイアシン
ナイアシンは水溶性のビタミンB群の一つです。糖質、たんぱく質や脂質からエネルギーを産出する働きを促し、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。ナイアシンが不足すると食欲不振、消化不良や皮膚がうろこ状になる皮膚炎、認知症などを引き起こすことがあります。
⑥ 食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、大麦にはそれぞれがバランスよく含まれています。
水溶性食物繊維は小腸で栄養素の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑え、コレステロールやナトリウムを吸着し、体外に排出する働きがあります。不溶性食物繊維は有害物質を吸着して排せつするとともに、水分を抱え込んで便のかさを増やし、便秘の改善に効果的です。
⑦ βグルカン
大麦に多く含まれるβグルカンとは、キノコや酵母の細胞膜に含まれる食物繊維の一種です。βグルカンは過剰なコレステロールの排せつを助け、血糖値の上昇を抑える働きがあり、ダイエットに効果的、動脈硬化や心筋梗塞宇といった生活習慣病の予防効果が期待できます。
さらに、マクロファージやリンパ球、ナチュラルキラー細胞といった免疫細胞に働きかけることにより、活性を高め、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防、がんの抑制に効果があるといわれています。
レシピ|もち麦入りミネストローネスープ
プチプチしたもち麦は、もち麦ごはんとしてだけでなく、スープにも利用することができます。柔らかく煮た具材のスープに、楽しい食感のアクセントがつきますよ。
【材料】
・もち麦 大さじ2
・じゃがいも 中1個
・玉ねぎ 中1/2個
・にんじん 1/4本
・いんげん豆 4本
・ハムまたはベーコン 2枚程度
・オリーブオイル 大さじ1
・トマト水煮缶 1/2缶
・水 400cc
・塩 適宜
・パルメザンチーズ 適宜
(野菜は上記の限りではなく、パプリカやズッキーニ、とうもろこし、大豆の水煮など、ご家庭にあるものを、適宜ご利用くださいね。)
【作り方】
① もち麦は、メーカーにより数十分間水につけておく必要があるものがあります。パッケージを確認して、必要に応じて浸漬してください。
その後、少し芯が残る程度に下茹でし、水で洗っておきます。
② じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、ハムまたはベーコンはそれぞれ色紙切りにします。
③ いんげん豆はさっと茹で、小口に切っておきます。
④ 鍋にオリーブオイルを熱し、②のじゃがいも、玉ねぎ、にんじん、ハムをさっと炒めます。
⑤ ①のもち麦の水を切ったもの、トマト水煮缶、水、塩を加え、野菜に火が通るまで煮ます。
⑥ 全体に柔らかく煮えたら、塩で味を整え、③のいんげん豆を加え、ひと混ぜして器に盛り、好みでパルメザンチーズを振りかけます。
※作りたての温かいものもよいですが、夏には冷たく冷やしたものもおいしく召し上がっていただけます。その場合は、パルメザンチーズの代わりに角切りにしたモッツァレラチーズを吸い口にあしらってもおいしいですよ。
『もち麦の栄養価とレシピ』まとめ
今回ご紹介したもち麦、プリプリとした食感も楽しいですが、一度に大量に食べると胃に負担がかかります。山かけとろろのように、消化を助ける成分を含む山芋を添えたり、柔らかめに茹でたりすると、胃の負担も減ります。
また、レシピ①の、下茹でするところまで済ませたものの水を切り、冷凍しておくことができますので、時間がある時に下茹でを済ませ、こまめに料理にプラスすると、取りやすいですよ。毎日少量ずつ、試してみてくださいね。