6~9月に旬を迎える夏の野菜のひとつ、ピーマン。独特の苦みから、子どもの苦手な野菜として代表的な存在になっています。しかし栄養価が非常に高く、特にビタミンが豊富。油との相性もよいため、幅広い料理で効率的に栄養をとることができる野菜のひとつです。今回はピーマンの栄養価や、苦みを気にせずピーマンを食べられるおすすめレシピをご紹介します。
目次
ピーマンとはどんな食材?
ピーマンは、ナス科トウガラシ属の野菜。スーパーなどで通常「ピーマン」として販売されているものは、実は辛みのないトウガラシの一品種です。ピーマンという名前は、とうがらしなどを意味するフランス語やスペイン語が由来の和製英語だとされています。
ピーマンのもととなる野菜の原産地は中南米。紀元前5000~6000年前には現地の人々に食べられており、大航海時代にコロンブスと出会ったことで、ヨーロッパから世界へと広まっていきます。日本へは、江戸時代頃とうがらしなどが入ってきていたようですが、現在の「ピーマン」と同様の品種は明治時代に初めて輸入されました。しかしすぐには普及せず、本格的に食べられるようになったのは第二次世界大戦後のことです。
ピーマンの苦みの原因は?
ピーマンといえば苦みを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、あの苦みが生まれる原因は苦み成分ではありません。ピーマンに含まれる渋み成分のクエルシトリンと、香気成分であるピラジンの一種が合わさることで、人間の舌の上で特徴的な苦みとして感じられるようになっているのです。そのためしっかり味付けをしたり、香気成分の出にくい切り方をしたりすることで、感じる苦みを抑えることができます。苦みを感じにくい品種の開発も進んでいるので、より食べやすいピーマンを選ぶこともできるようになっています。
ピーマンの選び方と保存方法
ピーマンは表面にツヤがあり、傷やしわのないもの、また手に持ってみて身が詰まっている感じがするものを選びましょう。ヘタの部分が変色していないか、干からびていないかも、新鮮さを見極めるチェックポイントになります。
また、苦みを抑えて楽しみたいという方には「こどもピーマン」と呼ばれる苦みの少ない品種や、赤やオレンジなどのカラーピーマンがおすすめ。どんな品種でも、古くなったピーマンは苦みが強まっている可能性があるので、できるだけ新鮮なものを選んでくださいね。
保存する際は水気をふき取り、キッチンペーパーなどに包んで野菜室に入れてください。一度切ってしまうとそこから痛み始めるので、1個1個使い切るようにしましょう。
ピーマンに含まれる栄養価
βカロテン
βカロテンは、ピーマンに含まれる脂溶性の色素成分の一つ。人体に有害な活性酸素を抑え、免疫を強めるはたらきを持っています。また人間の体内に入ると必要な分だけビタミンAに変換され、皮膚や粘膜、目の機能を正常に保ってくれます。
ビタミンC
ピーマンには同じナス科であるトマトの4~5倍のビタミンCが含まれています。体内のコラーゲンを生成するのに重要な役割を果たしており、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせません。また優れた抗酸化作用や免疫を高めるはたらきがあることでも知られており、鉄の吸収を高めたり、皮膚のメラニン色素生成を抑えたりするのにも効果的です。
ビタミンP
ビタミンCは熱に弱いことが知られていますが、ピーマンのビタミンCは壊れにくいとされています。その理由は、ビタミンCを熱から守るはたらきがあるビタミンPが含まれているから。ビタミンP単体では毛細血管を元気にし、血液をサラサラにする効果があり、コレステロール値の抑制や抗アレルギーにも役立つとされています。
クエルシトリン
ドクダミに含まれることでも知られているポリフェノールの一種。血圧やコレステロール値を安定させるはたらきのほか、抗うつ作用、脂肪蓄積抑制作用なども報告されています。
ピラジン
ピラジンは種やワタに多く含まれ、ピーマンの青臭い香りのもとになる香気成分。血流促進作用があり、血栓予防や冷え性対策としても効果的です。
ピーマンのおすすめレシピ
【ピーマンと豚肉の卵炒め】
ピーマンの苦みは、大人になるにつれておいしいと感じられるようになる方も多いですが、せっかくなら子どもや苦手な方にもおいしく食べてもらいたいですよね。そこで今回は、油やたんぱく質と合わせることでより効率的に栄養をとりつつ、にんにくの風味や卵で包むことで苦みも抑えられる、「ピーマンと豚肉の卵炒め」をご紹介します。
【材料】
・ピーマン 2~3個
・豚肉150g
・卵 2個
・酒 大さじ2
・しょうゆ 大さじ1
・鶏ガラスープの素 大さじ1
・塩コショウ 少々
・にんにく(チューブ) 少々
・しょうが(チューブ) 少々
・ごま油 少々
1.ピーマンは繊維に対して縦に切ります。こうすることで苦みの元となる香気成分が出にくくなります。
2.豚肉は一口大に切り、卵は割ってといておきます。
3.フライパンに分量外のサラダ油をひき、豚肉の色が変わるまで炒めたら、卵とごま油以外の材料を入れて火を通します。
4.ピーマンがしんなりしたら卵を入れて火を止め、ふんわりからめるように混ぜながら余熱で火を通します。
5.最後にごま油をまわしかけ、軽く混ぜたら完成です。
ピーマンレシピのまとめ
ピーマンには、他にもビタミンEやビタミンKなどさまざまな栄養素が含まれています。苦みのもととなるクエルシトリンやピラジンも健康を維持するのに役立ってくれるので、今回ご紹介したレシピのように苦みをおさえて、おいしく栄養素を取り込んでいきたいですね。
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