春菊は、冬から春先にかけて旬を迎える野菜で、春に花を咲かせて葉の形が菊の葉に似ていることから春菊と呼ばれます。独特の香りと味があるため好き嫌いが別れてしまう食材ですが、実はとても多くの栄養を含んでいます。
春菊はすき焼きなどの鍋料理に多く使われるイメージがありますが、旬の時期に調理方法を工夫することで、苦手に思っている方でもおいしく召し上がっていただくことができます。
今回は、春菊の栄養と効果的な調理法・レシピなどについて詳しく説明していきます。
目次
春菊の種類
春菊は、1年を通して市場に流通していますが、冬から春先が旬と言われており、旬の時期には茎や葉が柔らかくおいしく食べることができます。春菊には、大きく分けて3つの品種があり、それぞれ見た目だけでなく香りの強さや味わいが違うため、向いている料理も異なります。
・大葉種
主に九州・四国地方で栽培され、葉の切れ込みが浅く肉厚なのが特徴です。香りが弱く独特のくせが少ないので食べやすいと言われています。
・中葉種
九州・四国より東部で作られ、日本で最も多く流通している品種です。葉の切れ込みが深く、香りが強く苦みがあります。鍋物や風味を生かしたおひたしやナムルに使用されます。
・中大葉種
奈良県で古くから伝統野菜として栽培され、大葉種と中葉種の特徴を合わせもっています。アクが少なくサラダとしてもおいしく食べることができます。
春菊を選ぶポイントと保存方法
春菊を選ぶポイントは以下の2点です。
・緑が濃くみずみずしいもの
・茎が短く葉が下から密に生えているもの
葉が黄色がかっていたり、葉がしおれかかっているものは新鮮さに欠けます。また、茎が太いものは育ちすぎているため、葉が固いものが多いので注意が必要です。
保存方法は、一度水に浸して水気を切った後にビニール袋に入れて冷蔵庫で立てて保存すると新鮮さを保つことができます。冷蔵庫で2~3日以内に使いきるようにすると新鮮でおいしく召し上がっていただけます。
すぐに食べきれない場合は、一度茹でた後にラップで包み密閉容器やジップロックなどの保存袋に入れて冷凍庫で保存するのもおすすめです。
春菊の栄養
春菊には、豊富な栄養素が含まれているほか、香り成分にも自律神経を整える作用があります。主に含まれている栄養素は以下の通りです。
1) βカロテン
抗発がん作用や免疫作用の他にも抗酸化作用があり、体内でビタミンAに変わります。髪や皮膚、粘膜の健康を維持、視力の維持をすると言われています。
また、のどや肺などの呼吸器器官を守る働きもあります。
2) ビタミンC
風邪の予防や美肌の維持に効果的とされています。
3) カリウム
塩分を体の外に排出し、体の中の水分量を調整する働きがあるため、高血圧やむくみを予防することができます。
4) カルシウム
骨を生成するうえで欠かせない成分で、骨粗しょう症予防や健康を維持するために重要とされています。
5) 鉄分
全身に酸素を運ぶ赤血球を作る成分で、貧血予防として知られています。
6) 葉酸
赤血球を作るために必要な栄養素で貧血予防になります。また、細胞をつくる作用があるため妊娠初期の女性にとっては重要な成分であり、春菊は妊娠初期に積極的に摂取したい食材の1つです。
7) ぺリルアルデヒド(香り成分)
胃腸の調子や自律神経を整える作用があります。
春菊の調理法【春菊のにんにく炒め】
春菊は葉の部分に火が通りすぎると苦みが強くなります。また、春菊に多く含まれるビタミンCやミネラルは水溶性の栄養素ですので、水を使って調理するとそれらが溶け出してしまいます。もし、茹でるのであればさっと短時間にするか、汁ごと飲めるようにスープなどに利用するのがよいでしょう。
春菊に豊富に含まれるβカロテンは油と一緒に摂取すると吸収率が上がるとされていますので、今回は春菊をさっと炒めるレシピをご紹介します。
【春菊のにんにく炒め】
【材料】
・春菊 1束
・にんにく 1かけ
・塩 1つまみ
・鶏がらスープの素 小さじ1/4
・サラダ油 小さじ1
【作り方】
① 春菊は茎の部分と葉の部分に分けて、それぞれを食べやすい大きさにきります。
② にんにくをみじん切りにします。
③ サラダ油をフライパンに入れ、あたたまったところににんにくを入れます。
④ にんにくの香りが出てきたら、春菊の茎の部分を入れて炒めます。
⑤ 茎の部分がしんなりしてきたら葉の部分と塩と鶏がらスープの素も同時に入れさっと炒めます。
⑥ 調味料が全体にいきわたったら火からおろして盛りつけて完成です。
旬の春菊は、生で食べられるほど葉も柔らかいため、独特の苦みが強くならないようにさっと炒めることがポイントです。シンプルな味付けですが、にんにくがアクセントとなり非常においしく召し上がっていただけます。
まとめ
春菊には、非常に多くの栄養素が含まれ、旬の時期には積極的に摂取したい食材の1つです。しかし、独特の香りと苦みがあるため苦手と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そのような方は、苦みの少ない種類の春菊を選んだり、調理法を工夫することでおいしく召し上がっていただくことができます。
また、せっかく豊富に含まれている栄養素を漏らすことなく摂取するためには、調理法を工夫して少しでも効率的に体に取り込むことが大切です。今が旬の春菊をおいしくいただいて健康増進に努めましょう。