赤くてかわいらしいトマトには、健康の維持・増進に役立つ栄養がとても豊富に含まれています。トマトというと「リコピン」が代名詞のようになっていますが、他にも効果的な成分が含まれています。
目次
トマトとはどんな食材?
古くは観賞用として栽培されていたトマトですが、現在は世界中にとても多くの種類があります。日本では生で食べることも多いため、品種改良によって皮が薄く糖度の高い品種が多く生産されています。ヨーロッパでは生食することは少ないため、加熱によってうま味が引き出される品種が主となっています。
トマトの歴史
トマトはアンデス高地が原産のナス科の植物です。日本に伝わったのは17世紀ころといわれ、食用として栽培されるようになったのは明治時代以降です。現在のように一般家庭にトマトが普及したのは第二次世界大戦後といわれ、比較的最近のことです。
選び方と保存方法
へたの緑色が濃くピンとしているものが新鮮です。皮に張りがあり、持ったときに重みがあるものを選びましょう。放射状に線がきれいに見えるものは甘いといわれます。
トマトは追熟するので、すぐに食べない場合は赤味の薄いものを選び常温で保存しましょう。熟したトマトはラップをするかビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管します。熟したら早めに食べるようにしましょう。
トマトに含まれる栄養素
トマトにはさまざまな栄養素が含まれており、多くの健康効果が期待できます。
ビタミン
トマトにはビタミン類がバランスよく含まれています。中でもビタミンCとビタミンEは抗酸化作用が高く、一緒に摂取することでさらに抗酸化作用を高めることができると考えられています。ビタミンEは体内で活性酸素にイオンを渡して、自らが酸化されることで脂質の酸化を防ぎますが、この時ビタミンEは失活してしまいます。しかしビタミンCからイオンをもらうことで、ビタミンEは再生することができます。
ミネラル
ミネラルはごく少量でも生体に不可欠な栄養素であり、さまざまな生理作用にかかわっています。トマトにもカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが含まれていますが、可食部100g中に含まれる量は、普通のトマトよりもミニトマトに比較的多く含まれています。
トマトのリコピン
リコピンはカロテノイドの一種で、赤や黄色、オレンジ色の色素です。強い抗酸化作用をもち、活性酸素を消去する働きがあります。
活性酸素とは
私たちが生きていく上で酸素は不可欠ですが、呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は、活性酸素に変化すると考えられています。活性酸素は体内の代謝の過程でさまざまな成分と反応し、過剰に生成されると細胞を傷つけると考えられています。しかし一方では、活性酸素は免疫機能や感染を防ぐ働きを持ち、必要な物質でもあります。生体内には活性酸素から体を守る機能も備わっていますが、そのバランスが崩れたときに悪影響を及ぼします。リコピンの抗酸化力はビタミンEの100倍ともいわれ、幅広い健康効果が期待されています。
リコピンの健康効果
リコピンの強い抗酸化力により過剰な活性酸素が除去されることで、血流改善、生活習慣病の予防、美肌効果、眼の健康維持など、全身のさまざまな健康効果が期待できます。トマトの細胞内に含まれるリコピンを効率よく摂取するためには、加熱したりミキサーにかけて細胞壁を壊すことが必要です。またリコピンは油に溶けやすいため、油を使った調理方法は効果的にリコピンを摂取できます。
トマトのGABA(ギャバ)
GABAはγ-アミノ酪酸(Gamma Amino Acid)の略でギャバと呼ばれます。人の脳内に存在し、緊張やストレスなどを緩和する働きがあるといわれています。野菜の中でもトマトには、多くのギャバが含まれています。
ギャバの歴史
ギャバは1950年に初めて哺乳動物の脳から抽出され、神経中枢で働く抑制系の神経伝達物質であることがわかりました。その後1972年には消化管においても神経伝達物質としての働きが確認され、体内のさまざまな部位に存在することがわかっています。1961年にはギャバを主成分とした医薬品も承認され、現在も使われていますが、2001年以降日本国内では厚生労働省において、食品の成分と定められています。
ギャバの効果
ギャバには気持ちを落ち着かせる抗ストレス作用があるといわれます。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質が過剰に分泌するのを抑え、リラックスした状態を作る作用があると考えられています。現代のストレス過剰な生活によって体内のギャバは常に消費され、不足している可能性があります。また、加齢によって体内でのギャバの生成が減少する傾向があるともいわれています。他にも睡眠の質を高めたり、血圧を下げる作用や認知症の予防についても効果があるといわれ、研究されています。
トマトのレシピ
トマトは加熱することで、栄養を効率よく吸収できるだけではなく、グルタミン酸の働きでうま味がアップします。
【焼きトマトのステーキ 玉ねぎソース】
【材料】(作りやすい分量)
・トマト 大きめ1個
・玉ねぎ 中1/4個
・パセリ 1茎
・にんにく 1かけ
・お好みのドレッシング 大さじ2
【作り方】
1.にんにくはみじん切りにします。
2.玉ねぎはみじん切り、パセリは洗ってよく水をきって葉の部分をみじん切りにします。
3.玉ねぎとパセリをボールに入れて、お好みのドレッシングと混ぜて冷蔵庫に入れて冷やしておきます。
4.トマトはヘタの部分をくりぬき、1.5㎝くらいの厚めにスライスします。
5.フライパンににんにくを入れ、トマトを並べて火をつけます。強めの火加減で表面に焼き目をつけます。にんにくが焦げすぎないように気をつけながら焼きます。
6.トマトが焼けたらお皿に盛り付け、冷やしておいたドレッシングをかけてできあがりです。
※ドレッシングはお好みの味で大丈夫です。今回は、しょうゆベースのごまドレッシングを使用しました。
※トマトは完熟よりもやや若いトマトの方がきれいに焼けます。
※パセリが苦手な場合は、入れなくてもおいしく作ることができます。
『トマトレシピ』まとめ
トマトは通年で出回っていますが、本来の旬は初夏といわれます。おいしさも栄養もたっぷりの旬のトマトを食べて、健康の維持に役立てましょう。
株式会社シルバーライフの【まごころケア食】では、管理栄養士が考えたバランスの良いお食事をご提供しております。健康な毎日のためにぜひお役立てください。
記事一覧へ戻る