年齢を問わず、男性、女性それぞれに苦手なこと、得意なことがありますね。
高齢者の一人暮らしが増えている日本では、高齢男性、高齢女性それぞれが抱える特有の問題があります。
今回は特に女性が直面する問題について、ご紹介していきます。
目次
高齢者の一人暮らしは女性が多い
冒頭でも述べたとおり、高齢化が進む日本では、高齢者の一人暮らしが増え、さまざまな問題が発生しています。
高齢者の一人暮らしの割合
令和4年度高齢者白書によると、令和元年の総世帯数は5,178.5万世帯、そのうち、2,558.4万世帯(49.4%)に、65歳以上の高齢者がいる結果となっています。
そのうち、高齢者夫婦のみの世帯が827万世帯、高齢者の一人暮らし世帯が736.9万世帯です。
全世帯数の約14%が、高齢者の一人暮らしということになります。
一人暮らしの高齢者の男女比率
このように、一人暮らしの高齢者世帯数が増えている中で、男女比はどのようになっているのでしょうか。
令和4年度高齢者白書によると、令和2年の男性高齢者の一人暮らしが230.8万世帯だったのに対し、女性高齢者の一人暮らしが440.9万世帯と、女性が男性の約1.9倍に達しています。
また、厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、男性の平均寿命が81.47歳、女性が87.57歳であり、女性の方が約6年長生きなのが分かります。
夫婦の年齢差を考えると、男性が若干年上であることが多いうえに女性の平均寿命が長いことなどを考慮すると、もともと単身であった方や離別をした方だけでなく、パートナーとの死別により、女性が一人暮らしを余儀なくされるケースが多いと考えられます。
女性高齢者の一人暮らしに多い問題
このように増加している女性高齢者の一人暮らし、女性だからこその悩みや問題点とは、どのようなものがあるのでしょうか
女性高齢者は貧困に陥りやすい
現在の高齢者が現役世代だったころは、男性が外で働き、女性は家事や育児を主として家庭に入っている方が多かった時代でした。
働いていたとしても、男性と比べ賃金が安かったり、出産、育児や介護のため、現代以上に職場を離れたりせざるを得なかったのではないでしょうか?
職場に戻ることができたとしても、女性は非正規雇用であった割合が高くなっています。
そのため、現在の65歳以上の女性が厚生年金や各種共済年金に加入できた期間は短く、十分な年金の受給は叶わないものと想像できます。
時代背景や身体的な問題を考慮しても、生涯現役で仕事をつづけることは男女ともに難しいのが現実です。
下の表は『公的年金受給者に関する分析』(厚生労働省年金局数理課)からの抜粋です。
平成30年基礎年金(月額6.5万円/2019年現在)以外の収入を得ている女性は男性に比べて少なく、一人暮らしの女性高齢者全体の約43%が月額平均受給金額10万円以下となっており、総体的貧困率を下回っています。
※貧困の基準
その人が貧困に陥っているかどうかを表す指標として、所得をもとにした「相対的貧困率」を用いることが一般的です。
これは世帯の可処分所得をベースに、世帯規模を調整した「等価可処分所得」を産出し、その中央値の50%未満で生活する人の割合を示しています。
2018年の日本のデータを用いてこの方式で計算すると、貧困の基準となるラインは127万円となります。
女性高齢者と詐欺被害の実態
下図は令和4年版犯罪白書第6編第1章第1節、「人が被害者となった刑法犯 認知件数(主な犯罪名、被害者の年齢別)」から作図したものです。
65歳以上の高齢者が被害者となっている案件は全体の16.6%を占め、罪名別に分類した場合、内訳は詐欺(52.3%)、殺人(27.4%)、横領(21.6%)となっています。
中でも、女性高齢者は詐欺被害に巻き込まれやすい傾向にあることが確認されました。
これは、例えばオレオレ詐欺などに直面した時なども、一人暮らしの場合は相談相手が居らず、誰にも相談することができずに被害にあうことが増えるためだと分析されています。
女性高齢者が安心して暮らせる為に
一人暮らしを続けている男性高齢者と女性高齢者とは、不安や不自由を感じる部分が異なることが分かりました。
しかし、さまざまな理由で一人暮らしを続けざるを得ないこともあります。
高齢のお母さまが離れた故郷で一人暮らしを続けているとなると、心配ですね。
ここからは、どのようにして双方が安心して暮らしていけるのかを見ていきましょう。
地域包括センターを活用する
一人暮らしを続けている方だけでなく、65歳以上の高齢者とご家族に対して、また、介護に関する支援を行っている施設が、地域包括センターです。
例えば、まだ介護は必要がないという方であっても、趣味のサークル活動や体操教室、地域の見守りボランティアなどの紹介、地域によっては、保健師(看護師)による体調面のさまざまな相談の対応を受けることもできます。
また、高齢者をターゲットとした詐欺被害や悪徳商法による被害の対応、成年後見制度の手続きや支援も行っています。
離れて見守る家族が暮らす地域では対応できないため、高齢者様ご自身がお住まいの地域を担当する地域包括センターにご相談くださいね。
「ちょっと立ち話」で孤立を防ぐ
下図は、内閣府が発表した『令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」から「男女別にみた近所との付き合い方」を分析したものです。
一般的に、女性は男性よりも社交的である方が多く、近隣住民とのコミュニケーションをとることが得意な傾向にあります。
子育て、趣味や近隣でのパートで知り合った友人など、近隣にちょっと立ち話ができる友人が男性よりも多いのも、大きなメリットですね。
時勢柄、食事やお茶を共にするのは敬遠されることもありますが、少しの時間の立ち話であっても会話を重ねることで、近隣からの孤立を防ぎ、犯罪被害を食い止めることができます。
さらに、ちょっとの立ち話であれば費用負担もなく、会話を重ねることは脳の活性化にもつながるほか、外に出て誰かと会話を楽しむという気持ちを持つことで身だしなみを整えるなど、生活にメリハリをつけるきっかけにもなります。
『女性高齢者の一人暮らし』まとめ
今回は、一人暮らしの女性高齢者が直面しやすい貧困や犯罪被害と、それを食い止めるための策について、ご紹介しました。
これ以外にも宅配のお弁当会社や運送業者、警備会社などが行う見守りサービスを活用することもできます。
お母さまの一人暮らしを安心して続けられるようにするためにも、人と人とのつながりを保てるような環境が整えられるとよいですね。
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