ご自身の、あるいは家族の老後の生活を考えると、「ひと月あたりの生活費はいくらかかるんだろう」「節約は必要なんだろうか」など心配な方は多いのではないでしょうか。
物価高騰に加えて、最近では電気料金値上げのニュースも気になるところです。
生活の不安を少しでも和らげるためには、無理のない範囲での節約を検討することも大切です。
今回は、特に高齢者の一人暮らしに焦点をあてて、電気代の平均額や節約方法を紹介します。
目次
高齢者の一人暮らし世帯の電気代
政府の統計によると、高齢者が一人暮らしをする場合の電気代は、65歳以上で6,488円/月となっています。34歳以下の一人暮らし世帯では、電気代の平均が3,628円です。
比べると、約1.8培近くも電気代に差があることがわかります。
仕事や学校などで外出する時間の多い若年層よりも、高齢者の場合は比較的家にいる時間が長いことから、このような結果になると考えられます。
参照:家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 年次 2020年
高齢者の一人暮らしで電気代が高い理由
実は若い世帯の電気代に比べて、65歳以上の世帯の電気代は高いということでした。
高齢者の一人暮らし世帯で「1ヶ月あたり約6,435円」「年間で約77,220円」と聞くと、意外と高いなと思われる方も多いのではないでしょうか。
高齢者の一人暮らし世帯の電気代が高い理由を見ていきましょう。
①住居の大きさが最適でない
一人暮らしでありながら、戸建てなど大きな家に住んでいる場合、電気代が余計にかかることがあります。
子育て時代に購入した住まいで、子が独立した後やパートナーと死別した後もそこに住み続けていると、余分な空間が増えます。
部屋数が多かったり、間取りが広かったりすることで、その分照明や冷暖房の無駄な割合が高まってしまいます。
②生活スタイルの変化
先に触れたとおり、34歳以下の一人暮らし世帯と比較すると、高齢者の一人暮らし世帯では約1.8培近くも電気代が高くなっています。
これは、高齢者のほうが家で過ごす時間が長くなるためです。
退職後、家で過ごす時間が増えたという方は多いと思われます。在宅時間が長くなると、当然電気の使用量も増えます。
このように、高齢になり生活スタイルが変化することも、電気代の増加につながると考えられます。
③身体機能の衰え
高齢になり、身体機能が衰えることが電気使用料の増加につながることがあります。
例えば視力が落ちることで手元の作業が困難になり、若いときよりも照明を明るく設定したり、夕方の早い時間から照明をつけたりする必要があるためです。
また、加齢に伴い体温の調節機能が低下するため、夏は熱中症、冬は冷えへの対策が不可欠です。すると必然的に、電気代が高くなります。
高齢者の一人暮らしの電気代の節約方法
お金の不安を減らし、老後の安心な暮らしを実現するためには、ある程度節約について考えることも必要です。
毎月の生活費における水道・光熱費、なかでも電気代は高い割合を占めるので、意識して使用料を抑えたいところです。
また電気代については、ちょっとした工夫でストレスなく節約できることもポイントです。
①こまめなスイッチオフで、待機電力を減らす
節約の基本中の基本ともいえますが、待機電力を減らすことで電気代が抑えられます。
使用していないコンセントは抜く、スイッチをオフにする、また使っていない部屋の電気は消すなどしましょう。
そのほか、ガス給湯器の電源やトイレの便座暖房なども、使用していない時間はスイッチを切ることで、節電になります。
無駄な待機電力はないか考えることが、節電・節約への意識づけにもつながります。
②LEDに変えて、照明器具の節電
各部屋の照明をLED照明に変えることで、電気代が節約できます。
白熱電球1つをLED電球に変更することで、1年間で約2,300円の電気代節約となるということです。
LEDのほうが寿命が長く長期間使用できるので、交換の手間が少ないことも、高齢者の一人暮らしでは大きなメリットとなります。
また熱を発しないため、火事ややけどなどの危険が少ないこともLEDの特徴です。
ひとつデメリットともいえる点は、 購入価格が高いことです。全部屋で付け替えするとなると、負担に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただやはり節約効果が高いので、長期的な観点で検討されることをおすすめします。
③エアコンを使うときには工夫して
エアコンが活躍するシーズン前には、エアコンを掃除して冷却効果を高めましょう。
エアコンのフィルターが汚れている、室外機の風通りが悪い置き方をしていると、冷却効果が下がります。
室外機に関しては、直射日光が当たると機会に負担がかかるため、なるべく日陰に設置することもポイントです。
またエアコンを使用するときは、扇風機やサーキュレーターも一緒に使用することで、室内の空気を循環させるとよいでしょう。
空気が循環されることで、必要以上にエアコンの設定温度を上げなくても快適に過ごせるようになります。
④冷蔵庫の使い方を見直す
冷蔵庫に食品を詰め込みすぎると冷却効率が下がるため、電気使用量の増加につながります。
冷蔵庫には、空気の通り道ができるほどに抑えて入れたほうがよいとされています。
一方冷凍庫の場合は、凍った食べ物同士が保冷剤の役割を果たし効果的に冷やせるため、隙間がなくても問題ありません。
そのほか、扉の開け閉め時間を短くしたり、季節によって温度設定を変えたりすることも有効です。
⑤最新の省エネ家電への買い替え
最新の省エネ家電へ買い替えも検討してみましょう。
壊れていないと家電の買い替えはもったいないような気がするかもしれません。
5年前の製品でも省エネ性能は進歩していますが、少なくとも10年以上使用しているようであれば、それは変え時だと思って省エネ家電家への切り替えをおすすめします。
10年前の家電と比較すると、今の省エネ家電の多くは5%の省エネを実現しているといわれており、その機種によっては年間1万円以上の節電につながることも。
購入時には費用がかかりますが、長い目で見ると節約になることを考慮して、検討するとよいでしょう。
⑥電気のプランを見直す
契約中の電気代プランを見直すことも大切なポイントのひとつです。
具体的な方法として、契約のアンペア数を下げることが挙げられます。
アンペア数が小さいほど基本料金が安くなるので、現在の使用状況をふまえて検討してみましょう。
また、時間帯割引を活用する方法もあります。多くの電力会社では、夜の時間帯の電気代が安くなるプランを提供しています。
高齢者の場合、夜は早く寝るのであまり電気代は使用しないといった方が多いかもしれませんが、ライフスタイルに合わせてプランを見直すことが大切です。
⑦光熱費の支払いをクレジットカード払いにする
電気代をはじめ、光熱費の支払いをクレジットカード払いにすることも節約になります。
毎月の支払いでポイントが貯まっていくのでお得です。また支払い履歴がクレジットカードの明細に残るため、家計管理や見直しにも役立ちます。
定期的に電気代を見直そう
「老後」というとあまり長いスパンでの見通しを立てられない方が多いのですが、人生100年時代といわれる今、長い生活を見越した将来設計が必要です。
高齢になって身体や生活スタイルに変化が生じることで、電気使用量が多くなり、電気代が高くなります。
生活費の多くを占める光熱費を節約することで、余裕を持った生活が実現できます。
高齢者の一人暮らしだからこそ、生活費に余裕をもたせていざというときに備えておくことも大切です。
定期的に電気代の見直しをすることは、家計の見直しにもつながります。
家計の見直しは電気代から
一人暮らし世帯だと電気代が安いのではと思いきや、高齢者の場合、電気代は高くなりがちです。
その原因はさまざまですが、身体の衰えや生活スタイルの変化によって電気の使用量が多くなることが挙げられます。
高齢者の一人暮らしでは、いざというときのための蓄えがあると安心です。そのためには、節約を考える必要があります。
生活費のなかでも高い割合を占める光熱費、特に電気代については節電を考えたいところです。
毎日のちょっとした心がけや行動で節電できるので、節電への取組みを始めてみませんか?
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