酒蒸しやお吸い物といった和食から、クラムチャウダーやアクアパッツァなどの洋食まで、さまざまな料理で利用されているあさり。貝ならではの味わいとたっぷりのうま味が魅力で、アミノ酸の一種であるタウリンや、亜鉛などの豊富なミネラルが含まれています。今回はあさりの栄養価と、栄養を余すところなく食べられるおすすめレシピをご紹介します。
目次
あさりとはどんな食材?
あさりは、マルスダレガイ科アサリ属に分類される二枚貝。「あさり」という名前の由来は、海辺に行って「あさる」と簡単に採れることから来ている説と、浅瀬にいるという意味の「浅貝」から来ている説があります。東アジアから東南アジアまでの、湾内の砂地や干潟に生息しており、最大6センチほどにまで大きくなります。
日本では、貝塚からあさりの殻が見つかっているように、先史時代から食用とされてきました。江戸時代の人々に特に愛されていた記録が残っており、地誌『続江戸砂子』には、現在の東京都江東区深川あたりの名産としてあさりの名前が挙げられています。また、当時はあさりが安価だったことから、倹約おかず番付にあさり料理がランクイン。夏のレジャーの一つである潮干狩りが行われるようになったのも、この頃のことでした。
現在では埋め立てによる砂地の減少や水質の悪化などにより、漁獲量が激減しています。国産あさりの生産量第1位は愛知県ですが、スーパーなどでは輸入された中国・韓国産のあさりもよく出回っています。
あさりの選び方と砂抜き
あさりは、春や秋の産卵を控えた時期にとれたものが、身がずっしりとふくらみ、最もおいしいとされています。旬と言われるのは2~4月、9~10月の年2回です。
あさりの色や模様は、おいしさや鮮度にはあまり関係がありません。大切なのは、できるだけ生きているもの、新鮮なものを選ぶことです。口が開き、身が全く動かないものや、においが強いものは鮮度が悪くなっている可能性があるので避けた方がよいでしょう。パック詰めされているものなどは、一緒に詰められている水が濁っていないかどうかで新鮮さをチェックすることができます。
閉じた貝の隙間からふくらんだ身が見えるくらいのものが、よく肥えておいしいとされています。また殻の形や厚みにより味わいが異なり、横幅がなくころんとしたものは岸に近いところで採れたあさりで、しっかりとした歯ごたえと素朴な味わいが魅力。薄く平べったいあさりは沖合で採れたもので、柔らかい身質でうま味が強いとされています。
砂抜き方法
1あさりの殻をすり合わせるようにしてよく洗います。この際身が入っていないあさりや、砂交じりのアサリが入っている可能性があるので、振って身が入っているか、砂の音がしないか確認しましょう。
2器とザルを用意し、あさりが重ならないようにザルに広げたら、3パーセント程度の塩水を入れます。水200gなら塩6g程度です。水の量は、あさりの頭が少し出るくらいが理想です。
3常温の暗所で30分以上置いておきます。潮干狩りで採ったあさりは、3時間~半日程度がおすすめです。
※潮干狩りで採ったあさりは殻の中に海水を含んでいるので、砂抜きの後さらに塩抜きをしましょう。塩抜きは、砂抜きが終わった後に水から揚げ、ザルに入れたまま30分放置するだけでOKです。
あさりに含まれる栄養価
ビタミンB12
ビタミンB12は水溶性ビタミンの一種。赤血球を正常に作るために欠かせない役割を果たしており、不足すると貧血や疲労を引き起こします。神経の機能を助け、ホルモンの分泌を調整して生活リズムを整えるはたらきもあります。
タウリン
タウリンはアミノ酸の一種。血中コレステロール値や血圧の抑制作用があり、生活習慣病の予防に効果的です。そのほかにも、疲労回復作用、心臓・肝臓機能の向上、視力の改善作用などさまざまなはたらきがあり、最近体の調子が悪い、疲れているという時に取ってほしい栄養素の一つです。
亜鉛
亜鉛はミネラルの一種で、体内の新しい細胞を生み出す組織や器官では欠かせない栄養素です。不足すると皮膚のトラブルや味覚障害を引き起こします。お肌や髪の健康の維持、抗アレルギーなどに効果が期待できます。
鉄分
鉄分は、赤血球をつくるヘモグロビンを構成する成分の一つ。あさりに含まれるビタミンB12やB6とともに、体に必要な血液を作り出します。貧血対策にも効果的です。
あさりのおすすめレシピ
【あさりの酒蒸し】
あさりの味わいをダイレクトに楽しめる料理といえば、「あさりの酒蒸し」ではないでしょうか。おかずやお酒のお伴にもぴったりなメニューですよね。しょうがやにんにくを入れるレシピもありますが、今回はあさりのうま味を活かしたシンプルなレシピをご紹介します。
【材料】
・あさり 200~300g
・酒 70ml
・しょうゆまたは塩 お好みで
・ねぎや三つ葉など お好みで
1. 洗って砂抜きしておいたあさりと酒を鍋に入れ、中火にかけます。
2. 沸騰したら火を弱め、あさりの口が開くまで煮ます。
3.口が開きはじめたら蓋を取り、ネギや三つ葉を加えます。
4.すべてのあさりの口が開いたら火を止め、醤油や塩で味を調えたら完成です。あさりそのものも塩分を持っているため、味見をしながら塩や醤油を加えていくのがおすすめです。
あさりレシピのまとめ
貧血予防や疲労回復、生活習慣病予防などにも役立つ栄養素が豊富なあさり。水溶性ビタミンなどを含むため、今回ご紹介したレシピのように汁まで食べられる料理がおすすめです。貧血気味の方や最近疲れを感じているという方は、ぜひ旬を迎える季節に、積極的に食事に取り入れてみてくださいね。
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