白くて長いエノキタケ、価格の優等生であり、一年中手に入る手軽な食品のため、日ごろから利用しておられる方も多いことと思います。エノキタケをはじめとするキノコ類には食物繊維が多く含まれていることは有名ですが、他の栄養素はどうなのでしょうか?今回はエノキタケの栄養素やおいしいレシピをご紹介します。
目次
エノキタケとはどのようなキノコ?
エノキタケはキシメジ科エノキタケ属に属するキノコの一種で、晩秋から冬、春にかけて発生します。日本を含むアジアからアフリカ、ヨーロッパと広い範囲に分布し、古くから食用として利用されてきました。
本来、エノキやナラ、カシなど広葉樹の枯れ木に寄生するキノコで、野生のエノキタケは私たちが日常入手するものとは似ても似つかぬ姿をしています。足は短く、傘の表面にはつややかなぬめりがあり、どちらかというとナメコに似ていて、寄生する木の種類や発生する場所の自然環境により、さまざまな姿に変化するということです。
明治時代になると原木栽培が、昭和初期になるとおがくず栽培がおこなわれるようになりましたが、現在のような白くて足の長いエノキタケは1960年代頃に暗室栽培を行うようになり、一般的になりました。
エノキタケの生産量一位は長野県、次いで新潟県、福岡県と続いています。
エノキタケの栄養価は?
白くて、どこか頼りなさげなエノキタケですが、実はさまざまな栄養を含んでいます。
① カリウム
カリウムは主に私たちの細胞内液に含まれ、過剰に摂取したナトリウムを排泄し、むくみを解消して血圧を正常に保つ働きがあります。また、近年の研究ではカルシウムが骨に沈着するのを助け、骨粗しょう症予防に一役かっていることがわかってきました。
生のエノキタケ100gあたり、340mgのカリウムを含んでいます。
② ビタミンB1
水溶性ビタミンの一種、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変え、疲労回復を助け、糖が唯一のエネルギー源である脳神経系を健康に保つ働きがあります。また、皮膚や粘膜の健康を担っています。
生のエノキタケ100gあたり、0.24mgのビタミンB1を含んでいます。
③ エルゴステロール
エルゴステロールはキノコ類に多く含まれる物質で、紫外線にあたることでビタミンDに変化します。ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、歯や骨を丈夫にする働きがあります。
④ 葉酸
水溶性ビタミンの一種、葉酸は、細胞分裂を正常に行う働きを担っています。また、ビタミンB12とともに血液を作る働きがあり、不足すると巨赤芽球性貧血という悪性の貧血を引き起こします。妊娠初期の女性が葉酸不足になると、胎児に発育障害などがみられることがあります。また、葉酸は、成人においては脳卒中、心筋梗塞などの循環器系疾患の発症リスクを軽減する働きが確認されています。
生のエノキタケ100gあたり、75㎍の葉酸を含んでいます。
⑤ パントテン酸
パントテン酸は体内でも作ることができるビタミンBの一種で、ビタミンB1とともに糖質やたんぱく質、脂質からエネルギーを作り出したり、ストレスに対する抵抗力をつけたりする働きがあります。
生のエノキタケ100gあたり、1.40mgのパントテン酸を含んでいます。
⑥ 食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があります。
水溶性食物繊維は小腸で栄養素の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑え、コレステロールやナトリウムを吸着し、体外に排出する働きがあります。不溶性食物繊維は有害物質を吸着して排せつするとともに、水分を抱え込んで便のかさを増やし、便秘の改善に効果的です。
生のエノキタケ100gあたり、0.4gの水溶性食物繊維、3.9gの不溶性食物繊維を含んでいます。
⑦ βグルカン
βグルカンとは、キノコや酵母の細胞膜に含まれる食物繊維の一種です。マクロファージやリンパ球、ナチュラルキラー細胞といった免疫細胞に働きかけることにより、活性を高め、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防、がんの抑制に効果があるといわれています。
⑧ エノキタケリノール酸
エノキタケの中から発見された成分で、内臓脂肪率を減少させる働きがあります。ただし、生のエノキタケのままだと固い細胞壁に阻まれ、吸収が難しいことから、一旦乾燥させたものを利用するほうがよいということです。
エノキタケは必ず加熱調理を
このようにさまざまな栄養素を含むエノキタケですが、フラムトキシンというたんぱく質を含んでいます。フラムトキシンには強心作用、O型の血液に対する溶血作用があると考えられています。
幸いなことに熱に弱い性質で、沸騰後3~5分で無毒化されますので、必ず加熱して召し上がってくださいね。
エノキタケのおすすめレシピ
【エノキタケとベーコン、アスパラのスパゲッティ】
旨みが強いエノキタケは、和洋中どのような料理にも合いますね。パスタは食べたいけれど、ダイエットや生活習慣病を気にしておられる、という方にもおすすめです。
【材料】 2人分
エノキタケ 1/2株
ベーコン 70g程度
アスパラガス 2本
スパゲティー 140g
塩 適宜
オリーブオイル 大さじ1
(お好みで にんにく 1かけ)
【作り方】
① エノキタケは根本を3cm程度落とし、ほぐしておきます。繊維が固いので、必要に応じて適当な長さに切りましょう。
② ベーコンは拍子木切りに、アスパラガスはハカマを取り、斜め切りにします。
③ 鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら塩を加え、スパゲティーを袋の指示通りの時間で茹でます。(※1)
④ フライパンにオリーブオイルを熱し、ベーコンを炒めます。(※2)
⑤ ベーコンから脂が出てきたら、アスパラガス、エノキタケを加えさっと炒めます。
⑥ スパゲティーが茹で上がったら、⑤に加えてさっと炒め合わせます。
(※1) スパゲティーを茹でるとき、乾麺100gに対し、塩10g、熱湯1リットルが基本の割合になります。今回は麺が140gなので、塩が14g、熱湯1.4リットルですが、体調により加減していただいて大丈夫です。
(※2)にんにくを使用するときは皮をむいて縦半分に切り、芽を取り除いてから鍋底などで軽くつぶし、レシピ④でフライパンが冷たいうちにオリーブオイルと共に加え加熱します。
エノキタケレシピのまとめ
とても身近なキノコ、エノキタケ。スーパーマーケットに行くといつでも手に入る、お財布にも優しい食材の一つにもかかわらず、さまざまな栄養成分や、ちょっと嬉しい効能があることが知られるようになってきました。ぜひとも積極的にとりたいところですね。
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