目次
イカとはどんな食材?
イカは分類上、魚ではなく貝類と同じ軟体動物門というグループに入ります。スルメイカなどについている軟骨や、コウイカ類についているイカの甲は貝類の貝殻にあたる部分です。
イカの種類
イカの種類はとても多く、わかっているだけでも世界中に約450種類が存在しているといわれます。食用としているのはそのうちの約30種類で、日本で主に食べられているイカは、大きくコウイカ目とツツイカ目に分けられます。
<コウイカ目>
・コウイカ
固い石灰質の甲を持つことからこの名前がついています。肉厚で甘みがあり、特にコウイカの子供は、「新イカ」と呼ばれ高級な寿司ネタとしても使われます。
<ツツイカ目>
・アオリイカ
漁獲量が少なく、一般的なスーパーなどにはほとんど出回りません。甘味とうま味が強く、イカの中でも、刺身にすると最も美味しいといわれます。
・スルメイカ
日本の沿岸に広く生息しています。刺身、煮物の他、スルメなどの加工品としても広く使われています。
・ヤリイカ
別名ササイカとも呼ばれます。日本特産のイカで、身は薄めで甘みがあります。
・アカイカ
全長80㎝、重さ4㎏を超える大型のイカです。肉厚で柔らかく、もちもちした食感が特徴です。加熱調理に向き、冷凍食品などに加工されて広く販売されています。
イカの体
・腕
一般的には足と呼ばれますが、物を捕まえたりする機能があるため腕といいます。10本の腕のうち2本は、吸盤が先端に集中している「触腕(しょくわん)」と呼ばれる構造をしています。この触腕を使ってエサを捕食しますが、身の危険を感じると、触腕を自らちぎり取って逃げることもあります。
・眼
イカの目は大きく、白目と黒目があり人の眼に近い構造をしています。
・漏斗(ろうと)
腹側の眼と眼の間にあり、呼吸によって取り込んだ海水を漏斗から勢いよく吐き出すことで推進力を得ます。漏斗を前後左右に曲げることで進む方向を変えることができます。墨も漏斗から排出されます。
・ひれ
「えんぺら」とも呼ばれます。水中でバランスを保ったり、かじ取りの役目があります。
・外套(胴体)
内臓が入っている部分です。
・口
イカの口は腕の付け根の中央にあり、「カラストンビ」と呼ばれる顎にあたる器官がついています。このカラストンビで魚などのエサを噛み切って取り込み、口の中のおろし金のような器官ですりつぶしてから内臓へ送り込みます。
イカに含まれる栄養
イカは低カロリーで、低脂肪、高たんぱくの食品です。消化が悪いといわれることがありますが、その消化率は他の魚介類と大差はありません。しかしイカ特有の歯ごたえにより、よく噛まずに飲み込んでしまうと消化器官に負担がかかることがあります。しっかり噛んで、イカのうま味や甘味を味わいましょう。
たんぱく質
イカは種類によって異なりますが、アミノ酸スコア70~100で、アミノ酸組成の整った質の良いたんぱく源といえます。ヤリイカのアミノ酸スコアは71で、イカの中では低めですが、これは他の魚介類と比較して必須アミノ酸のバリンの含有量が少ないためです。バリンは米にも含まれるため、主食をごはんにすることでバランスがとれます。
タウリン
タウリンはアミノ酸の一種で、人の体内ではあらゆる臓器に存在していますが、特に脳や心臓、肝臓、骨格筋、網膜には多く存在します。タウリンにはホメオスタシス(恒常性の維持)作用があり、体内のさまざまな機能を制御し、常に一定の生理作用で動くようにバランスをとる働きがあります。また筋肉疲労の回復や、運動時の脂肪燃焼効率の上昇などの効果も確認されています。
薬膳の効果
肝腎の働きを助け、疲労回復に効果的です。気・血を補い、婦人科系の不調にも効果があるといわれます。
イカ墨の栄養
イカ墨の黒い色の成分であるメラニンはアミノ酸の一種で、抗菌作用、整腸作用、血流促進などの効果があるといわれます。また、イカ墨はタコの墨と比べる粘度があり、これはムコ多糖類が含まれているためです。ムコ多糖類とはコンドロイチンやヒアルロン酸など関節の潤滑剤の役目を持つほか、細胞や臓器を保護したり、免疫力を強化する働きについても期待がされています。沖縄では古くから「いかすみ汁」という郷土料理が食べられており、頭痛や肩こり、産後の回復に良いといわれています。いかすみ汁は、イカと豚肉をカツオと昆布のだしで煮込み、よもぎや苦菜(にがな)などの野菜を加えてからイカ墨を入れて仕上げます。
イカのおすすめレシピ
イカは目にハリがあって黒目がきれいなものを選びましょう。身の色ははっきりとしていて、透明感がある方が新鮮です。
【イカ飯】
【材料】(作りやすい分量)
・イカ 4杯
・米 100g
・長ねぎ 10㎝くらい
・生姜チューブ 1㎝
・ごま油 大さじ2/3
<煮汁>
・酒 50ml
・みりん 50ml
・醤油 大さじ2
・砂糖 大さじ2
・水 200~300ml
・生姜チューブ 1㎝
・にんにくチューブ 1㎝
【作り方】
1.米は洗って水をきっておきます。
2.イカの下処理をします。今回は胴体部分の長さが18㎝、幅が6㎝くらいのイカを使用しています。
3.イカの胴体の中に指を入れて、中のワタを胴体からはがします。軟骨を引き抜いてから、足部分を持ってゆっくりと引き、胴体からワタを外します。
4.胴体部分は水で洗い、ワタを足から切り離しておきます。
5.目玉をとり、足を裏返すようにして目と目の間に埋まっているカラストンビを取ります。水で洗いながら足についている吸盤を指でこそげ落とします。
6.イカの足は1㎝くらいに切り、長ねぎはみじん切りにします。
7.フライパンにごま油を入れ、長ねぎと生姜チューブ、イカの足とワタ、米を炒めます。イカに火が通ったらボールなどに入れて冷ましておきます。焦げやすいので注意しましょう。
8.イカの胴体に、炒めた米を詰めていきます。胴体の8分目程度のところまで詰めたら、口をつまようじで縫うように閉じ、胴体をつまようじで数か所刺して穴を開けておきます。
9.煮汁の材料を鍋に入れてイカを並べます。火をつけて煮汁が煮立ってきたら落し蓋をして火を弱めます。コトコトと30分くらい煮ます。イカがふっくらとしてきたら上下を返しながら煮て、途中で煮汁が少なくなったら水を足してください。
10.30分煮たらふたをして、そのまま冷ましてできあがりです。
※イカがぴったりと並ぶ鍋を選び、煮汁がひたひたになるように調整してください。
※グラグラと煮立てるとイカがかたくなることがあります。
イカレシピのまとめ
イカにはタウリンが豊富に含まれており、疲労回復や夏バテ予防に効果が期待できます。イカの下処理は、慣れてしまえば難しいことはありません。新鮮なイカをみつけたら、ぜひ挑戦してみましょう。
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