タンパク質豊富なヘルシー食材 麩

タンパク質豊富なヘルシー食材 麩
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麩とはどんな食材?

麩は、グルテンを主原料とした加工食品です。

麩の歴史

南北朝時代から室町時代に中国から禅僧によって生麩が伝えられたといわれていますが、はっきりとした伝来時期はわかっていません。肉食が禁じられていた禅僧にとっては貴重なタンパク源であり、精進料理の食材として重宝されていました。茶人の千利休は生麩を焼いた「ふのやき」を茶会の菓子として使い、この「ふのやき」が焼き麩の原型になったといわれています。江戸時代になると生麩は庶民の間にも広まり、地域によってさまざまに変化しながら現在の形にまで完成されました。

麩の種類

<生麩>
小麦粉から抽出されるグルテンにもち粉や小麦粉を加えて練ってから、ゆでたり蒸したりしたものです。もっちりとした食感が特徴です。
・手まり麩:小さく丸めた生麩に、手まりのように模様や色付けをしたものです。
・よもぎ麩;生麩によもぎを練り込んだ生麩です。
・すだれ麩:石川県加賀地方の特産で、治部煮に欠かせない食材です。巻きすの上に伸ばして作るため、巻きすのあとが残って湯葉のような見た目が特徴です。
<焼き麩>
生麩にデンプンや膨張剤を加えて成形してから焼いたものです。
・小町麩:最も一般的な焼き麩で、全国で生産されています。
・仙台麩:別名を油麩とも呼ばれます。宮城県や岩手県の特産で、油で揚げているのでボリュームがあるのが特徴です。
・庄内麩:山形県庄内地方の特産です。生麩を棒に巻き付けて焼いた後、薄く押しつぶしたものです。
・安平麩:山口県の特産で、まんじゅうのような形をしています。
・車麩:棒に生地を塗って焼くのを繰り返し、年輪のような模様があるのが特徴です。よく焼いてあり、煮崩れしにくいのが特徴です。
・花麩:ピンクや白の花の形をしているのが特徴です。京都の特産でおつゆ麩と呼ばれることもあります。

グルテンとは

ラテン語のglue(接着)が語源のグルテン(gluten)は、日本語に訳すと「麩質」と表され、麩はグルテンに副材料を加えて作られたものです。小麦に含まれている「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のタンパク質に、水を加えて捏ねることで「グルテン」が生成します。グルテニンは弾力に富み伸びにくい性質で、グリアジンは弾力は少ないが粘着力が強く伸びやすい性質があるため、グルテニンとグリアジンの比率や分子構造によってグルテンの性質が変化します。パンが膨らむのも、うどんにコシが生まれるのも、グルテンの性質によるものです。

麩に含まれる栄養

麩は植物性タンパク質が主な成分です。精進料理の食材として古くから使われてきましたが、他にも宗教上の理由やヴィーガンなど動物性食品を避けた食生活においては、肉料理の代替タンパク源として利用できます。

タンパク質

タンパク質はアミノ酸が結合した高分子化合物で、筋肉や臓器など体の構成成分となる重要な栄養素です。体を作る他にも酵素やホルモン、免疫物質など、健康を維持するためのさまざまな機能にかかわっています。タンパク質は動物性の食品に含まれる動物性タンパク質と、植物性の食品に含まれる植物性タンパク質があります。麩に含まれるのは植物性のタンパク質です。一般的に動物性食品はアミノ酸スコアが高い良質のタンパク質が多いといえますが、脂質も多く含みます。一方、植物性タンパク質の利用効率は動物性タンパク質には及びませんが、脂質が少なく低カロリーです。動物性タンパク質と植物性タンパク質の両方をバランスよく摂るようにしましょう。

カルシウム

カルシウムは体内に最も多く含まれているミネラルです。骨や歯の主な構成成分になるほかにも、血液や筋肉、神経組織にも存在し、細胞の分裂や分化、筋肉の収縮、血液凝固など、さまざまな働きに関与しています。

体内に存在する鉄分の多くは血液中のヘモグロビンの構成成分となって、全身に酸素を運ぶという重要な働きがあります。鉄分の不足は、鉄欠乏性貧血の原因となります。ヘモグロビンは鉄とタンパク質が結合してできているため、貧血の予防にはタンパク質の摂取も大切です。

亜鉛

亜鉛は生体内の反応にかかわる酵素の構成成分となっているほか、タンパク質の再合成やDNAの合成にも必要です。また胎児の発育や骨の成長、精子を作るなど、新しい細胞を作るために欠かせないミネラルです。亜鉛が不足すると味覚障害や貧血、皮膚炎、脱毛、認知機能の障害など、さまざまな症状があらわれる可能性があります。

銅もヘモグロビンの合成に必要なため、貧血の予防に欠かせないミネラルです。他にも免疫力を高める効果や活性酸素の除去、神経伝達物質の産生などにもかかわっています。

薬膳の効果

麩は体の余分な熱をとり、消化不良を改善する効果があります。皮脂の量を調整する働きがあり、特に頭皮のべたつきを改善する効果が期待できるといわれます。

麩のおすすめレシピ

生麩はそのまま調理できます。焼き麩はたっぷりの水に浸けて、中心部までやわらかくなるまで戻し、水分をよく絞ってから調理しましょう。水で戻すと乾燥時の3倍以上になります。焼き麩は未開封であれば、常温での長期保存が可能です。開封後は湿気を吸収しやすいので、高温多湿を避けて冷暗所で保管しましょう。生麩は冷蔵庫で保管し、開封後は使いやすい量に小分けしてからラップに包み、保存袋に入れて冷凍することもできます。使う分ずつ冷蔵庫に移して解凍しましょう。

【麩の卵とじ】

麩の卵とじ

【材料】(2~3人分)
・車麩       20g
・玉ねぎ      1/2個
・にんじん     40g
・しいたけ     15g
・卵        1個
・万能ねぎ     5g
・酒        大さじ1
・みりん      大さじ1
・和風だしの素   小さじ1/2
・砂糖       小さじ1
・しょう油     大さじ1

【作り方】
1. 車麩はたっぷりの水に浸けて戻しておきます。

作り方1

作り方1-2

2. 玉ねぎは5㎜くらいのスライス、にんじんは短冊切り、しいたけは薄くスライスに切っておきます。
3. 車麩がしっかり戻ったら、水分をしぼってから食べやすい大きさに切っておきます。

作り方3

4. フライパンに玉ねぎとにんじん、しいたけを入れて、水100㏄くらい(分量外)を入れて火をつけます。
5. 沸騰したら酒、みりん、和風だしの素を入れて、野菜に火が通るまで煮ます。途中で水分が少なくなったら、少量ずつ足しながら煮ましょう。
6. 野菜がやわらかくなったら車麩を入れ、砂糖と醤油を加えて、煮汁が少なくなるまで煮ます。

作り方6

7. 焦げないように火加減を調節し、煮汁がほとんどなくなるまで煮てから溶いた卵をまわし入れ、ふたをします。卵に適度に火が通ったら、刻んだ万能ねぎを散らしてできあがりです。

作り方7

※ 水で戻した麩はしっかり水分を絞りましょう。水分が多く残っていると味が薄く、水っぽくなることがあります。

麩レシピのまとめ

麩は植物性のタンパク質であるグルテンが主成分の食品です。脂質や糖質が少なくてカロリーが低く、特有の味や香りが少ないため、いろいろな食品と組み合わせて調理することができます。麩の種類も豊富なので、料理によって使い分けて楽しんでみましょう

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この記事の提供元:シルバーライフ

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