みそ汁に鯖のみそ煮など汁物からメイン料理まで様々な料理に使用される日本の伝統的な調味料「みそ」。みそは様々な健康効果が期待できる優れた発酵食品です。みそに含まれる栄養と期待できる健康効果についてご紹介します。
目次
◆一汁一菜を確立した「みそ」
日本の食卓に欠かせないみそは大豆に麹と塩を加えて発酵させて作られます。みその起源は古代中国の「醤(ひしお)」や「豉(くき)」と言われており、飛鳥時代に中国から日本に伝わり独自に発展しました。平安時代には高級品でしたが、鎌倉時代にはみそ汁が作られるようになり「一汁一菜」という武士の食事の基本が確立されたと言われています。1300年以上の長い歴史があるみそは各地で様々な種類が作られるようになり、現在では仙台みそや信州みそ、西京みそに八丁みそなど様々な種類が販売されています。
みそは発酵の過程で酵母菌や乳酸菌が加わることで風味豊かに仕上がります。料理に加えることでコクとうま味を出したり、魚の臭み消しにも活用できます。また、たんぱく質を分解する酵素を含んでいるので、肉や魚をやわらかくする効果もあります。
さらに、みそには抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれており、アンチエイジングにも効果的。がんや糖尿病などの生活習慣病予防にも効果が期待できます。
◆みその種類について
みそは地域によって使用する麹の種類や製法が異なり様々な種類があります。みそは大きく分けて「米みそ」「麦みそ」「豆みそ」に分類することができます。また、異なるみそや麹を混ぜる「調合みそ」もあります。
・米みそ
大豆に米麹、塩を加えて発酵させたみそのこと。国内生産量の約80%を占める一般的なみそです。米麹の割合が高いものを甘みそ、低いものは辛みそと呼ばれます。
・麦みそ
大豆に麦麹、塩を加えて作るみそです。別名「田舎みそ」とも呼ばれます。ほんのりと麦の香りがして、みそ汁にするとさっぱりとした仕上がりになります。九州地方でよく使用されています。
・豆みそ
豆みそは蒸した大豆を直接麹にしたものと塩を合わせて長期熟成させたものです。八丁みそ、三州みそ、名古屋みそなどが豆みそです。
◆みそに含まれる栄養
大豆が原料のみそには、良質な植物性たんぱく質が豊富。さらに、必須アミノ酸が8種類すべて含まれており、発酵によって大豆にはないビタミン類も加わります。その他にも脂質、炭水化物、カルシウムなどのミネラル、食物繊維など多くの栄養素が含まれています。
・更年期障害を和らげる効果も!大豆イソフラボン
イソフラボンはポリフェノールの一種です。女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きをすることから、ハリのある肌を作ったり骨粗しょう症の予防に役立ちます。更年期以降の女性はエストロゲンの分泌量が大幅に減るため、女性は特に意識してとりたいですね。
・大豆サポニン
大豆の苦味やえぐみの成分でポリフェノールの一種です。強い抗酸化作用があり、悪玉コレステロールの酸化を抑え、動脈硬化予防に効果が期待できます。また、コレステロール値や中性脂肪を下げる働きもあります。
・レシチン
レシチンは脂質の一種で、体内で細胞膜を作る成分です。脂肪やコレステロールが血管壁に付着するのを防ぐ効果があり、動脈硬化予防に効果が期待できます。
・リノール酸
リノール酸は不飽和脂肪酸の一種で、血中総コレステロール値を低下させ動脈硬化を予防する効果があります。ただし、摂取しすぎると善玉コレステロールも下げてしまうことがあるので注意が必要です。
・食物繊維
不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸い込んで膨らみ、腸を刺激することで便通を促し
て便秘の解消に役立ちます。また、有害物質を排出する効果もあります。水溶性食物繊維は、腸内環境を整える効果や血糖値の急激な上昇を抑える、コレステロールの吸収を抑制する効果が期待できます。また、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
◆みその健康効果とは?
・生活習慣病予防
みそに含まれるリノール酸とレシチンにはコレステロール値の上昇を抑える効果があり、動脈硬化の予防に効果が期待できます。また、みその発酵・熟成の過程でできる褐色色素の「メラノイジン」には糖分の消化吸収速度を遅くして食後の血糖値の上昇を抑える働きがあり、糖尿病の予防にも効果が期待できます。さらに、みそには遺伝子変異を抑制する効果があり、胃がんや乳がんなどの予防にも効果が期待できると言われています。
・美肌効果
みそには美肌効果を期待できる成分が豊富に含まれています。抗酸化作用の強い大豆イソフラボンや大豆サポニン、ビタミンE、メラノイジンなどが豊富で、これらの成分は活性酸素を消去する働きがありシミやシワ、肌荒れなどを防ぎアンチエイジング効果が期待できます。さらに、みそには食物繊維も豊富に含まれているので腸内環境を整える効果があり肌荒れ予防にも効果が期待できます。
◆みその栄養を上手にとるコツ
塩分を気にしてみそ汁やみそを使った料理を控えている方も多いのではないでしょうか?みそ汁1杯の塩分量は約1.2g。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると成人1日あたりの塩分摂取目標値は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満とされています。
塩分が気になる方は、塩分を排出する効果のあるカリウムや食物繊維が豊富な野菜・海藻類と一緒にとるようにしましょう。野菜は加熱することでカサが減り食べやすいくなるので、おみそ汁に野菜をたっぷりと入れるのがおすすめです。また、みそ汁はお出汁をしっかりと効かせることで味噌の量を少なくしても美味しく食べることができますよ。
◆レシピ|豚肉となすのみそ炒め
みそ味でご飯が進むおかずです。みそは火を通しすぎると香りが飛んでしまうので、仕上げは強めの火加減で手早く仕上ることがポイントです。
【材料(2人分)】
豚ロース薄切り肉…150g
なす…2本(160g)
Aみそ…大さじ1
A酒…大さじ1
Aみりん…大さじ1
Aしょうゆ…大さじ1/2
A砂糖…小さじ1
サラダ油…大さじ1
【作り方】
①豚肉は半分に切る。なすは長さを半分に切って縦4~6等分の棒状に切る。水にさらしてよく水気を切る。
②【A】を混ぜ合わせておく。
③フライパンにサラダ油を熱し、中火で豚肉を炒める。だいたい色が変わったら、なすも加えて炒め合わせる。具材に火が通れば、②を加えて少し火を強め、汁気が少なくなるまで炒め合わせる。
【ポイント】
・みそは米みそを使用しました。調合みそでも美味しくできます。
◆みそレシピのまとめ
がんや糖尿病などの生活習慣病予防や美肌作りにも効果的なみそ。古くから日本人の食生活に欠かせないみそは様々な健康効果が期待できる調味料です。健康な体作りのために1日1杯のおみそ汁を習慣にしてみてはいかがでしょうか?
記事一覧へ戻る