クエン酸が豊富に含まれていることから疲労回復に効果的な調味料として知られている「酢」。その他にも骨粗しょう症の予防や血液をサラサラにする効果など、酢には様々な健康効果が期待できます。酢の種類や健康効果についてご紹介していきます。
目次
◆お酢とはどんな?
酢の原料や製造法はさまざまで、米や玄米などの穀物を原料として作るものやりんごなどの果物を原料とするものなど、世界中に多くの種類があります。酢の歴史は古く、紀元前5000年ごろから造られていたそうです。日本に酢が伝わったのは、酒造りの技術が伝わった4〜5世紀ごろと言われています。なぜ酢と酒が関係しているかというと、酢は酒から造られるからです。昔ながらの伝統的な造り方では、まず米や果物から酒を造り、その酒を酢酸発酵させることで酢が完成します。手間と時間がかかるので昔はとても高価な調味料だったそうです。酒の原料は穀物や果物、野菜、芋類、サトウキビなどさまざまなものがあるので、その国や地域によって原料が異なるさまざまな酢が存在しています。原料によって酢の風味も変わるので、料理によって使い分けてみるのも楽しい調味料です。現在では酒を造る工程を省いて、アルコールを加える方法で作られた量産型の酢も多く販売されており手軽に使用できるようになりました。
◆お酢の種類について
・米酢
米の甘味と旨味があり、まろやかな風味が特徴です。和食によく使用され、酢飯を作る時にも米酢がよく用いられます。加熱すると風味が飛んでしまうので、酢の物やドレッシング、マリネなどに使用するのがおすすめです。
・穀物酢
小麦や米、とうもろこしなど2種類以上の穀物を使用して造られます。米酢に比べてすっきりとした風味が特徴で、酢の物から煮物、炒め物など様々な料理に活用できます。家庭でもよく使用されているポピュラーな酢です。
・黒酢
玄米や大麦が原料で、麹菌の働きによって発酵・熟成されて褐色になります。酢の中でも特にアミノ酸が多く含まれていることが特徴です。酸味のカドがなく健康飲料としても人気があります。中華料理にもよく使用されています。
・りんご酢
フルーティーで軽い味が特徴の酢です。サラダやマリネ、サワードリンクやドレッシングなどに向いています。
・バルサミコ酢
イタリア生まれの酢で、ぶどうの果汁を煮詰めて木の樽で長期間熟成させて造られます。長い時間をかけて熟成させるので、濃厚で豊かな香りが特徴です。
・ワインビネガー
ぶどう果汁から造られるフランス生まれの酢です。ぶどう果汁をアルコール発酵させた後に酢酸菌で発酵させて造られます。ワインと同様に赤と白があります。赤ワインビネガーは少し渋みがあることが特徴で、ソースや煮込み料理などに向いています。白ワインビネガーはフルーティーでスッキリとした味わいが特徴で、マリネやサラダ、ドレッシングなどに向いています。
◆お酢の健康効果とは?
・疲労回復
酢に含まれている酸味の成分であるクエン酸は疲労の原因となる乳酸の生成を抑える働きがあり、倦怠感の解消や肩こりの解消にも効果が期待できます。また、このクエン酸は「クエン酸回路」という体内でエネルギーを作り出すサイクルを活発にする働きがあるので、疲労回復に効果的です。
・骨粗しょう症予防
酢に含まれているクエン酸はカルシウムを体内に吸収しやすい形に変える働きがあり、骨粗しょう症予防にも効果が期待できます。牛乳やチーズ、小魚や小松菜やほうれん草などカルシウムが豊富な食材と組み合わせて摂取すると効果的です。
・血液サラサラ効果
酢に含まれているアミノ酸などの有機酸は血液をサラサラにする効果があり、血圧を下げる効果があります。また、酢の酸味は塩味を引き立てるので、塩分少なめでも満足感を得ることができて減塩にも効果的。毎日の食事に酢を加えることで、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病予防にも効果が期待できます。
・食後の血糖値の上昇を緩やかにする
食事をすると血液中の血糖値が上昇します。すると、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されますが、インスリンは余った糖質を細胞に取り込んで中性脂肪を作る働きがあります。血糖値が上がるほどインスリンの分泌量も増えるので、血糖値を急激に上げないようにすることが大切です。酢には食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があるので、食事に酢を使った料理を取り入れると効果的。動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
・ダイエット効果
酢に含まれている酢酸には脂肪の合成を抑えたり、脂肪の分解を促す効果があると言われています。毎日酢を摂取することで内臓脂肪を減らす効果も期待できるので、ダイエットに効果的です。
・便秘解消
酢に含まれている酢酸には腸のぜん動運動を促す作用があります。また、腸内の善玉菌を増やす効果もあり便秘解消に効果的です。
・美肌効果
酢にはビタミンCの酸化を防いだり、過酸化脂質の生成を抑制する働きがあるのでシミやそばかすを予防したり、肌荒れを防ぐ効果が期待できます。
・食欲増進効果
酢は胃酸の働きを助けてたんぱく質の消化をよくする働きや唾液の分泌を促進する働きがあり、食欲増進効果が期待できます。
◆レシピ|鶏肉のさっぱり煮
鶏手羽元とゆで卵で作る定番の煮物。酢を加えることでさっぱりと仕上がります。酢はすっきりとした風味が特徴の穀物酢を使用しました。
【材料(2人分)】
鶏手羽元…6本
ゆで卵…2個
しょうが(薄切り)…2枚
にんにく…1片
A水…1カップ
Aしょうゆ…大さじ2・1/2
A酢…大さじ2
A酒…大さじ1
A砂糖…大さじ1・1/2
サラダ油…大さじ1/2
【作り方】
① 鶏手羽元は骨に沿って包丁で切れ込みを入れる。ゆで卵は殻をむいておく。にんにくは皮をむいて包丁の背でつぶす。
② 鍋にサラダ油を中火で熱し、鶏肉を焼く。全体に焼き色がつけば、キッチンペーパーで余分な油をふき取る。
③ 【A】としょうが、にんにくを加えて沸騰したら、アクを取り除く。ゆで卵も加えて蓋をして、弱火で約15分煮たら出来上がり。
【ポイント】
・出来上がってから一度冷ますとより味が染みて美味しくなります。
◆お酢レシピのまとめ
酢を使用した料理を毎日1品食べる、サワードリンクを飲む、ヨーグルトにフルーツ系の酢をかけるなど、さまざまな健康効果が期待できる「酢」を毎日の食事に取り入れて健康な体作りに役立ててみてはいかがでしょうか?
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