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わかめとはどんな食材?
わかめは褐藻綱コンブ目チガイソ科の海藻で、日本では古くから食用とされてきました。漢字で「若芽」「若布」「和布」などと書きます。
わかめの歴史
わかめは旧暦の正月のころに自然に芽を出して成長していくことから、古くから幸福を招くとして大切にされてきました。江戸時代中期の1712年(正徳2年)に寺島良安が記した「和漢三才図会」という百科事典のような書籍には、わかめの項があります。「炙り食い、又、刻みて醤油にひたし、或は臛汁(あつもの)に入るるも亦佳し」と書かれています。臛汁とは野菜や魚を入れて煮た汁物のことで、わかめがいろいろな食べ方をされていたことがわかります。1950年代に入るまで、わかめは天然ものを海女さんたちが採取するのが主な方法でした。1955年(昭和30年)大槻洋四郎によってわかめの養殖法が確立され、1960年代には養殖が本格的に普及しました。現在、国産わかめの多くが養殖であり、生産量が増えただけではなく、柔らかいわかめの実現など品質も大きく進展しています。
わかめの種類
・生わかめ
海から採取したそのままの生鮮わかめ、またはそれを湯通ししたものです。わかめの旬である晩冬から初春の時期だけ出回ります。特有の磯の風味と歯ごたえのよい食感が特徴です。生鮮わかめは水洗いしてから沸騰したお湯に入れ、色が鮮やかに変わったら氷水にとります。
・塩蔵わかめ
生鮮わかめを湯通ししてから塩漬けにしたものです。塩抜きと水戻しの下処理が必要ですが、生わかめに近い風味と食感があります。ほぼ通年で流通しており、冷蔵で数か月の保存が可能です。塩蔵わかめは水戻しで約3倍に増えます。途中で2~3回水を換えながらたっぷりの水に5分ほど浸けて戻します。
・乾燥わかめ
湯通し塩蔵わかめや生わかめを乾燥したもので、長期間の保存が可能です。水戻しで約10倍に増えます。乾燥わかめはさらにいくつかの種類に分けることができます。
カットわかめ:塩蔵わかめを洗って塩抜きし、細かく切ってから乾燥したものです。
素干しわかめ:生鮮わかめを干したものです。
板わかめ:生鮮わかめを板状に干したもので、山陰地方の特産品です。
灰干しわかめ:生鮮わかめに草木灰をまぶして干したものです。鳴門地方の特産品で、鳴門わかめとも呼ばれます。
わかめの生態
わかめは大きく、葉・茎・根に分けることができます。一般的にわかめとして食されている部分は葉にあたり、「葉体」とも呼ばれます。葉がついている芯の部分が茎で、「中芯(中助)」とも呼ばれます。一般的に茎わかめと呼ばれる部位で、コリコリとした食感があります。炒め物や煮物にしたり、漬物などに加工もされます。根は岩などにしっかりとついていますが、茎や葉を固定しているだけの役割で、養分を吸収する働きはありません。茎の下部、根の上部にあるひだ状の部位が芽かぶです。「胞子葉」とも呼ばれます。強いぬめりが特徴です。
わかめに含まれる栄養
ビタミンK
ビタミンKの主な働きは血液凝固にかかわるものです。血液凝固にはプロトロビンなどの血液凝固因子が必要ですが、肝臓でプロトロンビンが生成されるのにビタミンKが必要です。そのためビタミンKが不足していると血液中のプロトロンビンが減少し、血液凝固に時間がかかり、血が止まりにくくなることがあります。
マグネシウム
食品から摂ったマグネシウムは主に小腸から吸収され、生命維持に必要なさまざまな代謝に必要な酵素を活性化させる、補酵素として働きます。エネルギーの代謝や栄養素の合成・分解の他、神経伝達や筋肉の収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げるなどの作用もあります。
ヨウ素
ヨウ素は海藻類に多く含まれるミネラルです。人の体に必要な量はごく少量ですが、無くてはならない栄養素です。ヨウ素は甲状腺ホルモンの主な原料であり、甲状腺の中にヨウ素が取り込まれて甲状腺ホルモンが合成されます。甲状腺ホルモンは代謝を正常に維持したり、子どもでは、成長ホルモンとともに成長を促進する働きがあります。ヨウ素は不足しても、過剰に摂取しても体に悪影響を及ぼすことがあります。日本では日常的に海藻類を摂取する食習慣があるため、通常の食生活ではヨウ素が不足することはないといわれています。サプリメントなどによる過剰摂取には注意が必要といえます。
アルギン酸
アルギン酸はわかめに代表される褐藻類に特有な食物繊維の一種です。不溶性食物繊維のアルギン酸カルシウムと、水溶性食物繊維のアルギン酸カリウムがあります。わかめのぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。水溶性のアルギン酸カリウムは、胃の中でアルギン酸とカリウムに分解されます。アルギン酸は小腸でナトリウムと結合してアルギン酸ナトリウムとなって体外に排出されます。この働きによって血圧を下げる効果が期待されています。また、アルギン酸カルシウムは食後血糖値の上昇を抑制したり、コレステロール値を下げる効果も期待されています。
フコキサンチン
フコキサンチンは褐藻類に含まれるカロテノイド色素の一種です。フコキサンチンは脂肪細胞の一種である白色脂肪細胞に作用し、脂肪組織における脂肪燃焼を促すことが明らかとなっています。またフコキサンチンには抗腫瘍作用があるとされ、がんの抑制効果が期待されています。
薬膳の効果
体の熱を冷まし、余分な水分を排出します。痰を出したり、腫れ物の改善にも効果があるといわれます。わかめに含まれるヨウ素には精神を安定させる効果もあります。
わかめのおすすめレシピ
わかめは下処理後、しっかり水気を切ってから調理しましょう。水に長く浸けておくと、シャキシャキとした歯ごたえが失われることがあるので注意しましょう。
【わかめとトマトのスープ】
【材料】(2人分)
・乾燥わかめ 5g
・ミニトマト 3~4個
・長ねぎ 1/2本
・卵 1個
・酒 大さじ1
・みりん 小さじ1
・鶏がらスープの素 小さじ1/2
・塩 適量
・こしょう 適量
【作り方】
1.乾燥わかめは表示通りに戻して水をきってから、食べやすい大きさに切っておきま
す。約12倍に増えるので、たっぷりの水に浸けて戻しましょう。
2.ミニトマトは小さいものは1/2、大きいものは1/4のくし切りに切っておきます。
3.長ネギは斜めにスライスしておきます。
4.鍋に水400ml(分量外)と鶏がらスープ、長ねぎを入れて沸かします。
5.長ねぎに火が通ったら、酒、みりんを入れます。
6.ミニトマトとわかめを入れ、再び沸騰したら溶き卵を回し入れ、塩・こしょうで味を調えてできあがりです。
わかめレシピのまとめ
わかめは低カロリーでミネラルや食物繊維を豊富に含みます。乾燥わかめは保存性も高いので、常備しておくと便利です。汁物はもちろん、いろいろな料理に使ってみましょう。
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