生き物には欠かせない 塩の働き

生き物には欠かせない 塩の働き

塩とは

塩は塩化ナトリウムを主な成分とする調味料の一種です。海水や塩湖の湖水から水分を除去したり、岩塩の採掘によって生産されます。

塩の歴史

ヨーロッパでは古代ローマ時代にはすでに塩が政治や交易に重要な役割を持っていました。また中国では紀元前7世紀には塩の専売制度が確立し、現在も専売制が続けられています。日本は古くから海水を利用して塩を作ってきました。最も原始的な方法は、焼いた海藻の灰そのものを灰塩(はいじお)として使用したと考えられています。次第に灰塩に海水を混ぜて濃い塩水(かん水)を作り、これを煮詰めて塩を作るようになりました。さらに海藻を干して、付着している塩分を海水で洗ってかん水を作り、これを土器で煮詰めて塩を作る方法が発達しました。この製塩法が「藻塩焼き(もしおやき)」と呼ばれます。その後製塩法は進歩していきましたが、昭和47年以降にそれまでの水分を蒸発・除去する方法から海水中の塩分を集める「イオン膜」が導入されました。イオン膜は塩が水中でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれて存在していることを利用し、海水中の塩分を集める方法です。1905年に施行された塩専売法が平成9年に廃止され、塩事業法が施行されたことで、新たな塩の製造者が増え、塩の生産性も飛躍的に向上しました。現在は誰でも良質で安価な塩を利用することができます。

塩の種類

塩は製造方法により3種類に分けることができます。
・精製塩
原材料は海水を使用しますが、電気分解によりナトリウムイオンを抽出する科学的製法で、ミネラルなどの成分は取り除かれており成分のほとんどが塩化ナトリウムです。大量生産が可能で品質が安定しているため安価です。サラサラとして水に溶けやすく、最も一般的で使いやすい塩といえます。
・再製加工塩
塩を一度溶かし、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどのミネラル分を添加して結晶させた塩です。
・天然塩、自然塩
自然の力を利用して作られる塩です。海水を原料とした天日塩や平釜塩、岩塩、湖塩などがあります。自然に濃縮や結晶化されるためミネラルが豊富に含まれています。作るのに時間や手間がかかるので、比較的高価なものが多くなります。

塩の効果

塩には、食品や料理に塩味を加える以外にも、さまざまな効果があります。
・対比効果
2種類以上の異なる味があるとき、一方または両方の味を強くする効果を味の対比効果と呼びます。スイカに塩をかけると甘味が増すのは、塩がスイカの甘味を引き立てる対比効果によるものです。またお汁粉に少量の塩を入れると甘さがすっきりとするのも対比効果によるもので、「隠し味」「隠し塩」などと呼ばれます。
・脱水効果
野菜に塩をふる「ふり塩」や、濃い塩水に浸ける「立塩」をすると、細胞外へ水分が出てしんなりとします。同様に肉や魚でも、表面に塩をふっておくことで水分が出ます。水分と一緒に臭みをとる効果もあります。
・粘りを出す
魚のすり身やひき肉をこねるときに、塩を加えると粘りが出てきます。これは肉や魚肉中の筋原線維の構造を作るタンパク質であるアクチンとミオシンが塩の影響を受けて、アクトミオシンが生成されることで粘性が生まれます。
・かためる
塩は、加熱したときのタンパク質の凝固を早める働きがあります。肉や魚を焼く前に塩をふることで表面が速やかに凝固し、内部の水分やうま味が流出するのを防ぐことができます。
・変色を防ぐ
果物や野菜の皮をむいたり切ったりした後、食塩水に浸けると変色(褐変)を防ぐことができます。褐変は空気中の酸素と植物中の酸化酵素によっておこります。切った野菜を速やかに食塩水に浸けることで酸素を遮断し、塩の効果で酸化酵素の作用を抑えることができます。また緑色ほうれん草など緑色の野菜をゆでる場合、食塩濃度が2%以上のお湯でゆでると、変色を抑えることができます。ただしゆで時間が長くなると緑色の成分であるクロロフィル(葉緑素)が減少してしまうため、変色します。
・腐りにくくする
食材を塩分濃度の高い状態にすることで細菌の繁殖を抑制し、保存性を高めることができます。塩自体に殺菌作用があるわけではなく、浸透圧によって食品から水分が除かれることで微生物に必要な水分が不足することと、微生物自身からも水分が除かれて生育できなくなると考えられます。また微生物の活動に必要な自由水の減少や溶存酸素の減少により、好気性細菌の生育が抑えられるといわれます。ただし、全ての微生物の生育が抑制できるわけではありません。

塩の栄養

ナトリウム

塩の主成分は塩化ナトリウムです。人の体内には一定の割合でナトリウムが存在しており、生命を維持しています。主に細胞外液に存在し、細胞の内外のミネラルバランスを保っています。ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持するほか、体内を循環する血液の量や血圧を調整する働きがあります。また、胆汁や膵液、腸液などの構成成分でもあります。

薬膳の効果

食物が胃に停滞して強い吐き気があるときや、痰が絡んで吐き出せないような症状には催吐剤として用いられます。また歯茎の出血やのどの痛みや腫れに効果があり、塩水うがいは、昔から民間療法として実践されています。

塩のレシピ

塩は品質の劣化が少ないため、賞味期限の表示が省略できます。塩はかたまりやすいので、温度や湿度の変化が少ない場所で保存しましょう。においを吸収しやすい性質があるため密閉容器に入れ、においの強いものの近くで保管するのは避けましょう。

【塩漬け豆腐のステーキ】

塩漬け豆腐のステーキ

【材料】(2~3人分)
・木綿豆腐             1パック(350g)
・塩                7g(豆腐の2%)
・にんにく             1かけ
・オリーブオイル          大さじ1
・こしょう             適量
・エキストラバージンオリーブオイル 適宜

【作り方】
1.木綿豆腐はパックから出してざるにのせ、しばらくおいて水分を切ります。

作り方1

2.木綿豆腐の表面に塩をまぶしつけます。側面にもまんべんなくつけます。

作り方2

3.キッチンペーパーで包み、ラップをかけて冷蔵庫でひと晩~1日おきます。

作り方3

4.途中で何度かキッチンペーパーを交換します。
5.にんにくはスライスしておきます。
6.フライパンににんにくとオリーブオイルを入れて火をつけ、弱火でにんにくを加熱します。
7.にんにくの香りがしてきたら適当な大きさ(1/2または1/3)に切った木綿豆腐を、表面の水分をよく拭いてからフライパンに静かにのせます。にんにくは豆腐のわきに集め、こんがりと焼けたら取り出しておきます。

作り方7

8.弱火でゆっくりと加熱し、焼き目がついたら裏返します。ふたを少しずらしてのせ、中まで加熱します。

作り方8

9.両面がこんがりと焼けたらお皿に盛り付け、取り出しておいたにんにくをのせ、こしょうと、お好みでエキストラバージンオリーブオイルをかけて食べましょう。

まとめ

塩の主な成分は塩化ナトリウムで、生き物には欠かせないミネラルです。調理においても味付けだけではなく、さまざまな効果があります。適量を上手に利用して、健康維持に役立てましょう。

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