手作りのぬか漬け。漬けていますか?昨今の発酵食品ブームで再び脚光を浴びているぬか漬けですが、作り方や漬けられる食材、その栄養効果など、考えてみると疑問に感じることもありますね。今回はぬか漬けにむく野菜やぬか漬けの栄養価、健康効果、そして初心者でも家庭で簡単に作ることができるレシピをご紹介します。
目次
ぬか漬けとはどんな食材?
ぬか漬けは日本で独自に発展した漬物の一つです。江戸時代に、一般の町民にも広く白米が食べられるようになり、大量に発生する米ぬかを消費するために作り出されたものだとされています。
日本には、古くから塩漬けにして野菜などを保存する文化、また、発酵食品を発達させてきた文化がありました。当時の人々にとって、大量に発生するぬかを漬物に利用するというのは、それほど突飛なことではなかったのかもしれませんね。
ぬか漬けが広く庶民にも広まったのは、九州は小倉城藩主であった細川忠興によるとされています。その後、全国各地に広まっていきますが、各地でさまざまなアレンジが加わり、その土地ごとのおいしいぬか漬けが作り上げられていきました。戦後になり、食の欧米化が進んだこと、女性の社会進出などで、ぬか漬けを漬ける家庭は減っていきました。
しかし、ここ数年の発酵食ブームや、手軽に使えるぬか床が販売されるようになったことなどから、家庭でぬか漬けを漬ける方が増えてきました。せっかくおいしいぬか漬けを用意できるのであれば、食事もおいしくて栄養バランスが整ったものを食べたいですね。ですが、日々栄養バランスが整った食事を準備するのは大変なことです。
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ぬか漬けに含まれる栄養
野菜をぬか漬けにすることで、米ぬかに含まれている栄養素や、ぬか床に定着した植物性乳酸菌などを合わせて取ることができます。今回は、野菜をぬか漬けにすることで増える栄養素について、ご紹介します。
①ビタミンB1
ビタミンB1は糖質からすみやかにエネルギーを作り出す働きを助けます。そのため、活動量が多い方は特に意識して取っておくとよいですね。また、皮膚や粘膜の健康を維持する働きもあります。
②ビタミンB2
ビタミンB2は皮膚や粘膜を健やかに保つ働きをしています。また、糖質、脂質、たんぱく質からエネルギーを作り出し、代謝を支える働きがあります。
③ビタミンE
ビタミンEには強い抗酸化作用があり、肌や血管の老化を防ぎ、生活習慣病の予防に役立っています。
④植物性乳酸菌
ヨーグルトで有名な乳酸菌ですが、ぬか漬けの中で繁殖しているのは植物性乳酸菌です。栄養価が高い牛乳の中で活躍する動物性乳酸菌と違い、繊維質や塩分、さまざまなフィトケミカルが存在する、いわば過酷な環境に適応する植物性乳酸菌は、そのパワーがとても強く、私たちの体内では腸内環境を整え、免疫機能の向上、抗菌作用の強化などが期待されています。
意外に簡単!基本のぬか漬けレシピ
最近は大手食品メーカーや大手ブランドからも、ぬか漬けの素が販売されていますね。これらを使用すれば簡単に作ることができますが、ここでは米ぬかを利用して1から作る方法をご紹介します。
【材料】 作りやすい分量
・米ぬか・・・500g
・水・・・450~500cc
・塩・・・65g
・出汁昆布・・・5cm角1~2枚
・唐辛子・・・1本
(または粉辛子・・・小さじ1~)
・捨て漬け用の野菜・・・適宜
(キャベツの外葉や芯、大根やにんじんのヘタや皮の部分など)
・実山椒、陳皮(干した温州ミカンの皮)など・・・各適宜
【作り方】
①ぬかを清潔なボールか保存用の容器に入れ、塩を加えざっと混ぜます。
粉辛子や実山椒などを加える場合は、ここで混ぜておきます。ただし唐辛子は粉々に崩れてしまう場合があるので、最後に加えます。
②水を分量の3/4程度、全体に回しかけ、底からすくうようにしながら、ぬかが均一に水分を吸収するように混ぜます。
③ぬかを丸めてボールのようにギュッと握ったとき、指の間からじんわりと水分が染み出てくるくらいの水分量に調整します。
④保存容器に③のぬか床を詰め、出汁昆布と唐辛子、捨て漬け用の野菜をぬか床に埋め込みます。
このとき、ぬか床から野菜の表面が出ているとその部分にカビが生えやすくなるので、しっかりと埋め込んでしまいます。
⑤一日に1回、捨て野菜を取り替え、ぬか床を底から上下を返すようにかき混ぜます。
⑥これを3日程度繰り返し、少し食べてみて酸味を感じるようになれば、乳酸菌が繁殖しはじめています。(気温や野菜が持っていた乳酸菌の力により、かかる日数が変わります。味見をしてよい、塩梅を確かめてくださいね。)
⑦下記表を参考に、本漬けをはじめます。ぬか床が新しいうち、気温が低いうちは半日から1日、気温が上がってきたり、ぬか床の熟成が進んできたりしている場合は3~4時間から半日程度漬けて引きあげます。
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ぬか漬けにおすすめの食材と漬け方
ぬか漬けには、さまざまな野菜を利用することができます。いろいろ試して、お気に入りの一皿を作りたいですね。
きゅうり | あらかじめ塩を振り、板摺りしておきます。 |
なす | 皮がかたく味が入りにくいので、つまようじなどで所々穴をあけて、ヘタのヒラヒラとした部分のみを落として漬け込みます。 水なすのように直径が大きいものは下から十字に切り込みを入れ、その部分にもぬかを挟みこんでおきます。 色よく仕上げるために、表面に塩適宜をすり込んでから漬け込みます。 |
みょうが | 軸の固い部分に浅く切り込みを入れます。 |
アボカド | 少し固めのものを利用します。皮と種をとり、崩れないように固く絞ったキッチンペーパーまたはガーゼなどで包んで漬け込みます。 |
大根・ニンジン | 大きさにより、縦半分または1/4に切って漬け込みます。 |
玉ねぎ | 皮をむき、茎はのこしたまま縦半分または十字に切って漬け込みます。 |
オクラ | 板摺りして漬け込みます。 |
山芋 | 皮をむき、ぬめりをふき取って漬け込みます。 |
茹で卵※ | 固めに茹でたものの殻をむいて漬け込みます。 |
イワシなどの生魚※ | 頭とワタを取り、漬け込みます。 |
豆腐※ | 固めも木綿豆腐を30分程度水切りし、固く絞ったガーゼに包んで漬け込みます。 |
※野菜以外のものを漬ける場合は、専用のぬか床を用意しましょう。生魚や茹で卵など、たんぱく質のものを漬けた場合、染み出たドリップなどが腐敗する可能性があるので、冷蔵庫で漬け込み、できれば使いきりにされることをおすすめします。
ぬか床の手入れ方法や入れておきたい薬味
天地返し
ぬか床には、乳酸菌をはじめさまざまな菌類が共存しています。この乳酸菌や酵母菌を上手に育ててあげることで、ぬか漬け独特の酸味や旨みが生まれてきます。
ぬか床をおいしくしてくれる乳酸菌や酵母菌は、嫌気細菌といって、空気(酸素)を嫌います。一方、私たちの体やぬか床に悪影響を及ぼす菌は、酸素を好むものが多いです。そのため、捏ねるのではなく、天地返しといって、ぬか床の上下を返すように混ぜます。1~2日に1回、天地返しをしましょう。
カビのようなものが生えた時
数日手入れをせずにおいておくと、表面にカビのようなものが生えることがあります。白いものは産膜酵母といって私たちに無害なのですが、名前の通り、そのまま放置しておくと酸味が強くなってしまいます。この部分は取り除き、新しいぬかと塩を足してあげましょう。
一方、青色やオレンジなど色が付いたものは、残念ながら有毒なカビです。周囲及び深さ2cmくらいを含めて取り除き、アルコール度数の高い焼酎や、食品にも噴霧できるタイプの消毒用アルコールを使って、容器の壁面をふき取っておきましょう。
水抜き
さまざまな野菜をつけ、使い続けていくと、野菜から出た水分が増え、だんだんとぬか床が柔らかく、べちゃべちゃとしてきます。このような場合は、糠と塩を足す、または乾燥したままの干しシイタケや切り干し大根などを入れて吸水させたり、専用の水切りを入れたりして水分を調整してください。
香りづけ・酸味の調整
レシピの項でご紹介した実山椒や陳皮は、香りづけ、風味付けに入れる薬味で、お好みや地方により、利用するものは様々です。ご紹介したもののほか、ゆずの皮など、また、かつお節や煮干しを入れる方もあります。(かつお節、煮干しはお茶パックなどに入れ、後で取り出しやすくしておきましょう)
左から、ヘタと種をとった唐辛子、昆布、山椒の水煮、陳皮
また、ぬか床が熟成してくると、乳酸菌の勢いが強くなり、酸味が強く出るようになります。ぬか漬けがすぐに酸っぱくなってしまう時にも、ぬかと塩を適宜足して混ぜてあげると、酸味を調整することができますよ。
水分が増えてきたとき
色々な野菜を漬けていくうちに、野菜から出てくる水分がぬか床に残り、ぬか床や柔らかくびちゃびちゃと弛んできます。水分が多すぎるときには、専用の水抜きを埋めておくか、干しシイタケや切り干し大根などを加え、水分を取り除きましょう。
ぬか漬けレシピのまとめ
家庭で育てるお漬物、ぬか漬け。夏になると発酵が進み過ぎてすぐに酸っぱくなってしまいます。食べるのが追い付かない場合は、冷蔵庫で保管しておくとよいでしょう。また、旅行などで長期間使用できない場合は、小分けにしてファスナー付きのフリーザーバックに入れ、冷凍しておくことができますよ。
朝食、昼食には、ぬか漬けを添えて植物性の乳酸菌やビタミンB群を取り、忙しい日の夕食には栄養バランスが整った、まごころケア食のお弁当でかしこく、でも簡単に夕食を取る、というのものもよいですね。
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