高齢者の暮らし 現代社会における介護の問題点とは?

高齢者の暮らし 現代社会における介護の問題点とは?
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高齢化が進む日本、いわゆる「団塊の世代」の方々が後期高齢者を迎え、さまざまな問題が浮上してきています。

今回はその中でも介護に関する問題にスポットをあて、現状や、我々がいかにして介護とは無縁の生活を続けていけるのかを考えてみたいと思います。

日本の高齢化社会の現実

総務省統計局の発表によると、日本の総人口(2022年9月15日現在推計)は、約12,389万人(前年比約82万人減少)なのに対し、65歳以上の高齢者人口は約3,627万人と、前年比で約6万人増加しています。

総人口に対し、高齢者が占める割合は29.1%、実に3人に一人は高齢者といっても過言ではない状態になっています。

高齢化率の推移

高齢化率の推移を確認してみると、1950年代には5%前後であったものが、その後の医療技術の進歩や栄養状態の向上などから急激に上昇の一途をたどり、1990年代後半から2000年にかけて、20%を突破しました。

その後もさらなる上昇を続け、2040年には人口の約40%が高齢者になってしまうと考えられています。

高齢者人口及び割合の推移

この高齢化率の高さは、主要国における比較においても日本が群を抜いており、予想では、2045年頃に韓国と同程度になりはするものの、依然、高い水準を維持するものとみられています。

主要国における高齢者人口の割合の推移

要介護人口の推移

このように高齢化が進む中、さまざまな持病や怪我などにより、やむを得ず要介護となる方の割合も増えています。

2000年度に公的介護保険制度がスタートした当時は、要介護(要支援)認定者数は約256万人でした。

しかし、2022年度の要介護(要支援)認定者数は約682万人となり、約2.7%増加しています。

要介護人口の推移

厚生労働省の介護保険事業報告(年報)によると、要介護(要支援)認定を受けているかたの推移は以下のようになっています。

2020年度を見てみると、最も多いのが、要介護1(約104万人)ついで要介護2(約116万人),要支援1(約961万人)と続いています。

日本の介護問題とは?

このように、要介護(要支援)人口が増加していく中、私たちが暮らす日本における問題点とは、いったいどのようなものがあるのでしょうか?

老老介護

仕事や住居の問題など、さまざまな要因から、日本では、核家族化が進んでいますね。

そのため、まず問題になるのは、要介護者及び介護者の双方が高齢である老老介護、すなわち、高齢になった夫婦や兄弟姉妹、または親子での介護問題です。

特に、定年まで仕事にまい進されていた男性が、急に奥様やご兄弟、親御さんの介護をせざるを得なくなった場合、洗濯や炊事の方法が分からず、身体的な介護以上に家事に苦労される、という声も多く上がっているということです。

介護する側も高齢となり、お手洗いや着替え、入浴といった介護を行っている場合、介護者、要介護者ともに怪我を負ってしまうなど、身体的、精神的な負担は想像以上に大きいものです。

認認介護

認認介護

認認介護とは、要介護者、介護者ともに認知症を患っている場合を指します。

その多くが、老老介護をしている中でお互いに認知症を発症してしまい、認認介護へと陥っていきます。

先にご紹介した老老介護よりも、さらに深刻な問題を抱えている場合が指摘されています。

高齢者様の中には、ひとの手を煩わせることを良しとしない方が多く、頑張り過ぎてしまったり、介護に明け暮れているうちに引きこもってしまい、世間から隔離されてしまったりすることがあります。

その結果、いわゆる介護難民となり、本来受けることができる介護サービスも、その機会を失ってしまっている場合が考えられます。

介護年数が長期化している

このように、老老介護や認認介護が増えてしまっている原因の一つが、冒頭でご紹介した高齢者人口の増加、高齢化率の上昇です。

さらに、核家族化が進んでいることから、高齢夫婦のみの世帯や高齢者の単身世帯が増加していることがあげられます。

さらに、医療技術の進歩から平均寿命が延びていることが、介護年数をさらに延長していると考えられます。

老老介護や認認介護は、身体的、精神的な負担が大きく、不慮の事故や悲しい事件を招いてしまう例があります。

健康寿命を延ばすために

健康寿命を延ばすために

平均寿命が延びることは、本来とても喜ばしいことですね。

そこで、課題となってくるのがいかにして健康寿命を延ばしていくか?ということになります。

仕事を引退し、子育ても一段落してようやく自由な時間が手に入ったといっても、数年のうちに要介護(要支援)となってしまっては、思い描いた老後生活を送れないのではないでしょうか?

適度な運動を取り入れる

健康寿命を延ばすには、適度な運動を取り入れることが大切です。

体力に沿った、無理のない運動量をこなしていくことで筋力や心肺機能の維持、血行促進ができ、サルコペニアやフレイルを予防することができます。

夏の猛暑日や厳冬期といった気候が良くない日を除き、適度なウォーキング、ストレッチなどで体力の維持、向上に努めましょう。

栄養バランスを整える

健康寿命を延ばすためのもう一つの大きな柱は、栄養バランスを整えることですね。

年齢をかさね、重い食材の買い出しが負担になったり、調理そのものに苦手意識があったりする方は、高齢者向けの栄養バランスが整った、宅配のお弁当を利用するのも一つの方法です。

民間の企業が行っているもののほか、自治体、町会単位で、月に数回程度高齢者向けお弁当サービスを行っていることがあります。地域の情報誌や地域包括支援センターで確認することができます。

趣味やボランティア活動でメリハリのある生活を送る

仕事や子育てを引退し、何か新しい趣味を見つけてみるのもよいですね。

地域によっては、高齢者向けの趣味のサークルやスポーツ教室を開催しています。

地域の情報誌などに募集要項や募集時期が掲載されていることが多いほか、地域包括支援センターでも情報を得ることができます。

その他、ウォーキングやハイキングなど、観光地を廻るイベントは、鉄道会社や新聞社が主宰していることもありますので、適宜お住まいの地域で発行されている情報誌を確認してみてくださいね。

まとめ

高齢化が進む日本社会において、介護の重要性は大きな社会問題となっています。

できることならいつまでも健やかに楽しく過ごし、介護とは無縁でいたいものです。

そのためにも、楽しみながら健康を維持できる自分にぴったりの方法を見つけていきたいですね。

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この記事の作成者:真鍋 実穂(調理師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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