カレーの付け合わせに福神漬けとともに登場するらっきょう、ぱりぱりとした食感と香り、さわやかな辛味が特徴ですね。中には独特の香りが苦手だという方、食べた後の匂いが気になるという方もいらっしゃいますが、らっきょうの小さな一粒にはさまざまな健康効果が秘められています。今回は、そんならっきょうの栄養価や基本の甘酢漬けをご紹介します。
目次
らっきょうとはどんな野菜?
らっきょうは中国内陸部、ヒマラヤ地方が原産の、玉ねぎやにんにくの仲間の多年草の植物で、鱗茎と言われる肥大化した茎の根本の部分を利用します。中国では紀元前より薬として栽培・利用されていました。中医薬膳学では、らっきょうは狭心症や胃の不快感、吐き気の予防、冷えや下痢の改善に効果的だとされており、薤白(がいはく)という生薬として利用されています。
日本へは奈良時代から平安時代にかけて伝わり、薬として利用されていました。その後、江戸時代には野菜として普及し、参勤交代で石川県から鳥取県に持ち込まれたのがきっかけで、鳥取砂丘で栽培されるようになりました。そのほか、鹿児島県、宮崎県で多く栽培されています。
らっきょうの栄養価は?
先ほどもご紹介したように生薬としても利用されるらっきょうには、下記のように多くの栄養素が含まれています。
① カリウム
カリウムは取りすぎたナトリウムと結合し、体外へ排せつする働きがあります、また、利尿作用があることからむくみを解消し、血液中の水分量を適正に整えて血圧を安定させる効果があります。
近年の研究でカルシウムが骨に沈着する働きを助け、骨粗しょう症予防に効果的だということが確認されました。
生のらっきょう100gあたり230mg、甘酢漬けのらっきょう100gあたり38mgのカリウムを含んでいます。
② 食物繊維
らっきょうにはフルクタンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
フルクタンは便を柔らかく保ち、ビフィズス菌のえさとなって腸内環境を整える働きがあります。また、コレステロール値や中性脂肪値の低下、血糖値の上昇を抑える働きも認められています。生のらっきょう100gあたり20.7g、甘酢漬けのらっきょう100gあたり3.3gの食物繊維を含んでいます。
③ ナイアシン
ナイアシンは水溶性のビタミンB群の一つです。糖質、たんぱく質や脂質からエネルギーを産出する働きを促し、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。ナイアシンが不足すると食欲不振、消化不良や皮膚がうろこ状になる皮膚炎、認知症などを引き起こすことがあります。
生のらっきょう100gあたり2.1mg、甘酢漬けのらっきょう100gあたり0.2mgのナイアシンを含んでいます。
④ アリシン・ジアリルスルフィド
玉ねぎやニンニクなど、ネギ科の植物独特の香りを放つ流加化合物で、ビタミンB1の吸収を促進し、その働き、すなわち糖を分解してエネルギーを産出し、疲労回復を担うとともに、糖質が唯一の栄養源である脳の働きを助けます。また、血中コレステロール値を下げて血液をサラサラにし、血栓ができるのを予防し、動脈硬化、脳卒中、狭心症などの予防を行います。
また、このにおい成分の中にはジアリルスルフィドという成分もあり、こちらは解毒作用、抗がん作用が期待できるといわれています。
らっきょうの選び方
らっきょうは全体的に白く、肉厚でぷっくりと丸みがあり、傷がないものが良品です。また、泥がついているものは汚いと思いがちですが、泥により劣化が遅くなるのでおすすめです。
一方、芽が伸びていたり、全体的に緑色がかっていたりするものは、収穫してから時間がたっていることが多いので避けた方がよいです、
らっきょうの下処理の方法
らっきょうはすぐに芽が伸びて固くなってくるため、購入後はすみやかに下処理をして調理する必要があります。
まず、水につけて優しくこすり洗いし、泥や剥がれている皮を落とします。
そのあと、芽と根を切り落とします。芽の方はあまり長く残すと繊維が固く食べにくいことがあるのでほどほどに、逆に根の部分は薄く削ぎ取るように切り取ります。
らっきょうのおすすめレシピ
【らっきょうの甘酢漬け】
らっきょうの甘酢漬けのレシピにはあらかじめ塩水で下漬けするものもありますが、今回は簡単な下漬けなしの方法をご紹介します。
【材料】 つくりやすい分量
・らっきょう 1kg
(下処理をすると700~800gになります。)
・酢 500cc
・塩 50g
・ざらめ 200g
(上白糖でもよい)
【作り方】
① 鍋にたっぷりの湯を沸かし、下処理したらっきょうを入れて10秒程度浸し、すぐにざるにとって広げ、水分を飛ばすようにして冷まします。
② 鍋に酢を沸かし、塩、ざらめを入れて煮立たせます。
③ 耐熱性の清潔な保存容器にらっきょうを入れ、②の酢をあついうちに上から注ぎ入れます。溶け残ったざらめも加え、冷めたららっきょうが酢の上に顔を出さないようにラップなどで覆ってから蓋をして、冷暗所で保存します。
※保存容器とらっきょうの隙間の加減により、甘酢の水位が低く、多くのらっきょうが空気に触れてしまう場合はカビが生えやすくなりますので、同様の割合で甘酢を作り、上から注いでください。
『らっきょうのレシピ』まとめ
保存食としてよく食べられるらっきょう、生の物が出回る機会が短いために、毎日かかさず食べている、というご家庭は少ないのではないでしょうか?
しかし、生薬として利用され、また、畑の薬、と称されることもあるらっきょう、小さな一粒に秘めた健康効果は大きなものです。毎日2~3粒を目安に、箸休めやごはんの友、また、お茶受けとして、健康な日々を過ごすためにも日々の食卓にプラスしてみてもよいですね。