びわ|初夏が旬の果物

びわ|初夏が旬の果物
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びわとは

バラ科ビワ属の常緑高木です。原産地は中国で、葉の形が楽器の琵琶に似ていることからびわの名がつけられたといわれています。温暖な気候で、年間平均気温が15℃以上、最低気温は-5℃以下にならない場所が適しているといわれます。日本では長崎県、千葉県が主な産地として知られています。

びわの歴史

びわは、中国の仏教経典「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」の中で「大薬王樹(だいやくおうじゅ)」と記され、食用としてだけではなく、薬用としても重宝されていたことがわかります。びわについて日本国内での最も古い記録は、奈良時代に書かれた書物といわれています。日本で食用としての本格的な栽培が始まったのは江戸時代の中期頃、千葉県富浦で栽培が始まり、江戸にも出荷されていたようです。江戸時代の末期になって中国の品種が入り、現在のような大玉のびわが栽培されるようになりました。

びわの種類

・茂木(もぎ)

主に西日本に出回る、代表的なびわの種類です。1個40~50gでやや小ぶりですが、酸味が少なく甘いのが特徴です。長崎県や鹿児島県が主な産地です。

・長崎早生(ながさきわせ)

寒さに弱く、主にハウス栽培されます。そのため露地ものより早く出回ります。1個40~60gでみずみずしく、上品でさわやかな甘味が特徴です。

・田中

1879年(明治12年)頃に植物学者である田中氏が、長崎で食べたびわの種を東京の自宅に持ち帰って栽培・育成を始めたことから、田中氏の名前がついています。1個60~80gと大きめで、強い甘味と適度な酸味のバランスが良いのが特徴です。愛媛県や千葉県、香川県や兵庫県など、広い地域で栽培されています。

・白茂木(しろもぎ)

果皮も果肉も白っぽい黄白色です。長崎県果樹試験場で茂木の種に放射線を照射し、突然変異を誘発して作られました。1個40~60gで水分が多く、肉質がやわらかいのが特徴です。

・希望

2004年に千葉県農業総合研究センターで作られた種なしのびわです。びわに特徴的な大きい種がないため、実の部分が多いのが特徴です。生産量が少ないため、一般的に市場には出回っていません。

びわの種子に含まれるアミグダリン

びわの種子にはアミグダリンという物質が多く含まれています。アミグダリンに含まれるシアン化合物は体内で分解されると青酸を発生し、一度に多量に摂取すると中毒症状をおこすことがあります。アミグダリンは「ビタミンB17」と呼ばれ、抗がん作用があるとされていた時期がありますが、アミグダリンはビタミンではなく、抗がん作用についてもアメリカの国立がん研究所によって否定されています。びわの種を粉末にしたものが健康食品として販売されていることがありますが、商品によっては高濃度のシアン化化合物を含んでいる可能性があるため、注意が必要です。

びわの栄養

びわにはカリウムや食物繊維の他に、ビタミンAの前駆物質であるβクリプトキサンチンが豊富に含まれています。

βクリプトキサンチン

βクリプトキサンチンはカロテノイドの一種で、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。βクリプトキサンチンには、ビタミンAとして皮膚や粘膜を正常に保つ働きなどの他に、肝機能障害や動脈硬化、糖尿病など生活習慣病の予防に効果があるとされています。また、閉経後の女性の骨粗しょう症を予防する効果も期待され、調査・研究が進められています。

クロロゲン酸

ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸には強い抗酸化作用の他に、脂肪の分解や吸収を抑える働きや、脂肪の燃焼を促進する働きがあるといわれています。その他にも脂肪肝や糖尿病を予防する効果があるとされ、治療に役立てるための研究も進められています。

タンニン

びわは皮をむいて時間が経つと、茶色く変色してしまいます。これはびわの実に含まれるタンニンによるものです。タンニンはポリフェノールの一種で、殺菌作用を持つといわれます。

薬膳の効果

びわの果実は疲労回復や胃もたれの解消に効果があるといわれます。また、イライラやのぼせなどの症状を緩和します。乾燥させたびわの葉は「枇杷葉(びわよう)」という生薬として用いられます。咳を鎮めたり、痰を抑える効果があるといわれます。また利尿作用や健胃作用、抗炎症作用なども認められています。

びわのレシピ

びわは全体に均等に膨らみがある、形の整ったものが良質です。果皮は濃いオレンジ色でハリがあり、うぶ毛が密生しているものが新鮮です。びわは追熟せず傷みやすいので、購入後は早めに食べるようにしましょう。皮をむくときは、底(花がついていた方)から軸に向かってむくと、手でも簡単にきれいにむくことができます。

【びわのコンポート】

びわのコンポート

【材料】(作りやすい分量)
・びわ          6個
・水           250ml
・グラニュー糖      30g
・はちみつ        大さじ1
・レモン汁        大さじ1/2

【作り方】
1.びわは表面のうぶ毛を落とすために、軽く水で流します。

2.縦方向に包丁を入れ、種に沿ってぐるりと一周切れ目を入れます。

3.両手で上下をひねるようにまわすと、二つに割れます。

4.種とまわりについている薄い膜をとり除き、皮をむきます。

作り方4

5.鍋に水とグラニュー糖、はちみつを入れて軽く混ぜ、びわを並べます。

6.初めは強火で加熱し、シロップが沸いたらびわが踊らない程度に火を弱め、穴を開けたアルミホイルで落し蓋をします。

作り方6

7.つまようじを刺してみて、スッと通るようになったら火を止めてレモン汁を入れ、そのまま冷まします。

8.煮沸消毒したビンなどに入れて、冷蔵庫で冷やしてできあがりです。

※きれいに作るポイントのひとつは、鍋の大きさとシロップの量です。鍋が大きすぎるとシロップの中でびわが動いてしまうので、煮崩れの原因となります。できるだけびわがぴったり並ぶ大きさの鍋で、ひたひたに浸かるシロップの量に調節してください。

まとめ

地域によっては庭木としても身近な植物ですが、びわの果実は傷みやすいことから、高級果実として扱われるようになっています。シロップ煮やジャムなどに加工し、ゼリーやケーキなど洋菓子の材料としても使われることも多くなっていますが、初夏の旬の時期には、新鮮なみずみずしいびわもぜひ味わいましょう。

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この記事の提供元:シルバーライフ

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