目次
豆苗(とうみょう)とは
豆苗はエンドウ豆を発芽させたスプラウトのことで、日本では主に水耕栽培したものが一般的です。かいわれ大根に似ていますが、かいわれ大根と比べると全体に太くて大きく、栄養価が高いのが特徴です。
豆苗の歴史
原料となるエンドウ豆の歴史は古く、ギリシャ時代には栽培が始まっていたいといわれています。奈良時代には中国を経て日本にも伝わっていたようですが、本格的に栽培されるようになったのは明治に入ってからです。豆苗は、もともとはエンドウ豆の若い茎と葉だけを摘んで、中華料理の高級食材として使用されていました。1990年代の中頃から、水耕栽培による工場生産が行われるようになったことで供給量が安定し、手ごろな価格で流通するようになりました。
豆苗の再収穫
日本で一般的な豆苗は、種子を発芽させて育てることから、スプラウトの仲間として扱われています。根付きのまま売られているものは根元からカットして食べた後、再度成長させて収穫することができます。最初にカットするときに、種から5~6㎝くらいを目安にして脇芽を残すように切り、根元部分をお皿や保存容器などに入れて水に浸けておきます。1日1回は水を入れ替えて日当たりの良い場所に置いておくと、1週間くらいで成長します。
中国豆苗
中国豆苗はエンドウ豆の若葉です。日本で一般的なスプラウトではなく、もう少し成長させたエンドウ豆の若葉で、茎も太く葉も大きくなっています。若葉だけを摘みとるため収穫時期が限られ、収穫量も少なく高級食材として扱われていました。葉はやわらかく、シャキシャキとした茎の食感が特徴で、ほのかにエンドウ豆の香りと甘みがあります。炒め物やスープの具など、中国の広東地方では一般的な家庭料理の食材として使われています。
豆苗に含まれる栄養
豆苗のカロリーは100g(約1パック)で31Kcalと低カロリーです。100g中にタンパク質は4.8g含まれており、タンパク質を多く含む野菜といえます。
タンパク質
豆苗の原料はエンドウ豆であるため、植物性タンパク質を豊富に含みます。植物性の食品は動物性の食品と比較して、一般的に脂質の含有量が少ないため、脂質の摂り過ぎを気にせずにタンパク質を摂取できるといえます。しかし植物性タンパク質は動物性タンパク質と比較するとアミノ酸スコアが低いものが多く、必須アミノ酸の全てを補うことができないことがあります。動物性タンパク質と植物性タンパク質を1:1の比率で摂取することで、脂質の摂り過ぎを避け、効率よくタンパク質を摂取できるといえます。
βカロテン
βカロテンは生物に存在する色素の一種で、人の体内ではビタミンAに変換されるのでプロビタミンAとも呼ばれてビタミンAの仲間に分類されます。目や皮膚の粘膜の健康維持や、免疫力を高める働きもあります。抗酸化作用によって活性酸素を抑制し、動脈硬化など生活習慣病の予防に効果が期待できます。
ビタミンE
ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつです。強い抗酸化作用があり、活性酸素を抑制して動脈硬化など生活習慣病の予防に効果が期待できます。また血管の健康を保ち、血流を改善・促進する効果があるため、冷え性や肩こり、美肌にも有効であるといわれます。一般的な食事が摂れていれば不足することは少ないビタミンですが、脂溶性ビタミンは過剰に摂取すると体内に蓄積するため、サプリメントなどを使用するときは過剰症にも注意が必要です。
ビタミンK
ビタミンKはカルシウムが骨に沈着するときに必要なビタミンであり、骨を丈夫にしたり、骨粗しょう症の予防に必要です。また血液の凝固にかかわっており、不足すると血液が凝固しにくくなり、出血したときに血が止まりにくいことがあります。人の腸内では、腸内細菌によっても作り出されています。
葉酸
葉酸はDNAの合成にかかわっており、正常な細胞の増殖を助ける働きがあります。胎児の成長には不可欠な栄養素であるため、妊娠を望む女性や妊娠中の女性は、特に積極的に摂取する必要があるといわれています。また赤血球の生成にもかかわっているため、不足すると貧血の原因となることもあります。
ビタミンC
ビタミンCはアスコルビン酸とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種です。人の体内では合成することができないため、食事から摂る必要があります。健康で美しい肌に欠かせないコラーゲンの生成に必要なビタミンであり、メラニンの生成を抑える働きもあるため、美肌には欠かせないビタミンです。また鉄の吸収を促進するため、鉄を多く含む食品と一緒に摂取することで、貧血の予防や改善にも効果があります。その他にも抗酸化作用によるアンチエイジング効果や、免疫力を高めたり、副腎皮質ホルモンの生成を促す働きによってさまざまなストレスに強い体を作るなどいろいろな働きを持っていますが、現代の日本人では不足しがちなビタミンのひとつでもあります。
薬膳の効果
体の中の湿をとり、むくみや食欲不振、嘔吐や下痢などに良いといわれます。解毒の働きもあり、吹き出物や湿疹にも効果的といわれます。
豆苗のおすすめレシピ
葉の色が濃く、葉先までみずみずしくてハリのあるものを選びましょう。根付きのものはパックのまま立てた状態で冷蔵庫の野菜室で保存し、早めに使用しましょう。保存中にも豆苗が成長して伸びてくることがあります。使うときは根元からカットして使い、生のままでも食べることができますが、特有の風味があるので、サラダなどに使う場合にはサッと下ゆですると食べやすくなります。
【豆苗の卵炒め】
【材料】(2~3人分)
・豆苗 1パック
・ベーコン 50g
・卵 2個
・マヨネーズ 大さじ1
・鶏がらスープの素 小さじ1/2
・砂糖 ひとつまみ
・塩 適量
・こしょう 適量
【作り方】
1. 豆苗は洗って水をきり、種の部分から5~6㎝上部で切り落とし、食べやすい長さに切ります。
2.ベーコンは食べやすい大きさに切ります。
3.フライパンを火にかけてベーコンを炒めます。
4.卵を割り、塩・こしょう以外の調味料を入れて混ぜておきます。
5.ベーコンがよく焼けてきたら豆苗を入れます。
6.豆苗がしんなりしてきたら、卵をまわし入れて炒めます。
7.卵に火が通ったら、味をみて塩・こしょうで味を調えてできあがりです。
豆苗レシピのまとめ
豆苗はエンドウ豆が原料のスプラウトの一種で、植物性タンパク質やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含みます。工場生産の水耕栽培であるため、季節を問わず安価で購入することができ、さらに再収穫ができるというコストパフォーマンスの高い食材です。いろいろな調理方法で楽しみましょう。
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