煮込んでトロトロ 牛すじの栄養

煮込んでトロトロ 牛すじの栄養
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牛すじとはどんな食材?

牛すじは牛のアキレス腱や、腱のついた肉のことで、横隔膜の一部なども含まれることがあります。特有のにおいがありかたい肉質ですが、適切な下処理をして長時間煮込むことでやわらかくなります。コラーゲンを豊富に含み、うま味も多い部位です。

牛すじの歴史

牛すじがいつごろから一般的に食べられていたかは、はっきりとわかっていませんが、一説には牛すじの煮込みは神戸の在日韓国人が考案したといわれています。韓国ではもともと牛すじを食べる習慣があったことから、日本人に合わせた味付けで作ったところ、広まったといわれています。

牛すじの種類

・アキレス腱
牛の脚の腱で、大きな円柱状をしています。大部分がスジで脂は少なく、スジ肉では最もおいしい部位といわれます。
・スジ(筋)
牛肉を各部位に切り分けるときに、下処理で取り除かれた筋の部分です。細切れになっていることが多く、赤身の肉がついていることも多くあります。同時に取り除かれた脂身もついています。一般的にスーパーなどでパック売りされているのは、この部分が多いようです。
・メンブレン
ハラミ(横隔膜)の外側の膜状の部分をはがしたものです。白いリボン状になっており、串に刺しておでんなどに使われることが多い部位です。

牛すじの下処理方法

牛すじは必ず下処理が必要です。いくつかの方法がありますが、一般的で簡単な方法を説明します。下処理は牛すじが大きいままでも、適当な大きさに切ってからでも大丈夫です。料理の種類に合わせてください。
1.牛すじを鍋に入れ、牛すじがしっかりと浸かるように水を入れます。
2.中火で加熱します。沸騰してくるとアクが出てきます。吹きこぼれないように火加減を調整して、数分沸騰を保ちます。
3.ざるにあけてゆで汁は捨てます。牛すじは流水で洗い、アクや汚れを落とします。
4.鍋も洗ってから牛すじを入れ、もう一度水からゆでます。
5.同じことを2~3回繰り返します。
6.鍋に牛すじと長ねぎの青い部分、にんにく、生姜などを入れ、水と酒を入れて煮ます。水が減ったら足しながら、コトコトとやわらかくなるまで煮ます。圧力鍋を使うと短時間でやわらかくなります。やわらかく煮てから、それぞれの料理に使用しましょう。
7.やわらかくなった牛すじは、ゆで汁から取り出して冷凍することができます。ゆで汁はうま味が出ているので、スープやカレー、おでんなどに利用しましょう。

牛すじに含まれる栄養

コラーゲン

牛すじを煮込んだものが冷えると、煮汁がゼリー状にかたまることがあります。これは、加熱によって牛すじから溶け出たコラーゲンが冷えて、再び凝固したものです。コラーゲンは動物の皮膚や骨、腱などの結合組織に多く含まれるタンパク質の一種で、牛すじにも豊富に含まれています。コラーゲンは分子が大きいのでそのままでは吸収されず、胃でアミノ酸に分解されます。腸でさらに単体のアミノ酸やペプチドの形に分解され、血液によって全身に送られます。単体のアミノ酸は細胞にとり込まれてコラーゲンなどを合成する材料となり、ペプチドはコラーゲンを作るようにシグナルを送り、細胞を活性化させてコラーゲンの合成を促進する働きがあります。

ビタミンB12

ビタミンB12は水溶性のビタミンです。葉酸とともに赤血球中のヘモグロビンの生成に必要です。また神経の機能を正常に保つ働きがあります。

ビタミンK

ビタミンKは脂溶性のビタミンのひとつです。出血したとき、止血に必要な血液凝固因子を活性化する働きがあります。また骨の形成を促進する働きもあり、骨粗しょう症の治療薬としても使われています。

薬膳の効果

牛肉は骨や筋肉を強くして、腰やひざに力をつける働きがあります。体を温める作用があるので冷えが原因の下痢や食欲不振に効果が期待できます。胃腸を丈夫にして食欲が出るので、虚弱体質や無気力を改善します。

牛すじのレシピ

一般的にパック詰めで売られている牛すじは、各部位を下処理したときに取り除かれた筋などが集められてパック詰めされていることが多いようです。国産牛、輸入牛、和牛などの種別が記載されていることがあり、牛の品種ごとに集められている方が、肉質や味のバランスがとりやすいといわれます。またすじに肉がついているものとついていないものがあるので、料理の種類によって選ぶとよいでしょう。牛すじは、調理の初めに必ず下処理をします。アクをとるだけでなく、汚れを取り煮沸消毒にもなります。やわらかくするためには煮込むことが必要で、牛すじの種類によって煮込み時間は異なりますが、圧力鍋を使用すると短時間でやわらかくすることができます。調味料を入れてからグツグツと煮立て過ぎると、やわらかくなりにくいこともあります。コトコトと長時間煮る方が失敗が少ないようです。

【牛すじの煮込み】

牛すじの煮込み

【材料】(作りやすい分量)
・牛すじ        300g
・大根         100g
・人参         50g
・長ねぎの青い部分   適量
・にんにく       ひとかけ
・生姜         ひとかけ
・木綿豆腐       1/2丁
・酒          100ml
・砂糖         大さじ1
・みりん        大さじ1
・しょう油       大さじ1
・みそ         大さじ1
・ゆで卵        お好みで

【作り方】
1.牛すじは少し大きめのひと口大に切ります。

作り方1

2.鍋に牛すじを入れ、牛すじが浸かる程度の水を入れて火にかけます。
3.沸騰してアクが出てきたら火を弱め、吹きこぼれないように数分加熱します。

作り方3

4.ざるにあけて、アクを水で洗い流します。
5.鍋もきれいに洗ってから、同じことをあと2回繰り返します。
6.最後は洗った牛すじを圧力鍋に入れ、水と酒を入れます。水の量は、牛すじがひたひたになるように入れてください。長ねぎの青い部分とにんにく、生姜を入れます。

作り方6

7.中火で加熱し、圧力がかかったら火を弱めて20分加熱し、火を止めます。
8.圧力が下がって鍋が冷めたら、そのまま冷蔵庫で冷やします。
9.長ねぎの青い部分とにんにく、生姜、冷えてかたまった脂を取り除きます。

作り方9

10.大根と人参を加え、みそ以外の調味料を入れて火にかけます。
11.野菜に火が通ったら、みそと食べやすい大きさに切った豆腐を入れてさらに煮ます。
12.豆腐に火が通り、煮汁が煮詰まったら火を止めて、お好みで殻をむいたゆで卵を入れておきます。食べる前に温めなおしましょう。

※ 圧力鍋ではなく普通の鍋でも時間はかかりますが、作ることができます。
※ 煮ている途中で水分が足りなくなったら、適宜足してください。

牛すじレシピのまとめ

牛すじは牛のアキレス腱などの腱や、下処理で取り除かれた筋の部分、横隔膜からはがされた部分などを指します。下処理に手間がかかりますが、コラーゲンを豊富に含み、煮込むことでやわらかくなります。店頭でみつけ際には、ぜひ試してみましょう。

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この記事の提供元:シルバーライフ

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