ココナッツミルクの栄養|植物性のミルク

ココナッツミルクの栄養|植物性のミルク
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ココナッツミルクとは

ココナッツはヤシ科の単葉植物であるココヤシの果実で、日本では「ヤシの実」とも呼ばれます。成熟したココナッツの種子の固形胚乳から得られる、甘い乳状の食材がココナッツミルクです。東南アジアでは一般的に利用されている食材で、日本でもカレーやスイーツに利用されるようになっています。

ココヤシの特徴

ココヤシは海水を好み、海水のミネラルを吸い上げて成長します。沿岸部でなくてもココヤシは生育しますが、栽培する場合は天然塩を肥料代わりに撒くことがあります。ココヤシの生育地域は東南アジアや中南米、南米、アフリカ西海岸などで、年間の平均気温が20℃以上、日照時間が2000時間以上、降水量も1500ml以上が必要です。ココヤシの木は高さ20~30mになり、1本の木に雄花と雌花ができる雄雌同株の植物で、種を植えてから実が生るまでおよそ7年かかります。若い果実は緑色で、成熟するにつれて表皮は茶色くなり、繊維もかたくなります。同時に内側の胚乳にも厚みが出てかたくなっていきます。ココナッツウォーターを飲むときは若い果実を、胚乳からココナッツオイルやココナッツミルクを作る場合は成熟した果実を使います。

ココナッツとココナッツミルクの歴史

ココヤシはポリネシアから熱帯アジアが原産とされています。成熟して落下したココナッツは海水によく浮かぶので、海水によって遠方の沿岸地まで運ばれて根付き、広がっていったと考えられます。現在では世界中の熱帯地方で栽培されており、日本では沖縄県と東京都小笠原諸島に生育しています。国内の有人島で自生しているのは小笠原諸島の父島と母島だけで、父島のものは入植後に植栽されたものが根付いたと考えられています。気候が適さないため日本本土では生育できませんが、昔から、ココナッツが漂着することはしばしばあったようで、明治時代の詩人である島崎藤村の詩に曲をつけた歌曲「椰子の実」は、愛知県の渥美半島の浜辺に漂着したココナッツのことを歌ったものです。ココナッツミルクは東南アジアやポリネシアではごく一般的な食材ですが、日本で食材として知られるようになったのは1980年代に起こったエスニック料理のブームからと考えられます。特にタイ料理のデザートである「タピオカココナッツミルク」の人気によって急速に広まりました。

牛乳の代用食材として

ココナッツミルクは、牛乳アレルギーなど調理に牛乳が使用できないときに、牛乳の代わりに用いることができます。しかし栄養の組成や含まれている栄養素は、ココナッツミルクと牛乳では大きく異なるため、牛乳の栄養素をココナッツミルクで補うことは困難です。粉末のココナッツミルクもありますが、乳・乳製品由来の成分が含まれている場合もあります。牛乳アレルギーの代替食材として使用する場合は原材料を確認し、液体のココナッツミルクを使用するようにしましょう。

ココナッツミルクの栄養

ココナッツミルクは脂質が多く糖質が少ないのが大きな特徴です。そのため牛乳と比べるとカロリーは高くなりますが、糖質の摂取を控えたい場合には適した食品です。

中鎖脂肪酸

中鎖脂肪酸は、ココナッツやヤシ科の植物の種子に含まれる天然成分で、ココナッツミルクにもココナッツオイルと同様に中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。中鎖脂肪酸は分子の長さが短い脂肪酸のことです。分子の長さが短いことで水に溶けやすい特徴があり、小腸から門脈を経由し、肝臓に直接入って分解されます。一般的な油脂とは消化吸収の経路が異なるため約4~5倍の速さで分解され、短時間でエネルギーになることが特徴です。また中鎖脂肪酸から合成されるケトン体は、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、美容にも役立つ物質であると考えられており、研究が進められています。

カリウム

体内のカリウムの多くは細胞内に存在します。細胞外液に多く含まれるナトリウムとバランスをとりながら浸透圧を維持したり、水分の保持や排泄を調整してむくみを改善する効果があります。また腎臓でナトリウムの再吸収を抑制し、尿中へ排出して血圧を下げる効果があります。

マグネシウム

マグネシウムは体内でカルシウムとバランスをとっていて、マグネシウムは骨や歯にカルシウムが十分に届くように調節する働きがあります。また、マグネシウムが不足すると不整脈や虚血性心疾患、動脈硬化などのリスクが高まります。長期的に不足状態が継続すると骨粗しょう症、心疾患、糖尿病など生活習慣病のリスクが高まるとして、研究が進められています。

銅・鉄

ココナッツミルクには銅と鉄も豊富に含まれています。赤血球中のヘモグロビンには鉄が欠かせない成分ですが、銅は鉄を運ぶ働きがあります。そのため鉄と銅のどちらが足りなくても正常なヘモグロビンが合成できなくなり、貧血を引きおこす可能性があります。

薬膳の効果

エネルギーと体液の成分を補います。水分の代謝を促進し、むくみを改善する効果があります。子どもの疳の虫を抑える効果もあるといわれます。

ココナッツミルクのレシピ

液体のココナッツミルクは内容物の一部が固形化している場合がありますが、撹拌することで液状になります。缶詰のココナッツミルクは、開封後は清潔なビンや保存容器に移して冷蔵庫では保管しましょう。冷蔵庫でも長く保存ができないので、できるだけ早く使い切りましょう。すぐに使い切れないときには冷凍保存も可能です。粉末のココナッツミルクは水やお湯に溶かして使うほか、調理中にそのまま入れることもできます。液体のココナッツミルクと比べると賞味期限は長くなりますが、吸湿しやすくかたまってしまうことがあるため、密閉できる容器や保存袋に入れて直射日光、高温多湿を避けて保管しましょう。

【ココナッツミルクのバナナジュース】

ココナッツミルクのバナナジュース

【材料】(1人分)
・ココナッツミルク    80gくらい(1/2缶)
・バナナ         1本
・牛乳          200ml
・砂糖          小さじ2~3杯

【作り方】
1.材料を全てミキサーに入れ、バナナの形がなくなるまで撹拌してできあがりです。

作り方1-1

作り方1-2

※ 砂糖の量はお好みで調節してください。

まとめ

ココナッツミルクはココヤシの果実を原料とした乳状の液体です。ココナッツミルクに含まれる中鎖脂肪酸は分子の長さが短い種類の脂肪酸で、消化吸収が速く、効率よくエネルギーとなります。近年のエスニック料理のブームによって一般的に広まり、スーパーなどでも手軽に購入できるようになりました。カレーやデザートの他にも、牛乳の一部をココナッツミルクに置き換えるなど、ぜひ取り入れてみましょう。

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この記事の提供元:シルバーライフ

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