目次
ピーマンについて
ピーマンはナス科トウガラシ属の一年草で、主にその果実を食用とします。唐辛子の甘味種を改良したもので、一般的な緑色のピーマンは未熟な状態で収穫されたものです。
ピーマンの歴史
ピーマンの原種である唐辛子の原産地は中南米で、紀元前5000年ころから栽培されており、大航海時代にコロンブスがヨーロッパに持ち帰ったことで広まったといわれます。アメリカで唐辛子の甘味種から品種改良されたピーマンは、明治時代には輸入されていましたが一般的には広まりませんでした。その後第二次大戦後の食料不足の時代に東京近郊の農家が、食料規制の対象外であり多産多収穫が可能なピーマンを栽培して闇市で売ったことから、急速に一般家庭に普及したといわれています。
ピーマンの種類
・ピーマン
一般的にピーマンとして流通しているのは緑色のピーマンです。長さは6~7㎝程度で果肉は薄めです。特有の苦みや青臭さがあります。
・赤ピーマン
一般的な緑色のピーマンが熟したものです。熟すことでカプサンチンという色素が増えて赤くなります。この色素には抗酸化作用があり、緑色のピーマンよりも皮がやわらかく、苦みや青臭さも少なくなっています。
・パプリカ
肉厚で大型のピーマンです。甘味が強くジューシーで生のままでもおいしく食べることができます。赤、オレンジ、黄色とカラフルで、βカロテンが豊富に含まれています。
・長円筒形ピーマン
長さが20㎝ほどになる、大きめで長い筒型が特徴です。
・バナナピーマン
大きさが10~15㎝で、黄緑色のバナナ型の細長いピーマンです。熟すと黄緑色から黄色、オレンジ、赤と色が変わります。肉厚ですがやわらかく甘味があります。
・フルーツピーマン
糖度が高く、甘みの強いピーマンです。フルーツパプリカとも呼ばれ、黄色、赤、オレンジなどカラフルな色が特徴です。
・子供ピーマン
ピーマンが嫌いな子どもでも食べられるように、ピーマン特有の苦みを抑えたピーマンです。くぼみがなく細長い形で肉厚で、生のままでも食べやすいピーマンです。
子どもに嫌われる理由はクエルシトリン
クエルシトリンはポリフェノールの一種で、ドクダミにも含まれている渋みのもととなる成分のひとつです。このクエルシトリンと、ピーマンの香りの成分であるピラジンの一種が加わることで苦味として感じられます。クエルシトリンは油に溶ける性質があるため、油を使った調理方法によって苦味を抑える効果が期待できます。またクエルシトリンには脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制したり、血中の中性脂肪の上昇を抑制する効果や、血流を改善する効果などの健康効果も期待できます。
ピーマンに含まれる栄養
ビタミンC
ビタミンCは水溶性のビタミンです。人は体内でビタミンCを合成できないため、食事から摂る必要があります。骨や腱などの結合タンパク質であるコラーゲンの生成には欠かせないビタミンで、ビタミンCの不足によってコラーゲンが合成されないと血管がもろくなったり、貧血や筋肉量の減少、関節の障害、心臓の障害など、全身にさまざまな症状を引き起こす可能性があります。またビタミンCには抗酸化作用があり、生活習慣病の予防効果も期待されています。
ビタミンK
ビタミンKは血液凝固にかかわるビタミンです。血液凝固因子であるプロトロンビンが生成されるときの補酵素として働くため、ビタミンKが不足すると血液中のプロトロンビンが減少して出血が止まりにくくなることがあります。また、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促進したり、動脈の石灰化を抑制する働きもあります。
βカロテン
βカロテンは植物に含まれており、摂取された後、小腸でビタミンAに変換されるためプロビタミンAと呼ばれてビタミンAの仲間とされています。皮膚や粘膜の健康を維持したり、目の機能を維持するために必要です。ビタミンAとしての作用の他に、抗酸化作用や免疫を増強する働きがあることもわかっています。βカロテンは油脂と一緒に摂ることで吸収率が上がるため、調理中に油脂を使用することで効率よく摂取できます。
薬膳の効果
イライラしたり、憂鬱な気持ちを穏やかに鎮める効果があります。肝の働きを改善して気を巡らせるので、精神安定効果が期待できます。血流を促進する効果もあり、胃の調子が悪いときや食欲不振にも有効です。
ピーマンのおすすめレシピ
皮につやがあって色鮮やか、肩が張ってふっくらとした肉厚なものを選びましょう。ヘタの切り口が黒っぽく変色していたり、皮にしわがあるものは鮮度が落ちている可能性があります。購入後は洗ってから水分をよくふき取り、ひとつずつキッチンペーパーなどに包んでからポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。洗ってヘタと種を取り、水分をよくふき取ってから使いやすい大きさに切って、冷凍用の保存袋に入れて冷凍することもできます。
【ツナとしらすの無限ピーマン】
【材料】(作りやすい分量)
・ピーマン 10個
・しらす 25g
・ツナ 1缶
・オリーブオイル 小さじ1
・にんにくチューブ 1㎝くらい
・砂糖 小さじ1
・酒 大さじ1
・和風顆粒だし 小さじ1/2
・しょう油 大さじ1
・白いりごま 適量
【作り方】
1.ピーマンはヘタと種を取って水で洗い、5㎜幅くらいの斜め切りにしておきます。
2.フライパンにオリーブオイルとにんにくチューブを入れて火をつけ、あたたまったらピーマンを入れます。水分が多く残っているとはねるので注意しましょう。
3.全体に油がまわったら和風顆粒だしと砂糖、酒を加えて混ぜ、火加減を調節してからふたをして加熱します。
4.ピーマンがしんなりしたらしらすと、油をきったツナ缶、しょう油を入れ、水分がなくなるまで煎り付けるように炒めます。
5.最後に白いりごまを入れて混ぜて、できあがりです。
ピーマンレシピのまとめ
ピーマンは唐辛子の甘味種を改良した野菜で、一般的な緑色のピーマンは、未熟なうちに収穫したものです。ピーマン特有の苦みは、クエルシトリンという渋みの成分と、ピーマンの香り成分であるピラジンによって生じます。クエルシトリンは油脂に溶ける性質があるため、調理に油脂を使用すると苦味が軽減します。苦味を軽減した食べやすい品種も出ているので、いろいろな調理方法で試してみましょう。
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