目次
そばについて
穀物のタデ科ソバ属の一年草であるそばの実を挽いて粉にしたそば粉に、冷水を加えて捏ねて作った麺がそばです。中華そばなどと区別して「日本そば」とも呼ばれます。
そばの歴史
そばの原産地には諸説がありますが、現在は中国南部という説が有力とされており、稲と同様のルートで中国から九州へと伝わったのではないかと考えられています。
高知県の遺跡からそばの実の花粉が発見されており、縄文から弥生時代にかけて日本に伝来し、栽培されていた可能性があるといわれています。「続日本紀」の中に西暦722年(養老6年)天正天皇の命で救荒作物としてそばの栽培が奨励されたという記録があります。
奈良時代にはそばが食べられていたことがわかっていますが、今のような麺ではなく、そばの実を炊いて粥にしたり、そば粉を水で溶いて加熱しながら練った「そばがき」や、水で溶いたそば粉を焼いた「そば焼き」などにして食べられていたようです。現在の麺の形状に近くなったのは江戸時代の初期で、この頃にはすでにそば屋があったといわれています。しかし麺はうどんの方が主流で、東海道をはじめとする各街道に並ぶ茶屋でも、うどんやそうめんの方が人気があったようです。当時のそばはつなぎを使わず、そば粉だけで作った十割そばでした。十割そばは切れやすいので、ゆでずにせいろで蒸していました。今でも「もりそば」を「せいろそば」と呼ぶことがあるのは、そばをせいろで蒸していた名残だといわれます。そばが主流になったのは安永(1722~81)の頃、二八そばの誕生がきっかけとなりました。つなぎを入れたことで切れにくくなり、ゆでる調理法が可能となりました。さらにのど越しが良くなってそばの人気が高まり、江戸には多くのそば屋が立ち並ぶようになりました。
そば粉の種類
そばの実は外側から殻・甘皮(種皮)・胚乳・胚芽(子葉)という構造になっています。
・一番粉
そばの実を製粉したときに、最初に出てくるのが一番粉です。そばの実の中心部である胚乳部が多く含まれ、主要な成分はデンプンです。粉の色は白く、そばの香りは少ないですが甘みがあり、シコシコとした食感が特徴です。
・二番粉
二番目に出てくるそば粉です。胚乳部と胚芽が主体でタンパク質を多く含みます。粉の色はやや黄色味を帯びていて、香りや甘味のバランスがよく美味しいそばになります。
・三番粉
三番目にふるい出されたそば粉です。胚乳部を取り除いた残りを製粉したもので、タンパク質と食物繊維を多く含みます。粉の色は黒っぽく、強い香りが特徴です。
江戸そば御三家
・更科
江戸時代に長野県の更級村出身のそば職人が、武家屋敷の保科家に世話になりながら広めたことに由来するといわれています。更級村と保科家の一文字ずつを取り「更科そば」と名付けられたそばは、一番粉を使って作られた白いそばです。
・砂場
大阪城築城の際に砂置き場だった「砂場」と呼ばれる場所で働く人たちが、仕事の合間にササっと食べられるようにと、一軒のそば屋が始まり、砂場にできたそば屋なので砂場そばと呼ばれて定着しました。評判となった砂場そばは、徳川家康が江戸城へ居城する際に一緒に江戸へと移りました。砂場そばの特徴は甘めの濃いつゆです。そばを食べ終わった後にそば湯を入れて飲むのも、砂場そばの楽しみの一つです。
・藪
藪そばの由来にはいくつかありますが、大きな竹藪のあるそば屋が発祥だったことから藪そばと呼ばれるようになったといわれています。藪そばは、二番粉・三番粉を使ったやや緑がかった麺と、塩気の強いつゆが特徴です。江戸で粋なそばの食べ方といわれた「そばの先を少しだけつゆにつけて食べる」食べ方は、つゆの塩気が強い藪そばに由来するといわれています。
そばの栄養素
そばの実を精製しないで挽くので、そば粉には栄養が豊富に含まれています。ジャパニーズスーパーフードとして、欧米でも注目されています。
タンパク質
そばにはタンパク質が豊富に含まれています。そば粉(全層粉)100gに含まれるタンパク質は12.0gで、他の穀類と比較してもとても多く含まれています。さらにそば粉はアミノ酸スコアも92と高い値で、アミノ酸がバランスよく含まれており、効率よくタンパク質が摂取できる食品といえます。
レジスタントプロテイン
レジスタントプロテインは体内の消化酵素で分解されにくく、食物繊維と似た生理機能を持つタンパク質です。そばに含まれるレジスタントプロテインの働きによって中性ステロールの排泄が促進され、血中総コレステロール値が低減する効果があると考えられています。
ルチン
ルチンはポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。ルチンには毛細血管を丈夫にする作用があり、弾力がなくなった血管を修復する働きがあるといわれています。血圧を下げたり、動脈硬化を防ぐなど、生活習慣病の予防に役立つといえます。血流が促進されるので、冷え性や肩こりの改善も期待できます。
薬膳の効果
そばの実は脾の機能を高め、消化不良や胃もたれ、軟便などの消化器症状によいとされています。また緊張からくる吐き気や腹部の膨満感なども改善するといわれます。高血圧など生活習慣病の予防にも有効です。大根おろしとそばの組み合わせは、胃の調子が悪いときには最適です。どちらも涼性の食品なので、冷たいおろしそばは夏にピッタリです。冷え性の人や下痢気味のときには生姜やネギを加えたり、温かくして食べるとよいでしょう。
そばのレシピ
家庭でそばをゆでるときのポイントは、生麺でも乾麺でも、大き目の鍋を用意して、たっぷりのお湯でゆでることです。沸騰したお湯に麺を入れたら箸で優しくほぐし、吹きこぼれないようにゆでます。ゆで時間は商品のパッケージに書かれている時間を目安に、硬さをみながらゆでましょう。ゆであがったら手早くざるにあげて水洗いし、冷水(できれば氷水)で冷やします。水で冷やすとコシがでるので、温かいそばのときも一度水で冷やしてから温かいつゆを注ぎ、ゆでたてを食べましょう。
【梅ささみそば】
【材料】(2人分)
・そば 2束
・梅干し 2~3個
・はちみつ 少量(お好みで)
・ささみ 2本
・大根 1/4本くらい
・青じそ 2枚
・めんつゆ 適量
【作り方】
1. 梅干しは種を取り、包丁でたたいてペーストにします。梅干しの塩分によって、お好みではちみつを加えて混ぜながらたたきます。
2.ささみはゆでて、ほぐしておきます。
3.大根は大根おろしにして、ざるで水気をきっておきます。
4.青しそは、洗って千切りにしておきます。
5.そばを商品に記載されている指示通りにゆでて、水で洗ってから水気をきって器に盛ります。
6.ささみを散らし、梅と大根おろし、青しそをトッピングします。
7.めんつゆをお好みの濃さに水で希釈し、6.にかけてできあがりです。
※ お好みで、めんつゆを薄めるときに大根おろしの水分を加えましょう。
そばレシピのまとめ
そばは穀類の中では多くのタンパク質を多く含み、そばに特徴的な栄養素ともいえるルチンを含みます。ジャパニーズスーパーフードとして欧米からも注目されるそばの健康効果をとり入れましょう
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