目次
えんどう豆とは
えんどう豆は暑さに弱く、春から初夏に旬を迎えます。えんどう豆には豆を食べる「実えんどう」と、豆が未熟なうちに採取してさやごと食べる「さやえんどう」があります。現在はハウス栽培により通年で市場に出回っている種類も多く、冷凍や缶詰などに加工された商品もあります。
えんどう豆の歴史
えんどう豆が日本に伝わったのは、9~10世紀頃、遣唐使によって中国から伝えられたといわれています。平安時代の書である「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」に「乃良末女(のらまめ)」として記載があり、「のらまめ」「のまめ」などと呼ばれてました。時代とともに呼び名は変わり、室町時代には「園豆(えんとう)」、安土・桃山時代には「豌豆(えんどう)」という表記と呼び名に統一されました。本格的な栽培は明治に入ってからと、比較的最近のことです。
えんどう豆の種類
・絹さや
長さ5~7㎝でさやは薄く、黄緑色です。さやの中には未熟な小さな実が入っています。さやはシャキッとした歯触りで甘みがあります。
・オランダエンドウ
さやが10㎝以上の、絹さやを大きくしたような大型のさやえんどうです。主に関西や九州で栽培されています。
・スナップエンドウ
やわらかく肉厚なさやの中に、大きめの豆が入っています。アメリカで栽培されていたものが導入され、1970年代後半に販売されるようになりました。現在のように一般に普及したのは、比較的最近のことです。
・砂糖えんどう
絹さやを品種改良したものです。「砂糖さや」とも呼ばれます。絹さやと比べるとさやが厚めで、豆もやや大きめでふっくらとしています。糖度が高いことが、名前の由来となっています。
・グリーンピース
さやは食べずに中の豆だけを食べるので、グリーンピースといえば中の豆を指すのが一般的です。ふっくらとしたさやの中に6~9個の豆が入っています。冷凍や缶詰に加工された商品は通年で販売されており、生鮮品よりも一般的となっています。
・ウスイエンドウ(うすい豆)
和歌山県を中心に栽培されているグリーンピースです。主に関西で流通していて、関東にはあまり出回っていないようです。
メンデルの法則とえんどう豆
「メンデルの法則」とは、メンデルという人が発見した遺伝の法則です。メンデルは「生物の性質がどのように遺伝するのか」という法則をえんどう豆の観察によってみつけました。
えんどう豆には種にシワのあるものとシワのないものがあります。メンデルはシワのあるもの同士やシワのないもの同士の交配の中で、シワの有無が変化しないもの(純系)を選び、その中からシワのあるものとシワのないものを交配してみたところ、全てからシワのない種ができました。このように、交配によってある特徴が他よりも優先してあらわれることを優性遺伝と呼び、この「優性の法則」の発見に役立ったのがえんどう豆だったのです。
えんどう豆の栄養
さやえんどうと実えんどうでは栄養素の組成はやや異なりますが、ビタミンB群、カロテン、カリウムは共通して多く含まれている栄養素です。
ビタミンB群
ビタミンB1とB2を多く含みます。ビタミンB1は炭水化物の代謝、ビタミンB2は脂質の代謝に深くかかわっているため、食事から摂取した炭水化物や脂質を、効率よくエネルギーに変えるために不可欠な栄養素です。
βカロテン
体内でビタミンAに変換されます。抗酸化作用により、生活習慣病の予防やアンチエイジングの効果が期待できます。
カリウム
野菜には広く含まれる栄養素です。ナトリウムとともに細胞の浸透圧を調整する働きがあり、ナトリウムの排出を促すことから、高血圧の予防やむくみの改善に効果が期待できます。
たんぱく質
グリーンピースは豆類でもあるので、たんぱく質が豊富に含まれています。大豆と比較すると脂質よりも炭水化物を多く含んでおり、低脂肪・高たんぱくの食品といえます。
薬膳の効果
脾の働きをよくして、体内の湿をとる作用があるといわれます。むくみの他、食欲不振や嘔吐・下痢などの胃腸症状に効果があるとされます。また解毒の働きがあるとされ、肌荒れや化膿性の湿疹などにも効果が期待できます。
えんどう豆のレシピ
さやごと食べるさやえんどうは、黄緑色が鮮やかでみずみずしく、しっかりとしたものが新鮮です。しんなりしていたり、切り口が茶色くなっているものは、収穫から時間が経っている可能性があります。絹さやは豆が膨らみ過ぎていないものを選びますが、スナップエンドウでは、豆がぎっしりと詰まっているものを選びましょう。
実えんどう(グリーンピース)は、全体にふっくらとしていて中の実が十分に成長したものを選びましょう。さやが緑色でみずみずしいものが新鮮です。
さやえんどうもグリーンピースも乾燥に弱いので、乾燥しないようにビニール袋などに入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
【スナップエンドウと鶏むね肉のピリ辛マヨ炒め】
【材料】(2人分)
・スナップエンドウ 1パック(15本くらい)
・鶏むね肉 150g
・塩こうじ 大さじ1
・にんにくチューブ 1㎝くらい
・片栗粉 適量
・オリーブオイル 小さじ1
・オイスターソース 小さじ1
・豆板醤 小さじ1/2
・マヨネーズ 大さじ2
・砂糖 小さじ1/2
・うま味調味・コショウ 適量
【作り方】
1.鶏むね肉は食べやすい大きさのそぎ切りにし、塩こうじとにんにくチューブを一緒にビニール袋に入れます。ビニール袋の上からもんで冷蔵庫に入れ、20分くらい漬け込みます。
2.スナップエンドウは両側のスジを取り、耐熱の容器またはお皿に入れ、電子レンジで 加熱します。再度加熱するので、やわらかくなり過ぎないように注意してください。
3.オイスターソース、豆板醤、マヨネーズ、砂糖を、あらかじめよく混ぜておきます。
4.フライパンにオリーブオイルを入れ、鶏むね肉に片栗粉を薄くまぶしながら、両面に焼き色がつくまで焼きます。
5.スナップエンドウをフライパンに入れ、3.の合わせ調味料を入れ、炒め合わせます。
6.うま味調味料とコショウで味を整えてできあがりです。
※小ぶりのスナップエンドウの場合は、3.の工程を省いて、直接炒め合わせても大丈夫です。スナップエンドウは食感もおいしさの一部なので、加熱し過ぎに注意ましょう。
※テフロン加工のフライパンなど、焦げ付きにくいフライパンを使用する場合は、鶏むね肉を焼くときのオリーブオイルは無くても大丈夫です。
※合わせ調味料を入れたあとは、手早く炒め合わせましょう。
まとめ
さやごと食べるさやえんどうも、豆を食べる実えんどうも、同じマメ科エンドウ属の植物です。料理の彩りとして使われることも多い食材ですが、旬の時期には甘みも増すので、たっぷり摂りましょう。
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