目次
梅とは~歴史・種類~
梅は古来から日本の食に欠かすことができない食品です。バラ科アンズ属の植物で、日本国内では和歌山県が主な産地です。果実は熟しても甘くならず強い酸味が特徴で、梅干しや梅酒の他、ジャムやお菓子などさまざまに加工されます。生梅が店頭に並ぶ期間は短いですが、自家製の梅干しや梅酒などに需要があります。
梅の歴史
梅の木の原産は中国です。約2000年前に記された中国最古の薬物学書である「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」に、梅の記載があるといわれています。日本に伝わったのは約1500年前の飛鳥時代、「烏梅(うばい)」という薬として伝わりました。日本最古の医学書である「医心方(いしんほう)」の食養編には梅干しの記録があります。庶民にも知られるようになったのは江戸時代に入ってからで、江戸時代の辞典である「和漢三才図会(わかんさんさいずえ)」に梅が記載されています。食用として本格的に栽培され始めたのは大正時代で、昭和30年ころから品種改良が進み、現在はいろいろな加工食品として商品化されています。
梅の種類
・南高(なんこう)
南高梅といえば、和歌山県の代表的な品種として知られています。果皮は黄緑色で、完熟すると黄色から赤に変わります。1個25~30gくらいで皮が薄く、肉質はやわらかくて肉厚なのが特徴です。
・白加賀(しらかが)
主に関東に流通する青梅で、江戸時代から栽培されているといわれます。鮮やかな黄緑色で1個25~30gくらい、果肉の繊維が少なく肉厚で実がしまっているのが特徴です。
・古城(こじろ)
和歌山で古くから栽培されている青梅です。1個25~30gくらいで緑色の果皮です。
・小梅
1個5g前後の小さな梅です。長野県や山梨県で多く栽培されています。大きいサイズの梅よりもやや早く出回り、多くは梅干しやカリカリ梅などに加工されます。
青梅の青酸
青梅に含まれる青酸配糖体のアミグダリンは、体内で酵素によって分解されると青酸を発生し、中毒症状をおこすことがあります。アミグダリンは果肉よりも種子に多く含まれており、熟すにつれて分解されて消失します。砂糖漬けや塩漬け、アルコール漬けなどにしたり、40℃以上で加熱しても、アミグダリンは壊れて無害になります。梅の果肉に含まれるアミグダリンは少量であるため、青梅を間違ってかじってもすぐに命にかかわることはまれと考えられますが、頭痛やめまい、発汗、けいれんなどの中毒症状がおこることがあります。重症化すると呼吸困難や意識混濁などがおこることがあります。
ピロリ菌と梅リグナン
ヘリコバクターピロリ菌は自らが作り出すアンモニアで胃酸を中和し、人の胃の粘膜に生息します。胃の粘膜に傷をつけて胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの発症にもつながることがあります。梅には梅リグナンの一種である「シリンガレシノール」という抗酸化物質が含まれており、このシリンガレシノールはヘリコバクターピロリ菌の運動能力を抑制する効果があると考えられています。
梅の栄養~健康の有効成分~
梅は果実の中ではビタミンEや、カリウム・鉄などのミネラル類を比較的多く含んでいますが、他にも人の健康維持に有効な成分を含んでいます。
クエン酸
梅はその酸味やうま味から食欲を増進する効果があり、梅に含まれるクエン酸には疲労を回復する効果があります。またクエン酸にはカルシウムの吸収を促進する働きがあり、骨粗しょう症の予防に役立つと考えられます。
ムメフラール
梅を加熱したときに糖とクエン酸から生まれる物質で、血流を改善する効果があり、動脈硬化などの生活習慣病予防に役立つと考えられています。
薬膳の効果
梅には喉の腫れや痛みを和らげたり、整腸作用により下痢にも効果があります。消化吸収を促進し水分の代謝を整えるので、夏バテや夏風邪の症状に効果的といえます。
青梅を薫製し乾燥したものは「烏梅(うばい)」という漢方薬として扱われます。カラスのように真っ黒であることから、このような名前で呼ばれます。
梅のおすすめレシピ
梅は用途に合わせた梅を選ぶことが大切です。梅酒や梅シロップには、一般的には青梅を使用することが多いのですが、完熟の梅でも作ることができます。梅の熟し具合で、できあがりの色や風味が変わります。梅干しには、ある程度熟し始めた黄色から完熟の梅を使用します。カリカリした梅干しを作る場合は小梅の青梅を使います。青梅はキズや傷みがなく、青々ときれいな色のものを選びましょう。熟した梅は、木に生って熟したものが良質です。収穫後に追熟して色付いたものは香りが弱く、傷や斑点が出ていることがあるので避けましょう。どちらの場合も粒の大きさが揃っている方が、加工後の仕上がりが良くなります。
【小梅の梅シロップ】
【材料】(作りやすい分量)
・小梅 保存ビンに半分くらいの量
・氷砂糖 小梅と同量
【作り方】
1.保存用のビン(ガラスビン)を煮沸消毒しておきます。食器用洗剤でビンをよく洗ってから、ビンが入る鍋に水とビン、ビンの蓋を入れて火にかけ、沸騰したら火を弱めて、ときどきビンを転がしながら煮沸します。数分間煮沸したら鍋からビンを取り出し、伏せて乾燥させます。蓋は、煮沸に耐えられる素材であることを確認してから煮沸してください。煮沸できない場合は、よく洗ってから塩素消毒しておきましょう。
2.小梅のヘタを取ります。つまようじを使って1つずつ取りながら、キズや傷みがないか確認し、キズや傷みのあるものは避けます。
左はヘタを取る前、右はヘタを取った梅です。
3.ヘタを取った小梅をボールなどに入れて、水でやさしく洗います。清潔な布巾やキッチンペーパーで、しっかり水気を拭きとります。
4.乾いた保存ビンの中に、小梅と氷砂糖を交互に入れていきます。口にいっぱいまで入れたら蓋をします。
5.毎日気づいたときにビンを振ってなじませます。氷砂糖が溶けて、シロップが琥珀色に色付いてきたら、梅の実を取り出してできあがりです。
※ビンも小梅もしっかりと水気を拭きとりましょう。
※小梅は大きな梅に比べて早く浸かります。小さなビンでも浸けることができるので、少量でも手軽に浸けることができます。
翌日には水分が出ています。
4日後は、梅にしわが出てきました。
『梅のレシピ』まとめ
梅は薬として日本に伝わり、のちにさまざまに加工されるようになり、食されてきました。梅が健康に良い効果があることは、経験によって理解されていたといえます。
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