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緑茶とはどんな食材?
緑茶はツバキ科ツバキ属の永年性の常緑樹であるチャノキの葉を摘みとり、加熱処理して発酵を妨げたもの、またはそれに湯を注いだ抽出液を指します。
緑茶の歴史
お茶の発祥は中国といわれています。日本には奈良・平安時代のころ、遣唐使や留学僧によってもたらされたと考えられています。当時は非常に貴重で僧侶や貴族階級など限られた人だけのものでした。日本の臨済宗の開祖である栄西が記した「喫茶養生記」は日本初のお茶の専門書といわれており、お茶の効能や製茶法についても書かれています。鎌倉時代に禅宗の寺院で喫茶が広がると、社交の道具として武士階級にも浸透しました。千利休によって完成された茶の湯は江戸幕府の儀礼にも取り入れられ、武家社会に欠かせないものとなる一方で、一般庶民にも飲料としてのお茶が浸透していきましたが、庶民が飲んでいたのは抹茶ではなく、茶葉を煎じたものだったといわれています。江戸時代の後期からはお茶の葉が輸出されるようになり、明治時代以降も重要な輸出品のひとつでしたが、紅茶の台頭によって輸出が停滞したことで国内での消費量が増えていきました。お茶が日本人の生活に定着したのは昭和初期ともいわれており、比較的最近のことです。
緑茶の種類
・煎茶
煎茶は、生茶の蒸時間によって普通煎茶と深蒸し煎茶に分けられます。深蒸し煎茶は普通煎茶よりも蒸時間が長く、茶葉の形状は細かいのが特徴です。
・蒸し製玉緑茶
煎茶の製造工程で葉の形状を整えるための精揉を省略したお茶です。ぐり茶とも呼ばれます。茶葉が勾玉状でさっぱりとした味が特徴です。
・釜炒り茶
生葉を釜で煎ったお茶です。渋みや苦味が少なく、香ばしいすっきりとした味が特徴です。
・玉露
新芽が伸びだしたころから約20日間、日光を遮るために覆いをした茶園(覆下園)で栽培した茶葉を、煎茶と同様の工程で製造したお茶です。うま味と甘みが強く、苦みや渋みは少ないのが特徴です。
・かぶせ茶
一番茶を摘採する約7日前から覆下して栽培した生葉を、煎茶と同じ工程で製造したお茶です。玉露と煎茶の中間的なお茶です。
・碾茶
玉露と同様に覆下園で栽培した生葉を蒸してから揉まずに乾燥して、茎や葉脈をとり除いたものです。
・抹茶
碾茶を茶臼で挽いて微粉末にしたものです。少量のお湯を加えて茶せんで撹拌して飲むほか、砂糖や牛乳を加えた抹茶ドリンクや、パンや菓子の材料としても広く使用されるようになっています。
・番茶
新芽がのびてかたくなった茶葉や、茎などを原料としたお茶です。
・ほうじ茶
下級の煎茶や番茶などを強火で煎ったお茶です。高温で煎ることで渋みや苦味が抑えられ、香ばしい香りと味が特徴です。
緑茶に含まれる栄養素
緑茶にはいろいろな栄養素や機能性成分が含まれています。お湯で淹れたお茶にも成分は溶け出していますが、食物繊維やβカロテン、ビタミンEなど、多くの栄養素が茶殻に残ったままです。抹茶や粉茶を利用したり茶殻を料理に利用することで、茶葉の栄養を無理なく摂ることができます。茶葉の栽培にも農薬や化学肥料が使われていますが、食品衛生法と農薬取締法に基づく基準が設定されており、安全性が確保されています。気になる場合は、無農薬栽培や有機栽培の茶葉を選びましょう。
ビタミン
ビタミンB2、葉酸、ビタミンCなどを比較的多く含みます。ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康を維持するために必要で、不足すると口角炎や口内炎の原因となることがあります。葉酸はDNAなどの核酸を合成するために重要で、細胞分裂が活発な胎児の成長には欠かせません。また、ビタミンB12と一緒に血液をつくる働きもあります。ビタミンCはコラーゲンを作るために不可欠で、皮膚や粘膜の健康維持に役立ちます。鉄の吸収を良くしたり、ストレスへの抵抗性を強めるなどの働きがあります。
カテキン
カテキンはポリフェノールの一種で、緑茶の渋味の主成分です。茶葉の中にはエピカテキン・エピガロカテキン・エピカテキンガレート・エピガロカテキンがレートの4種類のカテキンが存在しています。さらに茶葉の製造過程の加熱処理によって4種類がそれぞれ変化し、合計8種類のカテキンが存在することになります。カテキンは非常に酸化しやすい物質ですが、緑茶に含まれるカテキンは製造工程中で酵素の働きが抑制され、ほとんど酸化しないといわれています。血圧や血中コレステロール、血糖値の上昇抑制、虫歯予防、抗菌作用、抗アレルギー作用など、多くの機能性があるといわれています。
カフェイン
お茶の苦みにかかわる成分のひとつです。特に若い葉に多く含まれ、成熟するにつれて含有量は減少するため、抹茶や玉露に多く含まれます。脳の中枢神経を興奮させる働きによって覚醒作用があります。またカフェインを摂取してから適度な運動をすると、筋肉中のブドウ糖よりも脂肪をエネルギー源として利用するようになり、持久力の向上に役立ちます。
テアニン
テアニンはアミノ酸の一種で、お茶のうま味にかかわる成分です。茶葉には他にも数種のアミノ酸が含まれていますが、最も多く含まれているのがテアニンです。脳の神経細胞を保護したり、リラックス効果があることがわかっています。また興奮抑制効果があるので、お茶自身が持つカフェインの作用を適度に抑えていると考えられます。
薬膳の効果
清熱効果が高く、体の熱を冷まします。頭をすっきりとさせる効果があり、消化を促したり、下痢にも効果があります。
緑茶のおすすめレシピ
緑茶は数週間で飲み切れる量を購入し、開封後は密閉できる袋に入れ替えて空気を抜き、冷暗所で保管しましょう。お茶が古くなって風味が落ちてしまったときは、フライパンにオーブンペーパーを敷いてから茶葉をのせ、弱火でゆっくりと乾煎りすると、自家製のほうじ茶になります。
【緑茶の炊き込みごはん】
【材料】(米2合分)
・米 2合(300g)
・緑茶 大さじ1
・和風顆粒だし 小さじ1/2
・塩 適量
【作り方】
1.お米を水で洗ってざるにあげ、水分をきっておきます。
2.お湯を沸かし、緑茶を淹れます。2合分で500mlくらいのお茶を用意し、冷ましておきます。
3.茶殻の水分をしぼり、大さじ1/2~1くらいの量を包丁で細かく刻んでおきます。
4.お茶が冷めたらお米を炊飯器に入れ、目盛りまでお茶を入れます。鍋で炊くときはボールに米を入れて、450mlを目安にお茶を入れます。足りないときは水を足して調節しましょう。
5.30分以上浸漬してから和風顆粒だしを入れて軽く混ぜ、刻んだ茶殻を上にのせて、いつもと同様に炊きます。
6.炊きあがったら茶葉が全体にいきわたるように混ぜ、お好みで塩を振ってできあがりです。
※ 炊飯器で炊く場合、水加減と浸漬時間は炊飯器の機種に合わせて調節してください。
※ 加える茶殻の量は、お好みで調節してください。
『緑茶レシピ』まとめ
緑茶には多くの栄養素が含まれており、いろいろな効能が期待されています。抹茶や粉茶を利用したり、茶殻を料理に利用することで効率よく緑茶の栄養を摂取することができます。ぜひとり入れてみましょう。
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