目次
ひじきとは
ひじきはヒバマタ目ホンダワラ科に属する褐藻類で、北海道の南部から九州まで広い範囲で収穫されます。収穫時期は春先で、時期を過ぎると葉がかたくなるため、多くは加工されて乾物として流通しています。
ひじきの歴史
島根県や高知県の洞窟や遺跡から、ひじきと思われる海藻が土器片に付着して発掘されていることから、縄文人はすでにひじきを食していたと考えられています。日本の最古の記録では、延喜式に朝廷への貢納品として用いられたことが記されています。三代将軍徳川家光の時代に書かれた料理書である「寛永料理物語」の中に、ひじきの調理方法が「にもの、あヘもの」と記されており、すでに現在と同じような調理方法で食べられていたと推測されています。
ひじきの種類(部位)
ひじきは1本のひじきでも、部位によって呼び方が変わります。
・芽ひじき
「姫ひじき」とも呼ばれます。ひじきの葉の部分にあたり、細かく口当たりがよいのが特徴です。
・長ひじき
「茎ひじき」とも呼ばれます。ひじきの茎部分にあたり、芽ひじきよりも太くて長く、歯ごたえがあるのが特徴です。
・寒ひじき
「早どれひじき」とも呼ばれます。冬に若いひじきを採取して加工したものです。
乾燥ひじきの加工工程
乾燥ひじきの加工には大きく分けて2種類があります。
・伊勢製法
3~5月に採取されたひじきを、産地で天日干ししてから加工業者に運ばれます。加工業者では洗浄し、水戻し・水洗いのあと蒸煮されます。蒸煮によって、ひじきの渋味や雑味が抜けます。乾燥させ、異物検査などの安全性のチェックを経てから包装し、出荷されます。
・房州製法
3~5月に採取されたひじきを、干さずにそのまま加熱します。加工業者によって、蒸煮するところと、煮熟(水を加えて煮る)ところがあります。乾燥させ、異物検査などの安全性のチェックを経てから包装し、出荷されます。
ひじきに含まれるヒ素
2004年7月、英国食品規格庁(FSA)が「ひじきは無機ヒ素を多く含むので食べないように」という勧告を出しました。ロンドンで販売されている海藻類31検体について、総ヒ素と無機ヒ素の濃度を測定した結果、ワカメや昆布などに比べて、ひじきに含まれるヒ素濃度が高かったためです。これを受けて厚生労働省はホームページ上で、「体重50㎏の人が毎日4.7g以上のひじきを継続的に摂取しない限り、無機ヒ素の限度を超えることはないと考えられ、バランスの良い食生活を心がければ健康上のリスクが高まることはない」としています。東京都江東区の調査では、ワカメなど他の海藻と比較するとひじきに含まれるヒ素量は多いという結果が出ていますが、水戻しなどの適切な下処理で無機ヒ素は減少することがわかっています。農林水産省は、乾燥ひじきに含まれる無機ヒ素は、水戻しで5割程度、ゆでこぼしで9割程度減らすことができるとしています。
ひじきの栄養
カルシウム
可食部100gあたりのカルシウム含有量は牛乳の約12倍です。ひじきに含まれるカルシウムの吸収率は牛乳よりも低いのですが、牛乳や乳製品が苦手な場合やアレルギーがある場合には、重要なカルシウム源のひとつになるといえます。
マグネシウム
可食部100gあたりのマグネシウム含有量はアーモンドの約2倍含まれています。カルシウムに対するマグネシウムの摂取比率が高いほど、虚血性心疾患の死亡率が低いといわれています。カルシウムとマグネシウムの理想的な摂取バランスは2:1~3:1といわれており、ひじきはこのカルシウムとマグネシウムのバランスも良く含まれています。
食物繊維
ひじきを含む海藻類には食物繊維が多く含まれていますが、海藻類に含まれる食物繊維の一種であるアルギン酸には整腸作用の他に、コレステロール低下作用や血圧の低下作用があるといわれています。
ひじきは鉄を多く含むのか?
文部科学省が発表した「日本食品標準成分表2015」の中で、ひじきに含まれる鉄について大幅な変更がありました。それまでひじきといえば、鉄分を多く含む食品のひとつとされていましたが、ひじきを加工する際に使用される釜が鉄釜かステンレス釜かで、ひじきに含まれる鉄が大きく変化するとして、成分表では鉄釜とステンレス釜で加工されたものが別々に表示されています。鉄釜で加工された乾燥ひじき100gあたりの鉄含有量は58.2㎎、ステンレス釜の場合では6.2㎎と表示されています。しかし業界独自に行った調査では、韓国産や中国産の乾燥ひじきでは、加工に使用されたのがステンレス釜であるにもかかわらず、47㎎を超える鉄が含まれていることがわかっています。またひじきの加工法は大きく分けて、蒸乾法と煮乾法の2種類があり、その方法によっても数値が異なる可能性が考えられるため、ひじきの鉄分については、産地や製法などによって数値に差異があるのが現状です。
薬膳の効果
血を補い、美髪や美肌に効果があるといわれています。血行を良くして、水分代謝を改善し、むくみの改善、痛みやしびれなどにも効果があるといわれています。
ひじきのレシピ
乾燥ひじきは、中身が見える包装の場合は、色が黒々として大きさが揃っているものを選びましょう。生ひじきはふっくらとハリがあり、ツヤのあるものが良品です。生ひじきも、下処理としてお湯でゆでる必要があります。
【ひじき入りポパイオムレツ】
【材料】(1~2人分)
・卵 2個
・ひじき(乾燥) 3g
・ほうれん草 30g
・ピザ用チーズ 20g
・牛乳 大さじ1
・マヨネーズ 小さじ1
・塩・コショウ 適量
・オリーブオイル 小さじ2
・バター 小さじ1
【作り方】
1.ひじきは、たっぷりの水に30分以上浸して十分に戻し、洗って水をきっておきます。
2.ほうれん草は洗って2㎝くらいの長さに切ります。茎と葉を分けて準備しておきます。
3.ボールに卵を割り入れ、戻したひじき、ピザ用チーズ、牛乳、マヨネーズ、塩・コショウを入れてよく混ぜておきます。
4.フライパンにオリーブオイルを入れて、ほうれん草の茎を先に炒めます。
5.ほうれん草の葉を入れて、しんなりするまで炒めたら、バターを足して、卵を一気に入れます。
6.全体を大きくかき混ぜながら焼き、半熟状になったら、フライパンの向こう側から手前にたたむようにします。
7.卵全体を転がすようなイメージで、少しずつ形を整えながら焼いてできあがりです。
※お好みでケチャップなどをかけてください。
まとめ
鉄だけではなくカルシウムやマグネシウム、食物繊維など、栄養豊富なひじきです。乾燥ひじきだけではなく缶詰やレトルトパックなど、下処理の手間が不要な商品も多く販売されています。毎日のお食事に積極的にとり入れましょう。
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