目次
黒砂糖とはどんな食材?
黒砂糖または黒糖(こくとう)は、サトウキビの搾り汁を煮詰めて作る黒褐色の砂糖です。
黒砂糖の歴史
1623年(元和9年)に、琉球王国から中国へ渡った儀間真常が黒砂糖の製糖方法を習得し、沖縄で初めて黒砂糖が生産されたといわれています。以来サトウキビは沖縄を代表する農産物となり、黒砂糖は産業としてだけではなく、生活や文化と深く結びついていきました。沖縄県の耕地面積のおよそ半分がサトウキビ畑といわれていますが、現在はそのほとんどが上白糖などの原料である粗糖の製造に使われ、黒砂糖になるのは5~6%となっています。黒砂糖の国内生産量のほとんどが沖縄県と鹿児島県の離島で生産されています。
黒砂糖の種類
沖縄県で黒砂糖を製造して県外に出荷しているのは、8か所の島にある黒糖工場です。製造方法に大きな違いはありませんが、原料となるサトウキビの栽培方法や島の土壌や気候により、それぞれ特徴のある黒砂糖ができます。
・伊平屋島
沖縄本島の北西53㎞にある島で、山があり、豊かな水に恵まれています。硬く大きな粒で、ごつごつとした形が特徴です。昔ながらのほろ苦さが残る黒砂糖です。
・伊江島
沖縄本島の本部半島から北西へ約9㎞に位置する離島です。黒糖製造が始まったのは平成23年からの新しい製造工場です。やや白っぽく、小ぶりな粒が特徴です。
・粟国島
かつては粟の産地として有名でした。黒砂糖の他にも製塩や漁業などの産業も有名です。やわらかい風味で黒砂糖に食べ慣れていない人にも食べやすい味です。
・多良間島
宮古島と石垣島のほぼ中央に位置する島で、島の中央にサトウキビ畑が広がります。黒砂糖はこげ茶色の長方形で硬く、他の島のものとは異なる粒の形状です。
・西表島
沖縄本島に次ぐ大きさの島で、イリオモテヤマネコなど希少動物の生息地としても有名です。色は白めで、自然な甘味が特徴です。
・与那国島
石垣島の西方130㎞、日本最西端の島です。台地でサトウキビが栽培されており、明るい黄土色が特徴の黒砂糖です。
・小浜島
石垣島と西表島の間に広がる、国内最大のサンゴ礁内に位置する島です。一見するとチョコレートのような見た目とコクのある風味が特徴です。
・波照間島
石垣島の南西56㎞に位置する最南端の島です。ゴロゴロと大粒で、シャリシャリとした食感が特徴です。
日本における黒砂糖の定義
2011年(平成23年)に消費者庁が黒糖の定義を明確化しました。それによると黒砂糖と黒糖は同じものを指し、サトウキビの搾り汁を中和・沈殿などによって不純物を除去し、煮沸によって濃縮した後、糖みつ分の分離などの加工を行わずに冷却して製造した砂糖で、固形または粉末のものとされています。従来は加工黒糖や、ザラメに糖みつを混ぜた再製糖が黒糖として売られていましたが、現在はこの定義に当てはまらないものは黒砂糖や黒糖という表現が使えないようになっています。
黒砂糖に含まれる栄養
ビオチン
ビオチンは水溶性のビタミンで、ビタミンB群の仲間です。酵母の増殖に必要な物質として発見され、皮膚の炎症を防止する働きがあることがわかっています。皮膚や粘膜の維持の他にも爪や髪の健康にもかかわっており、不足するとアトピー性皮膚炎の症状が悪化したり、脱毛などの皮膚症状を引きおこす可能性があります。リウマチやクローン病などの免疫不全症や、インスリンの分泌能にも影響を及ぼします。
ビタミンB6
ビタミンB6は、補酵素として多くのアミノ酸の代謝にかかわっています。免疫機能を正常に保ち、皮膚の抵抗力を高めたり、赤血球のヘモグロビンの合成を助けて貧血の予防にも必要です。
カリウム
カリウムは、体内では多くが細胞内に存在し、細胞外液に多いナトリウムとお互いに作用しながら細胞の浸透圧を維持する働きがあります。その他に、神経刺激の伝達や心臓や筋肉の機能調節、ナトリウムの排出を促進して血圧を下げるなどの働きがあります。腎疾患などによりカリウムの摂取に制限がある場合は、黒砂糖の使用について、かかりつけの医師や管理栄養士に相談しましょう。
薬膳の効果
黒砂糖は血を補い、貧血や、女性の不正出血や出産後の体力回復に良いといわれます。血行を良くしてお腹を温め、冷えからくる生理痛や生理不順など女性特有の不調に効果的です。また、気持ちが落ち込んでいるときにも効果があるといわれます。
黒砂糖のおすすめレシピ
黒砂糖には固形のものと粉末のものがあります。料理に使用するには粉末の方が使いやすく、そのまま食べるには固形の方が食べやすいといえます。固形のものは空気に触れている表面から劣化していきます。グラニュー糖などと比べると精製度が低い分、カビなどが発生しやすいといえます。粉末は空気に触れる部分が大きいため、固形の黒砂糖と比べても劣化が早いと考えられます。黒砂糖特有の風味やコクも空気に触れることで少しづつ失われていくので、どちらの形状でも開封後は密閉できる容器に入れ、湿気の少ない涼しい場所で保管しましょう。冷蔵庫での保管も可能ですが、冷蔵庫から出し入れする際の温度差で固まってしまったり、結露によってカビが生えやすくなることもあるので注意しましょう。
【黒糖マフィン】
【材料】(作りやすい分量:直径5㎝×高さ5㎝のマフィン型5個分)
・黒砂糖 50g
・卵 1個
・サラダ油 50g
・小麦粉 100g
・ベーキングパウダー 2g
・牛乳 大さじ1
・ラム酒 小さじ1
・くるみ(無塩) 40g
【作り方】
1.粉末の黒砂糖の方が使いやすいですが、固形の黒砂糖の場合はビニール袋に入れ、すりこぎや大きいスプーンの背などを使って押し付けるようにつぶしておきます。多少のかたまりは残っていても大丈夫です。
2.くるみは小さく割っておきます。オーブンを180℃に予熱しておきます。
3.ボールに卵を割り、黒砂糖を入れてハンドミキサーで撹拌します。白っぽく、もったりとするまで撹拌します。
4.サラダ油を少量ずつ、何度かに分けて加え、その都度よく撹拌します。
5.牛乳を加えて混ぜます。
6.ラム酒を加えて混ぜます。
7.小麦粉とベーキングパウダーを合わせてふるい、6.に加えます。ハンドミキサーをゴムベラに変えて、さっくりと混ぜます。
8.粉気がまだ少し残っているうちにくるみを入れ、白い粉がなくなるまで混ぜます。
9.マフィンカップの8分目くらいまで生地を入れ、180℃のオーブンで15分くらい焼きます。竹串を刺してみて、生の生地が付いてこなければ焼き上がりです。
※ 焼き時間は、オーブンの機種やマフィン型の大きさによって調節してください。
黒砂糖レシピのまとめ
黒砂糖はサトウキビの搾り汁を煮詰めて作る黒い砂糖で、沖縄県や鹿児島県の離島の特産品です。精製度の高い白い砂糖に比べてビタミンやミネラルを豊富に含み、特有のコクがあります。お菓子の材料としてだけではなく、いつも使っている白い砂糖の一部を黒砂糖に代えてみるのもよいでしょう。
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