年末年始頃から店頭にならび、春を感じさせる野菜の一つ、菜の花。軽い苦みや辛みを含み、いただくと気持ちがシャキッとしませんか?今回は菜の花について、その栄養や健康効果、おいしい食べ方をご紹介します。
目次
菜の花とはどんな食材?
一口に「菜の花」と言っても、ここ数年、異なる姿の野菜が「菜の花」として販売されています。どれもこれも、「菜の花」。不思議ですね。
「菜の花」とは、ひと種類の野菜のことを言うのではなく、食用となるアブラナ科の花茎及びつぼみを指しているのです。現在では、一般的によく見るアブラナの花蕾だけではなく、ブロッコリーやタアツァイ、青梗菜など、多くのアブラナ科の花蕾が、菜の花と称して販売されています。
主な品種として、
菜の花(和種)
最も一般的な品種で、茎の長さ15cm程度で直方体に束ねられた形で販売されているもの。上部にはつぼみがぎっしりとついているもの。京都では「花菜」とよばれ、京野菜として、京都南部の長岡京市などで栽培されています。
三重なばな(西洋種)
菜種油の生産が盛んだった三重県で、菜種油を取るために栽培されていたアブラナの、間引いた花芽や余分な茎を食用にしたのが始まりとされています。小さな花芽がついている場合もありますが、主に新芽や葉を利用します。
があります。
菜の花の栄養価とは?
① カルシウム
カルシウムは私たちの歯や骨を作る栄養素です。体内に含まれるカルシウムのうち、99%は骨や歯に含まれています。固く見える骨ですが、少しずつ作り変えられていて、4か月程度で入れ替わっているため、日々取り続ける必要があります。
また、残り1%のカルシウムは神経伝達の働きを助けたり、筋肉の働きを正常に保ったりする作用があります。
② 鉄
鉄は赤血球中のヘモグロビンに含まれ、呼吸により取り込んだ酸素を全身に送り届ける働きがあります。そのため、不足すると全身に充分な酸素が体の隅々まで行き渡らず、鉄欠乏性貧血を引き起こしたり、動悸やめまいを引き起こしたりすることがあります。
③ βカロテン
βカロテンは私たちの小腸でビタミンAとなり、目や皮膚、粘膜を健やかに保つ働きがあります。のどや鼻、呼吸器の粘膜は外部から侵入するウイルスや細菌が体内へ侵入するのを防ぐ働きがあるため、粘膜を健やかに保つことは免疫力を保つことにつながります。
④ ビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用があり、血液中のコレステロールが酸化して動脈硬化を引き起こすのを予防したり、体内の細胞膜が酸化することにより起こる老化を予防したりする働きがあります。
⑤ ビタミンK
ビタミンKは、私たちが怪我をして出血した時などに、血液を固めて止血する因子の合成に必要な栄養素の一つです。また、骨にカルシウムを沈着させ、骨の形成を促す働きがあります。そのため、骨粗しょう症を改善するために欠かせない栄養素の一つと言われています。
⑥ ビタミンB2
ビタミンB2は発育のビタミンとも呼ばれ、私たちが成長していくのに欠かせない栄養素の一つであるほか、皮膚や爪、毛髪などの再生を促す働きもあります。
また、糖質やたんぱく質、脂質からエネルギーを作り出す作用があります。
⑦ 葉酸
葉酸はビタミンB12とともに赤血球の生成を促したり、細胞が正常に分裂、生成されたりするのを助ける働きがあります。
そのため、細胞分裂が盛んな胎児には特に大切な栄養素の一つとされ、妊娠初期の女性にはかかせない栄養素です。不足すると胎児の成長に悪影響が出ることがあります。
⑧ ビタミンC
ビタミンCは骨や肌の細胞同士をつなぎ合わせているコラーゲンの生成を担っています。そのため、骨や肌を健やかに保つほか、メラニン色素の生成を抑え、美肌効果が期待できます。
また、精神的、肉体的なストレスを受けると大量のビタミンCが消費されるため、ストレスが多い環境にいる方は意識して取る必要があります。
⑨ イソチオシアネート
イソチオシアネートは、菜の花をはじめとするアブラナ科の植物に含まれる辛み成分です。抗酸化作用が強く、また、近年の研究では抗がん作用が期待できることが確認されているということです。
⑩ アルカロイド
「春苦み夏は酢の物秋辛味、冬は脂と合点して喰へ」とは、明治時代の医師であり、食養生家、石塚左玄の言葉です。春には苦みを食べ、寒い冬の間に滞った代謝を上げ、溜まった老廃物を出して健やかに春を迎える、という意味ですが、菜の花の持つアルカロイドには新陳代謝を活発にし、デトックス効果があることが知られています。
菜の花の辛子和え
ピリリと辛味が効いた菜の花の辛子和えは、薬膳では「気」の滞りを解消し、流れを整える働きがあるとされています。冬の間に縮こまり、老廃物が溜まった体にも、デトックス効果が期待できますよ。
【材料】 2人分
・菜の花・・・1/2把
・出汁・・・50cc
(市販の白だしなどを規定量に薄めたものでも大丈夫です)
・しょうゆ・・・小さじ1
・練りがらし・・・小さじ1~
【作り方】
① 菜の花は根本の切り口を切り落とし、きれいに洗ってから塩少々(分量外)を入れた熱湯でさっとゆで、ザルに広げるように入れて水分を切り、冷まし、一口大に切っておきます。(菜の花は根本に近い方が固く、花穂は柔らかいので、最後にさっと湯を通します。)
② 練りがらしをボールに入れ、出汁、しょうゆを加えながら少しずつ溶きのばします。
※市販の出汁を使用する場合、商品によって塩分濃度が違います。しょうゆの量は味を見て加減してください。
③ ①の菜の花を加えて和え、暫くおいて味をなじませます。
④ 食べるときに軽く絞って汁気を切り、盛り付けます。
菜の花レシピのまとめ
春になると吹き出物や肌のかゆみが気になるという方も多いのではないでしょうか?薬膳では、菜の花は炎症や吹き出物を鎮め、春のトラブルを鎮める働きがあるといわれています。春早くから店頭に並び始める菜の花、上手に利用して季節の変わり目を穏やかに過ごしたいですね。
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