春には「新じゃがいも」や「新玉ねぎ」、「春ごぼう」「春キャベツ」などと呼ばれて、旬を迎える野菜が多くあります。今回は新じゃがいもについて紹介します。
目次
新じゃがいもとは
新じゃがいもは春に収穫されてすぐに出荷されるじゃがいものことを指します。通年で出回っているじゃがいもと基本的には同じものです。
新じゃがいもとじゃがいも
通常、秋に収穫されるじゃがいもは葉や茎が枯れてから収穫され、収穫後に一定期間貯蔵して熟成させてから出荷されます。熟成中にでんぷんが糖に変わることで甘味が出ます。それに対して新じゃがいもは、春に葉や茎が緑色のうちに収穫されて貯蔵期間を経ずに出荷されます。収穫してすぐのじゃがいもは皮が薄くてやわらかく、水分が多くみずみずしいのが特徴です。水分が多い分通常のじゃがいもよりも傷みやすいため、購入後は早めに食べるようにしましょう。乾燥しないように新聞紙に包み、光にあたらないように冷暗所で保存します。
新じゃがいもの種類
「男爵」と「メークイン」の2種類は、一般的にもよく知られている種類ですが、近年は品種改良が進み、新しい品種も多く出回っています。
・男爵
丸い形で芽の部分が深くくぼみ、ゴツゴツしています。粉質でホクホクした食感が特徴です。
・メークイン
卵型で比較的くぼみが少なく、煮崩れしにくいといわれます。
・キタアカリ
北海道の品種です。形は男爵と似ていますが、中身の黄色が濃いのが特徴です。
・アンデスレッド
小さめの卵型で皮が赤いじゃがいもです。中身は黄色く、粉質でホクホクした食感です。
・ニシユタカ
暑さに強い品種です。形は丸くて芽のくぼみが浅く、比較的しっとりとした食感です。
・インカのめざめ
南米産の品種を日本向けに改良したものです。卵型で黄褐色の皮と黄色の果肉が特徴です。糖度が高く濃厚な味わいですが、芽が出やすいため、他の品種と比べると流通量が少ない品種です。
2月下旬ころから鹿児島や宮崎産の新じゃがいもが出回り始めて、産地が北上していき、初夏には北海道産の新じゃがいもが店頭に並びます。
新じゃがいもの芽と皮
じゃがいもの芽にはソラニンとチャコニンという天然の毒素が含まれています。また皮の部分にも少量のソラニンやチャコニンが含まれます。
じゃがいもは土中から掘り出したあと、光に当たると光合成によって皮が緑色に変わり毒素が生成されます。また傷がつくと毒素が増えることもわかっています。新じゃがいもは皮ごと調理することも多いため、傷がつかないようにていねいに扱い、保存時は光にあたらないように注意しましょう。芽や緑色に変色している部分はしっかりと取り除くことが大切です。
ソラニン・チャコニン
ソラニンやチャコニン(別名カコニン)はグルコースやガラクトースなどの糖とアルカロイドから成るグリコアルカロイド(糖アルカロイド)の一種です。じゃがいもに含まれるグリコアルカロイドのうち、α-ソラニンやα-チャコニンはじゃがいもの苦味成分です。じゃがいもを食べたときに苦味やえぐみを強く感じたときは、毒素を多く含んでいる可能性があるため食べないようにしましょう。ソラニンやチャコニンは210℃の高温で揚げた場合にやや減少しますが、加熱調理によって毒素が消失することはありません。加熱調理前に芽や緑色に変色した部分はしっかり取り除くようにしましょう。
新じゃがいもの栄養
基本的にはじゃがいもも新じゃがいもも含まれる栄養素は同じと考えられますが、新じゃがいもには水分が多く含まれていることと、新じゃがいもは皮ごと食べることが多いため、栄養素を無駄なく摂取することができるといえます。
ビタミン
じゃがいもにはビタミンCが多く含まれています。ビタミンCは熱に弱いビタミンですが、じゃがいもに含まれているビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱に強いといわれています。
ミネラル
カリウムを多く含みます。体内の余分な水分を排出し、むくみの予防や改善に効果が期待できます。ナトリウムとのバランスをとることで、高血圧の予防にも効果が期待できます。
薬膳の効果
じゃがいもは薬膳では消炎・解毒作用があると考えられており、特に胃腸のトラブルに有効だといわれます。気を補い脾の働きを高めることで、筋肉疲労の解消にも効果的です。
新じゃがいものレシピ
新じゃがいもは皮が薄いので、皮ごと調理することで食物繊維などの栄養を無駄なく摂ることができます。たわしやブラシなどを使って土や汚れを落とします。ゴシゴシこすり過ぎると、皮がむけてしまうので注意しましょう。
小粒の新じゃがいもは丸ごと調理する料理に向いていて、崩れにくいので炒め物にも適しています。反対に水分が多くでんぷん質が少ないため、肉じゃがやコロッケ、ポテトサラダなどにはあまり向きません。
【新じゃがいものジャーマンポテト】
【材料】(2~3人分)
・新じゃがいも(小さいもの) 5~6個
・玉ねぎ 1/2個
・ウインナー 3~4本
・ブロッコリー 1/4個
・にんにく(チューブ) 1㎝くらい
・オリーブオイル 小さじ1
・コンソメ 小さじ1/4
・塩・こしょう 適量
【作り方】
1.新じゃがいもはたわしやブラシで洗って汚れを落とし、芽や緑色に変色している部分があれば取り除いておきます。食べやすい大きさに切り揃え、耐熱のボールに入れてふんわりとラップをかけて電子レンジで加熱します。竹串が通るくらいに、やわらかくなり過ぎない程度に調節してください。電子レンジに根菜類の下ごしらえ機能があれば、それを目安にしてください。
2.玉ねぎは5㎜スライス、ウインナーは斜めに半分に切っておきます。ブロッコリーは洗って水をきり、ラップに包んで電子レンジで加熱しておきます。
3.フライパンにオリーブオイルとにんにく(チューブ)を入れて火をつけ、玉ねぎとウインナーを炒めます。
4.玉ねぎがしんなりしてきたら、新じゃがいもを入れます。切り口に焼き目がついたら、コンソメと塩・こしょうで味を整えます。
5.最後に小房に分けたブロッコリーを炒め合わせてできあがりです。
新じゃがいもレシピまとめ
新じゃがいものおいしさは、通年出まわっているじゃがいもとはまた違った春の味です。旬の新じゃがいもを、いろいろな調理方法で楽しんでみましょう。
株式会社シルバーライフの【まごころケア食】では、管理栄養士が考えたバランスの良いお食事をご提供しております。健康な毎日のためにぜひお役立てください。
記事一覧へ戻る