ここ数年で目にするようになった空心菜。栄養価が高く、太いストロー状の茎をもつ葉物野菜で、手には取ってみても、慣れないとどのように食べるとよいのか悩みますね。茎はシャキシャキと、葉には少しぬめりがあり、最近はスプラウトとしても販売されている空心菜、今回はその栄養価やおいしいレシピをご紹介します。
目次
栄養価の高い空心菜とは?
空心菜(クウシンサイ)は、和名をヨウサイといい、ヒルガオ科サツマイモ属の葉物野菜です。原産は東南アジアとされ、沖縄からインドネシア、オーストラリアにかけて古くから食用として栽培・利用されています。
「空心菜」の名は中国語名に由来し、茎の中央がストローのように空洞になっていることからきています。
そのほか、台湾語に由来するエンツァイ、また、ヨウサイ、アサガオナという名でも知られています。
高温多湿を好み、繁殖力がとても旺盛で栽培が容易なことから、近年、出荷量が増えている野菜の一つです。また、水質浄化作用が強く、アオコが発生しやすいダム湖などでは、その原因の一つとなる有機塩減少のために利用され、培地を水に浮かべて育てる空心菜のフロート栽培が、地元の高校生を中心に行われています。
空心菜の栄養価とは?
薬膳では体にこもった熱やむくみを除き、また、止血作用があり、鼻血や皮下出血を抑える働きがあるとされています。では、具体的にはどのような栄養素が含まれているのかを見ていきましょう。
① βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変化します。ビタミンAは発育を促し、皮膚や粘膜を保護して免疫力の向上を担っています。また、目の網膜の主成分であるロドプシンという物質の原料になり、薄暗いところでも光を感じ、視力を維持する作用があります。
空心菜100gあたり、4300㎍のβカロテンを含んでいます。
② ビタミンB1
水溶性ビタミンの一種、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えて疲労回復を助け、糖が唯一のエネルギー源である脳神経系を健康に保つ働きがあります。また、皮膚や粘膜の健康を担っています。
空心菜100gあたり、0.10mgのビタミンB1を含んでいます。
③ ビタミンB2
ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持に役立つビタミンで、糖質、たんぱく質、脂質をエネルギーに変換し、代謝を司る役割を担っています。口角炎、口内炎をはじめとする粘膜の炎症を抑える働きがあります。
空心菜100gあたり、0.20mgのビタミンB2を含んでいます。
④ カルシウム
カルシウムは私たちの体内に含まれる総量のうち、99%が骨や歯に蓄えられています。残り1%は血液や体液中に含まれ、止血を助け、神経伝達や筋肉の動きを促し、生命活動の維持を行う役割を果たす栄養素のひとつです。
空心菜100gあたり、74mgのカルシウムを含んでいます。
⑤ 鉄
鉄は成人の体内に3~4グラム存在しています。そのうち約70%は血液の中のヘモグロビンに含まれ、体の隅々まで酸素を運ぶ役割を担っています。鉄分が不足すると、体の隅々まで酸素が行き渡らなくなるため、心臓は酸素をいきわたらせるためにより多くの血液を送り出さなければいけません。そのため、動機や息切れが多くなります。
残り25%は肝臓に貯蔵されています。
空心菜100gあたり、1.5mgの鉄を含んでいます。
空心菜の選び方と保存方法
生育旺盛な空心菜ですが、その葉はこすれや折れ、ムレに弱いのが特徴です。
購入時は切り口がきれいで瑞々しく、葉にはりがあって鮮やかな緑色をしているものを選びましょう。また、袋の下になっている側が蒸れて葉が張り付いているものは、その部分から傷み始めていることがあるので避けた方がよいでしょう。
保存する際は湿らせたキッチンペーパーなどで切り口を覆い、全体を新聞紙でふんわりと包み、冷蔵庫の野菜室に立てておきます。とはいえ、もともとが熱帯地方の植物ですので、低温は苦手です。購入後はできるだけ早く調理したほうがよいでしょう。
空心菜のおすすめレシピ
【空心菜と砂ずりのスタミナ炒め】
体に良い成分を多く含む空心菜を、鉄分や亜鉛、たんぱく質を豊富に含む砂ずり(砂肝)と一緒に、グリコーゲンも豊富な牡蠣を原料に作られたオイスターソースで炒めます。
ビールのおあてにも最適な、夏バテ防止のスタミナメニューです。
【材料】
・空心菜 1束
・砂ずり(砂肝) 100g
・しょうが 1/2かけ
・にんにく 1かけ
・オイスターソース 大さじ1
・しょうゆ 少々
・ごま油 大さじ1
【作り方】
① 砂ずりは厚みがある場合は半分に切り開き、余分なスジなどは取り除いておきます。
② 空心菜は葉と軸に分け、それぞれ一口大に切る。しょうが、にんにくはみじん切りにしておきます。
③ フライパンにごま油を熱し、②のにんにく、しょうが、砂ずりを入れて炒める。
④ 火が通ったらオイスターソースを加え炒め合わせる。
⑤ ②の空心菜の軸を加えさっと炒めたら、葉の部分を加え炒め合わせ、しょうゆで味を調えてすぐに器に盛る。
※砂ずりが固くて食べにくい場合は、鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら火を止めてすぐに砂ずりを入れます。そのまま5分ほど余熱で火を通したものを③で炒めると、比較的柔らかく仕上げることができます。
空心菜レシピのまとめ
クセがなくて食べやすいにも関わらず、とても栄養価が高い空心菜。カルシウムや銅は、栄養価が高いことで知られるほうれん草よりも多く含んでいます。
夏に旬を迎える空心菜、葉の分は生でサラダに利用することもできます。夏バテ予防にもぜひ召し上がってくださいね。