目次
ジャムについて
ジャムは果物に砂糖を加えて加熱濃縮し、酸とペクチンの力によってゼリー化したものです。
ジャムの起源・歴史
旧石器時代後期、ミツバチの巣から蜜を採取し、蜜を使って果実を煮たことがジャムの始まりとされています。ヨーロッパでは古くから、それぞれの地域の風土に合ったジャムがつくられてきました。果物を砂糖やはちみつを加えて煮込むことで生とはまた異なったおいしさが生まれ、保存食として利用されていました。日本には16世紀後半に宣教師によって伝えられたと考えられています。国内で製造されたのは明治10年、東京新宿にあった勧農局で行われたイチゴジャムの試売が始まりといわれています。その後明治14年には、長野県で缶詰のイチゴジャムが販売されています。昭和に入りイギリス留学から帰国した相馬正胤氏が相馬果実缶詰研究所を設立し、イギリス風のジャムやマーマレードの生産を開始しました。続いて昭和10年ころ、現在のアオハタ株式会社である旗道園が、日本人好みの甘味のイチゴジャムとマーマレードの製造を開始し、一般に広く普及していきました。
ジャムの定義と種類
ジャムは日本農林規格(JAS)により、以下のように定義されています。
・ジャム類
1.果実、野菜または花弁を砂糖類、糖アルコールまたははちみつとともにゼリー化するようになるまで加熱したもの。
2.1,に酒類、かんきつ類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料などを加えたもの。
・ジャム
ジャム類のうち、マーマレード及びゼリー以外のものをいう。
・プレザーブスタイル
ジャムのうち、いちごを除くベリー類の果実を原料とするものにあっては全形の果実、いちごの果実を原料とするものにあっては全形または2つ割りの果実、ベリー類以外の果実などを原料とするものにあっては5㎜以上の厚さの果肉などの片を原料とし、その原形を保持するようにしたものをいう。
・マーマレード
ジャム類のうち、かんきつ類の果実を原料としたもので、かんきつの果汁を原料としたもので、かんきつ類の果皮が認められるものをいう。
・ゼリー
ジャム類のうち、果実などの搾汁を原料としたものをいう。
ジャムとコンフィチュールの違い
コンフィチュール(confiture)はフランス語でジャムを意味する言葉なので、言葉の意味としてはジャムと同じといえます。しかし現在コンフィチュールというと、単純に果物を砂糖で煮詰めたジャムというよりも、香辛料や酒類で風味を加えたものや、糖分を控えて素材の特徴を生かしたものなど、独自の工夫をしたものを指していうことが多いようです。コンポート(compote)はフランス語で、果物をシロップで煮たものを指します。ジャムよりも糖度が低く、果物の形状やフレッシュな風味が残っています。
ジャムの糖度区分
ジャムの糖度には基準が設けられており、日本と海外では異なります。ヨーロッパでは糖度60%以上、アメリカでは糖度65%以上とされているため、一般的に輸入品のジャムは甘みの強いものが多いといえます。日本では糖度40%以上とされており、日本ジャム工業組合によって次のように糖度と区分が決められています。
・高糖度ジャム:糖度65%以上
・中等度ジャム:糖度55%以上65%未満
・低糖度ジャム:糖度40%以上55%未満
ジャムに含まれる栄養
炭水化物
炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。糖質は体内で主にエネルギー源となります。同じくエネルギー源となる脂質やタンパク質よりも消化吸収に優れており、素早くエネルギー源として利用されます。エネルギーとして使われなかった糖質は体内で脂肪となって蓄積されます。ジャムにはペクチンという水溶性食物繊維が含まれています。ペクチンは植物の細胞と細胞をつなぐ役割があり、果物に多く含まれていて、ジャムがゼリー化するためには欠かせない成分といえます。ペクチンには中性脂肪の減少や血中コレステロール値の改善などの効果が期待できるほか、ペクチンが小腸の絨毛を伸ばす働きがあることがわかっており、栄養の吸収を促進し、健康の増進に役立つ可能性が期待され研究されています。
ポリフェノール
ジャムの材料となる果物が持つポリフェノールは熱に強く、加熱後も残存すると考えられています。いちごジャムやブルーベリージャムにはアントシアニン、オレンジマーマレードにはβクリプトキサンチンなどのポリフェノールが含まれます。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、動脈硬化など生活習慣病の予防やアンチエイジングの効果が期待できます。
ジャムのおすすめレシピ
市販されているジャムの賞味期限は開封前のものです。開封後は冷蔵庫に保存し、できるだけ早く食べきるようにしましょう。食べるときに雑菌が入らないよう、清潔なスプーンを使用することも大切です。どうしても食べきれないときには冷凍することもできますが、風味は落ちることがあります。手作りのジャムは煮沸したビンに入れて保存しましょう。ビンの煮沸は、鍋の底に布巾を敷いてからよく洗ったビンとふたをいれ、ビンがしっかり浸るように水を入れます。鍋を火にかけて、沸騰したら火加減を調節して10~15分程度煮沸してからトングなどを使ってビンとふたをとり出し、ざるなどにふせた状態で自然乾燥させましょう。ジャムが熱いうちに煮沸したビンに入れ、ふたを閉めて逆さまにして冷めるまでおいておきましょう。
【鶏肉のソテー】
【材料】(2~3人分)
・鶏もも肉 600g(2枚)
・塩 少量
・こしょう 適量2
・にんにく 1かけ
・オリーブオイル 小さじ1
・イチジクジャム 大さじ1
・レモンマーマレード 大さじ1
・しょう油 大さじ1
・オイスターソース 大さじ1
・酒 大さじ2
【作り方】
1.鶏肉は、両面をフォークで数か所刺しておきます。
2.1.の鶏肉を適当な大きさに切り分け、塩とこしょうを軽く振っておきます。
3,フライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたにんにくを入れ、鶏肉の皮を下にして並べます。
4.火をつけて、皮に焼き色がつくまで焼きます。残りの調味料を合わせて混ぜておきます。
5.皮にきれいな焼き色がついたら裏返し、裏面にも焼き色がついたら調味料を入れ、ふたをして中まで火を通します。
6.ふたをとり、調味料が煮詰まるまで加熱します。煮詰まったソースにとろみがついてきたら、鶏肉を何度か裏返しながらソースを絡めてできあがりです。
※ 今回はレモンマーマレードとイチジクジャムを使いましたが、他のジャムでも大丈夫です。マーマレードを使うと、ソースに柑橘類のさわやかな風味が残ります。
※ ジャムの甘さによって量を調節してください。
ジャムレシピのまとめ
ジャムは果実に砂糖を加えて煮詰めたもので、古くから保存食としても利用されてきました。ジャムに含まれるペクチンは水溶性食物繊維の一種で、いろいろな健康効果が期待されています。また果物に含まれるポリフェノールは加熱に強く、その効果はジャムにも残存しているといえます。ジャムをお料理にもとり入れて、生の果物とはまた違ったおいしさを楽しみましょう。
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