目次
にんにくとはどんな食材?
にんにくはユリ科ネギ属の植物で、タマネギなどと同様に根元の球根(鱗茎)を主に食用とします。
にんにくの歴史
にんにくの原産地は中央アジアといわれており、紀元前3200年頃には古代エジプトではすでに栽培されていたようです。ピラミッドを作るために働いた奴隷や労働者が、過酷な労働に耐える体力を維持するためににんにくを食べたという記録がピラミッド内部に記されており、クレオパトラも食べていたともいわれています。日本へは中国を経て8世紀頃に伝わったと考えられています。当初は薬として用いられることが多く、にんにくの強壮作用が煩悩を増長するとして、仏教の僧侶の間ではニラやネギなどと同様に食べることが禁じられていました。江戸時代に入り徐々に食材としても利用され始めますが、特有のにおいがなかなか受け入れられなかったようです。庶民に広まったのは第二次大戦後、食の西洋化・多様化に加え、和食と他国の食文化が融合したことで需要が高まっていったと考えられます。
にんにくの種類
にんにくには多くの品種がありますが、栽培に適した気候によって大きく寒地系と暖地系に分類できます。また産地や形状、食用とする部位などで分けることもできます。
・寒地系
日本産の寒地系にんにくの代表は青森産の福地ホワイト六片という品種です。6個の鱗片のひとつひとつが大きく、肉質が締まっていて甘味があるのが特徴です。
・暖地系
暖地系のにんにくは主に九州や四国で栽培されています。上海早生(しゃんはいわせ)や壱州早生(いっしゅうわせ)などの品種があり、鱗片は寒地系のにんにくよりも小さく、12個前後ついているものが多いようです。
・中国産ホワイト
鱗片のひとつひとつは小さく、数が多くついています。鱗片の粒が小さいため皮が剥きにくいことがありますが、家庭では量の調節がしやすいといえます。上海嘉定(しゃんはいかてい)種が有名です。
・一片種にんにく
にんにくの中が分球せず、ひとつの塊になっている品種です。主な品種は中国産の高山種で、にんにく特有のにおいが穏やかでうま味が強いのが特徴です。
・ジャンボにんにく
タマネギほどの大きさがあります。外見がにんにくに似ているのでにんにくの名前が使われていますが、分類上はリーキ(西洋ネギ)の仲間です。においや刺激が穏やかで、食材としてはにんにくよりもネギのような使い方ができます。
・茎にんにく
にんにくが花をつけるために伸ばした茎の部分で、にんにくの芽とも呼ばれます。
・姫にんにく
にんにくを水耕栽培したものです。根元部分だけではなく芽や根、葉なども食べることができます。
・行者にんにく
行者にんにくは北海道の山菜として知られています。にんにくと同じような香りがあり、滋養強壮の効果があるといわれます。成長が非常に遅く、種を蒔いてから収穫までは5年くらいかかります。
にんにくの成分と効果
にんにくは、アリインというにおいの素となる化合物が、いろいろな反応をしながら変化します。
・アリイン
新鮮なにんにくに含まれる成分で、切ったりすりおろしたりすると、アリナーゼという酵素によってアリシンに変換されます。
・アリシン
にんにくのにおいの素となる成分です。強い抗菌作用があります。
・アホエン
アリシンを食用油などの溶媒に溶かしたときに生成する成分です。血流を改善し血栓の生成を防いで、心臓病や脳梗塞の予防に効果があるといわれています。また、抗菌作用もあります。
・アリチアミン
アリシンとビタミンB1(チアミン)が作用して生成される化合物です。アリチアミンは体内でビタミンB1に戻り腸管からの吸収率が高いため、血中のビタミンB1濃度が顕著に上昇することからビタミンB1製剤としても利用されます。疲労回復や滋養強壮の効果が期待されます。
にんにくに含まれる栄養
ビタミンB6
ビタミンB6はタンパク質の代謝に欠かせないビタミンです。肉や魚の料理ににんにくを使うことで、効率よくタンパク質を消化吸収できるといえます。また、ビタミンB6は神経伝達物質の合成にもかかわっています。不足すると皮膚や粘膜にトラブルがおきたり、手足のしびれ、食欲不振、倦怠感、情緒不安定など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
薬膳の効果
強壮作用に優れ、血行を良くして、体を温める効果があり、冷えによる腹痛や下痢に効果があります。抗菌、解毒、鎮静作用があり、気持ちを穏やかにする効果もあります。
にんにくのおすすめレシピ
手に持ったときに重みがあり、結球がかたいものを選びましょう。にんにくは新聞紙に包んでから保存用のビニール袋などに入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。すぐに使わない場合は、表皮をむいてばらしてから、ラップに包むか冷凍用の保存袋に入れて冷凍ができます。使うときは冷凍庫から出して皮をむき、すぐに切ることができます。また、すりおろしたり使いやすい大きさに切ってから、使う分ずつに分けてラップに包み冷凍することもできます。にんにくをすったり切ったりして細胞を壊すことでアリシンが生成され、においも強くなります。においを抑えたいときは、大きめに切って使うとよいでしょう。
【ガーリックライス】
【材料】(2人分)
・にんにく 1かけ
・オリーブオイル 小さじ1
・牛肩ロース切り落とし 150g
・ごはん 350g
・塩・こしょう 適量
・バター 10g
・しょう油 小さじ1
・粉末パセリ 適量
【作り方】
1.にんにくはみじん切り、牛肉は食べやすい大きさに切っておきます。
2.フライパンにオリーブオイルを入れ、弱火でにんにくを炒めます。
3.にんにくの香りが出たら、牛肉を炒めます。色が変わったら、軽く塩・こしょうをしておきます。
4.ごはんを入れて手早く炒めます。全体がよく混ざったら、バターとしょう油を加えてさらに炒めます。
5.最後に塩、こしょうで味をととのえ、粉末のパセリを混ぜてできあがりです。
にんにくレシピのまとめ
にんにくは古くから滋養強壮の効果が知られており、世界各地で食されています。にんにくのにおい成分でもあるアリシンにはいろいろな健康効果があります。冷凍保存が可能なので、毎日のお食事に上手に利用しましょう。
株式会社シルバーライフの【まごころケア食】では、管理栄養士が考えたバランスの良いお食事をご提供しております。健康な毎日のためにぜひお役立てください。
記事一覧へ戻る