目次
オートミールとはどんな食材?
オートミールは、オーツ麦を脱穀して調理しやすく加工したものです。オーツ麦はイネ科カラスムギ属の一年草で、殻の形が燕の姿に似ていることから燕麦(えんばく)や、カラス麦などと呼ばれます。
オートミールの歴史
オートミールの原料であるオーツ麦の原産地は、中央アジアといわれています。古代ギリシャやローマでは家畜の飼料とされていました。ノルウェーやフィンランドなど気候条件が小麦の栽培に適さない地域や、イギリスでは古くから日本の米のように重要な穀物でした。スコットランドやアイルランドでは、オートミールのミルク粥である「ポリッジ」が朝食として食べられています。オートミールは17世紀にアメリカに伝わり、アメリカ人にも親しまれるようになりました。日本に伝わったのは明治時代で、北海道で主に馬のえさとしてオーツ麦が栽培されていました。1933年(昭和8年)「日本食品製造合資会社」という
北海道の食品会社が日本で初めてオートミールを製造し、販売しました。
オートミールの種類
オートミールは、オーツ麦の加工方法の違いによって調理方法や調理時間が異なり、用途によって使い分けることができます。
・スティールカットオーツ
脱穀したオーツ麦を割ったものです。生の麦なので加熱する必要があり、食べやすくするには30分以上煮込む必要があります。
・ロールドオーツ
脱穀した麦を蒸してローラーでのばし、乾燥させたフレーク状のオーツ麦です。蒸してあるのでやわらかくなっていますが、基本的には加熱調理して食べます。
・クイックオーツ
ロールドオーツを細かくしたものです。味付けはされていませんが、そのまま食べることができます。
・インスタントオーツ
ロールドオーツを調理して味付けしたものです。シリアルのようにそのまま食べることができます。
オートミールに含まれる栄養
オートミールは全粒穀物であり、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。穀類の中では比較的タンパク質が豊富であり、GI値が低いのも特徴です。
ビオチン
ビオチンは水溶性のビタミンで、ビタミンB群の仲間です。体内で糖質、脂質、タンパク質などの代謝にかかわる補酵素として必要です。皮膚や粘膜を健康に保ったり、皮膚の炎症を防ぐ働きもあります。さらに髪や爪の健康にもかかわっており、美容にも欠かせないビタミンのひとつです。
パントテン酸
水溶性のビタミンで、いろいろな食品に広く含まれています。体内で糖質、脂質、タンパク質などの代謝にかかわる補酵素として必要です。ホルモンや免疫抗体などの合成にかかわっており、皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きもあります。
葉酸
水溶性のビタミンで、ビタミンB群の仲間です。細胞を作るために必要なDNAなどの核酸を合成するという重要な役割があります。またビタミンB12と一緒に血液を作るために必要です。胎児の成長にも重要な働きをするため、妊娠中の女性には特に必要なビタミンといわれています。
マグネシウム
マグネシウムは骨や歯の形成に必要なミネラルです。体内では多くが骨に存在し、不足すると骨から遊離して働くと考えられています。神経の興奮を抑えたり、血圧の維持にも必要です。
鉄
オートミールは玄米の約2倍の鉄を含みます。体内の鉄のほとんどは、赤血球をつくるヘモグロビンの成分となっており、一部は肝臓などに貯蔵されています。赤血球のヘモグロビンは酸素と結びついて全身をめぐり、体のすみずみに酸素を運ぶ重要な働きがあります
亜鉛
亜鉛は皮膚や粘膜の健康を保つために必要なミネラルです。細胞の新陳代謝が活発なところでは亜鉛が多く必要とされます。口腔内で味覚にかかわる細胞は新陳代謝が活発なため、亜鉛が不足すると味覚の低下がおこる可能性があります。
食物繊維
食物繊維は人の消化酵素で消化されない食物中の成分です。オートミールには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がおよそ1:2の割合で含まれており、これは人の健康を維持するために理想的な食物繊維の摂取バランスといわれています。
・水溶性食物繊維
水に溶ける食物繊維です。腸管内で水分を吸収し、便のかたさを調節する作用があります。また腸内の老廃物や毒素を吸着して便と一緒に排泄したり、腸内環境を整える働きがあります。
・不溶性食物繊維
腸内で水分を吸収して膨張し、腸壁を刺激するので腸の蠕動運動を促進します。また便のかさ(量)を増やすので便秘解消に有効です。
食物繊維は腸内環境を整える働きだけではなく、血糖値の急上昇を抑制したり、血中コレステロールを下げるなどの効果も明らかとなっています。現代の日本人には不足しがちな栄養素であり、積極的に摂ることが勧められています。
薬膳の効果
脾と胃の気を補い、機能をととのえます。食欲不振や疲労に効果があります。胃もたれや腹部の膨満感、便秘などの消化器症状の改善にも役立ちます。
オートミールのおすすめレシピ
オートミールは比較的保存性の高い食品ですが、製品によっても賞味期限が異なります。開封後は密閉できる容器に入れかえ、高温多湿を避けて冷暗所で保存しましょう。穀物なので虫にも注意が必要です。冷蔵庫で保管する場合は、温度差で結露するとカビが発生する可能性があるため、使用後は速やかに冷蔵庫に入れるようにしましょう。使いやすい分量に分けてから冷凍用のチャック袋に入れて空気を抜き、冷凍保存することもできます。冷凍したオートミールは解凍せずにそのまま使うことができます。製品によって違いはありますが、オートミール10gは約30Kcalです。水分を吸収して膨らむので、少量でも満腹感が得らる食品です。
【オートミールの豆乳リゾット】
【材料】(1人分)
・オートミール 30~40g
・玉ねぎ 1/4個
・しめじ 1/3パック
・コンソメ 小さじ1/4
・水 150ml
・豆乳 200ml
・塩、こしょう 適量
【作り方】
1.玉ねぎはスライスし、しめじは小房に分けておきます。
2.鍋に玉ねぎとしめじ、水、コンソメを入れて火をつけます。煮立ったら火を弱めて、ふたをして加熱します。
3.玉ねぎに火が通ったら、豆乳とオートミールを加えます。沸騰しすぎないように火加減を調節して、混ぜながら煮ます。
4.とろみがついてきたら、塩とこしょうで味をととのえてできあがりです。
※ 豆乳を入れたあとは、あまり煮立たせないようにしましょう。
※ お好みで粉チーズや青ねぎなどをトッピングしましょう。
オートミールレシピのまとめ
オートミールはオーツ麦(燕麦)を食べやすく加工した食品です。ビタミンやミネラルをバランスよく含み、食物繊維を豊富に含みます。水分を加えて加熱すると粥状になり、離乳食や高齢者にも食べやすく調理できます。GI値も低く、さまざまな健康効果が期待できるので、日常のお食事にぜひ取り入れてみましょう。
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