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ビーツとはどんな食材?
ビーツはヒユ科フダンソウ属の根菜です。「テーブルビート」や「カエンサイ(火焔菜)」などとも呼ばれます。砂糖の原料になる「てんさい(甜菜)」の仲間で、見た目はかぶと似ていますが、かぶの仲間ではありません。鮮やかな赤い色が特徴で、欧米では一般的な野菜です。とくに世界三大スープのひとつといわれるロシア料理のボルシチには、欠かせない野菜のひとつです。
ビーツの歴史
ビーツは約4000年前に地中海沿岸で栽培が始まったといわれます。古代ローマ時代には発熱や便秘の特効薬として利用されていたようです。日本にいつごろ伝わったのかはっきりとわかっていませんが、1709年に編纂された「大和本草(やまとほんぞう)」に「暹羅大根(シャムロダイコン)」として紹介されている内容が、ビーツと似た特徴を記しています。当時は一般には普及せず、明治時代に再び日本に伝えられたときに、炎のような赤い色から「火焔菜(カエンサイ)」と呼ばれるようになったといわれています。
ビーツの種類
・ビーツ(根菜)
テーブルビーツとも呼ばれます。形はかぶと似ていますが、一般的なビーツは皮も中心部も赤く、かぶよりもやや硬い肉質で特有の甘味と風味があります。輪切りにすると白とピンク色の同心円状の模様が見えるうずまきビーツや、皮は黄色やオレンジ色で中心部が鮮やかな黄色のイエロービーツ(ゴールドビーツ)などもあります。
・フダンソウ(葉菜)
主に葉を食用とする種類です。
・シュガービート(てんさい)
製糖用に生産されています。
生のビーツの下処理方法
ビーツは洗ってから厚めに皮をむき、薄くスライスすると生のまま食べることもできます。アクがあるので、気になる場合は加熱してから使用しましょう。
・ゆでる
根と茎を少し残して切り、水洗いしてから鍋にかぶるくらいの水を入れます。発色をよくするため酢またはレモン汁を少し加えて火をつけます。沸騰したら弱火にして30分を目安にゆでます。粗熱がとれたら皮をむいて、適当な大きさに切って使用します。
・オーブンで加熱
水洗いしたビーツを丸ごとアルミホイルで包み、180℃のオーブンで30~40分焼きます。粗熱がとれたら皮をむいて、適当な大きさに切って使用します。
ビーツの栄養
葉酸
葉酸はビタミンB 群の仲間です。細胞の増殖に必要なDNAの合成にかかわっています。特に胎児は細胞の増殖が盛んで、妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることがわかっています。またビタミンB12と協力して血液をつくる働きがあるため、葉酸の欠乏によって巨赤芽球性貧血という悪性貧血を引きおこす可能性があります。さらに近年は、成人において脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐという研究報告があります。
カリウム
細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。また、神経の興奮や筋肉の収縮にかかわっており、体液のバランスを保つ役割があります。カリウムを十分に摂取することで、血圧の低下や脳卒中の予防、骨密度の増加にも効果的であることがわかっています。
ベタレイン
ベタレインは赤いビーツに含まれている色素です。ベタレインは赤紫色を呈するベタシアニンとベタニン、黄色を呈するベタキサンチンに分けられます。ベタニンは天然色素であり、食品添加物としても利用されています。動物で行った実験では、ベタニンの摂取によってタンパク尿、高血糖、血清クレアチニン、尿素窒素の値を改善させ、腎臓の組織が損傷するのを抑制したという結果が出ており、糖尿病性腎症の改善に効果が期待されています。またベタシアニン、ベタキサンチン、ベタニンには、強い抗酸化作用があることもわかっています。
薬膳の効果
血流を改善し、関節や筋肉の疼痛、生理痛などに効果があります。また肺の機能を助け、胸のつかえや胸痛、喘息などにも有効といわれます。
ビーツのレシピ
現在一般的に出回っているものは缶詰や真空パック詰めなどで、水煮に加工されているものが多いですが、近年では日本国内でも生産されるようになっており、6~7月と11~12月の旬の時期には生のビーツも出回るようになっています。生のビーツは7~8㎝くらいの大きすぎないもので、皮がなめらかなゆがみのないきれいな丸みのものを選びましょう。購入後は葉つきの場合は葉を切り取り、キッチンペーパーなどで包んでからポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。葉もほうれん草と同じような方法で利用できるので、捨てずに食べましょう。
【ボルシチ風ビーツのスープ】
【材料】(2~3人分)
・ビーツ(缶詰) 1缶
・牛肉 100g
・にんにく 1かけ
・オリーブオイル 小さじ1
・キャベツ 80g
・にんじん 小1本
・玉ねぎ 1/2個
・じゃがいも 1個
・コンソメ 小さじ1
・酒 大さじ2
・水 500ml
・ローリエ(あれば) 1~2枚
・塩、こしょう 適量
【作り方】
1.キャベツは洗ってからざく切り、玉ねぎは皮をむいて洗ってからくし切り、にんじんは洗ってから乱切りにします。じゃがいもは洗って皮をむき、食べやすい大きさに切ってからラップに包み、電子レンジでやわらかくなるまで加熱しておきます。
2.鍋にオリーブオイルと、みじん切りにしたにんにくを入れて火をつけます。にんにくの香りがたったら牛肉を炒めます。
3.牛肉の色が変わったら玉ねぎとにんじん、キャベツの芯の部分を入れて軽く炒め合わせます。
4.全体に油がなじんだら、水と酒、コンソメとローリエを入れます。煮立ったら火加減を調節して残りのキャベツも入れ、野菜に火を通します。アクが出たらすくっておきます。
5.野菜に火が通ったらビーツを入れます。ビーツは小さいものは1㎝くらいのスライス、大きいものは半分に切ってからスライスなど、食べやすい大きさに切ります。今回はスライスされている缶詰をそのまま使いました。缶の汁も加えます。
6.再度沸騰したら塩、こしょうで味をととのえてできあがりです。
※ お好みで生クリームやサワークリーム、バター、パセリのみじん切りなどをトッピングしてもおいしいです。
ビーツレシピのまとめ
ビーツはてんさい(甜菜)の仲間で、形はかぶに似た野菜です。特有の香りと甘みがあり、一般的なビーツは鮮やかな赤い色が特徴的です。欧米では一般的な野菜ですが、日本では缶詰など加工されたものが手に入りやすく、下処理の必要がないので便利です。近年では日本国内でも生産されるようになっているので、旬の時期に生のビーツをみかけたら、ぜひ利用してみましょう。
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