つるつるとおいしい海藻、もずく。酢の物や天ぷら、スープにして夏に食べるとおいしいですね。スーパーマーケットの店頭を見ると、手軽に食べられる味付け済のものからさまざまな料理にアレンジができる、味付けされていないものまで実に多くの種類を見ることができます。今回はそんなもずくについてご紹介します。
目次
◆きゅうりと相性がいい「もずく」について
もずくは、熱帯地域から温帯地域にまたがる海域に秋から春にかけて生育します。直径は数mm、長さ数十cmの褐藻類に分類されていて、ナガツマモ目モズク科に属しています。
古くから全国で食用にされてきた海藻の一つで、表面には独特のぬめり成分が分泌されています。日差しが差し込む浅い海で、他の海藻やサンゴなどに付着して育つことから、「藻がつく→もずく」と呼ばれるようになったといわれています。
現在私たちが手にすることができるもずくには、2種類あります。約9割をしめ、広く一般的に知られているのが本もずく(沖縄もずく)、これに対し、細くて生産に手間がかかるものの、とても強いぬめりが特徴のものは細もずくと呼ばれています。
過去には輸入品が多く販売されていましたが、現在では沖縄県で養殖技術が確立し、その収穫量は2020年は22,907tと、全国消費量の約99%を占めています。沖縄近海の航空写真を見ると、黒くて四角いものを海中に見ることができます。これがもずくの養殖網で、この網に生育したもずくをポンプにつないだホースで吸い取って収穫します。
◆もずくに含まれる栄養価について
①マグネシウム
マグネシウムは、カルシウムやリンと共に働き、骨や歯の形成に大切な役割を果たすミネラルです。また、私たちの体内に300種以上もあるさまざまな酵素の働きを助けたり、血液の循環を正常に保ったり、精神を安定させる効果があります。
②鉄
鉄は赤血球中のヘモグロビンの材料となり、私たちが呼吸で取り込んだ酸素を全身に運ぶ役割をしています。平均的な成人の体内には、約4gの鉄が含まれ、そのうち約70%は血液中に含まれています。残りの約30%は肝臓、骨髄などに蓄えられ、必要に応じて血液中に送られています。
③ビタミンK
ビタミンKは、怪我などで出血した際に血液を固める、血液凝固因子を作るために働いています。また、カルシウムを骨に沈着させる作用があるため、骨粗しょう症の治療薬として使用されています。
④ビタミンB2
ビタミンB2は糖質やたんぱく質、脂質の代謝を高める働きがあります。また、皮膚や粘膜の再生を促し、口角炎の予防にもなります。糖尿病を予防する効果もあります。
⑤フコイダン
フコイダンはもずくだけでなく、昆布やわかめに含まれるネバネバ成分で、海流により巻き上げられる砂や岩礁から海藻自身を守ったり、捕食されたりしないように守る役割を果たしています。
フコイダンには免疫力を高める働きや抗アレルギー、抗がん作用をも持っているほか、ピロリ菌を除去する働きも持っています。
⑥アルギン酸
アルギン酸はフコイダンと同じく、もずくや昆布、わかめに含まれているぬめり成分で、食物繊維の一種になります。海藻に含まれるアルギン酸は水溶性のアルギン酸カリウムといい、体内のナトリウムと結合して体外へと排泄する働きがあり、高血圧の抑制に効果があるほか、コレステロールを下げたり腸内環境を整えたりする働きがあります。
◆もずくのおすすめレシピ
もずくと長芋のスープ
もずくと長芋。ともにネバネバした成分を含み、併せて使用するととろりとしてのど越しもよいスープになります。今回は相性がよいポン酢を少し加え、さわやかな味に仕上げました。夏には冷たく、冬には温かく仕上げて一年を通して楽しんでくださいね。
【材料】 2人分
・もずく・・・40g
・長芋・・・80g
・だし汁・・・350cc
・ポン酢・・・大さじ1
【作り方】
①長芋は皮をむき、1~2cm角に切っておきます。
②もずくはさっと洗い、水気を切って食べやすい大きさに切っておきます。
③鍋にだし汁を入れて沸騰させ、長芋、もずくを加えてひと煮立ちしたら火を止めます。
④ポン酢を加え、味を整えます。器に盛り、好みできゅうりの輪切りなどを浮かべて完成です。
長芋、もずく、共に生でも食べられる食品です。夏には冷やしただし汁にこれらの材料を加え、火を使わずに作ることができるメニューとしてもおすすめです。
夏バテなどで食欲が出ない時にはさっと洗ったご飯に冷たく作ったこのスープをかけ、温泉卵を乗せるとさっぱりと食べられて良いですよ。
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◆『もずくレシピ』まとめ
フコイダンやアルギン酸などを豊富に含み、ダイエットや生活習慣病予防になると、昨今の健康情報番組でも取り上げられる機会が増えてきたもずく。スーパーマーケットでも手軽に手に入りちょっと一品足りないときにも便利に使用できますね。
ですが、大量に取り過ぎると下痢を引き起こしたり、ヨウ素を多く含んでいるため甲状腺機能に影響を及ぼしたりすることがあります。市販の味付きのパックなら一日に2パック程度にとどめるなど食べすぎには注意しましょう。
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