赤くて甘酸っぱく、大人から子どもまで、多くの人に愛されるトマト。サラダで生食したり、加熱してトマトソース、トマトケチャップに加工されたり、世界中でなくてはならない食材の一つになっていますね。色みがきれいなだけではなく、トマトには多くの栄養素が含まれています。今回はそんなトマトに秘められた栄養素やおいしいレシピをご紹介します。
目次
トマトとはどのような野菜?
トマトは、南米のアンデス高原が原産とされています。現在原種は9種ほど確認されており、いずれもミニトマトに近いサイズで、鈴なりに実るタイプだということです。
その後、メキシコで食用に栽培されるようになったトマトは、スペイン人がアメリカ大陸探検の際にヨーロッパに持ち帰り、観賞用として栽培されるようになります。
当初ヨーロッパでは、トマト特有の青臭い香りや華やかな色が食用には適さないと考えられていました。食用として利用されるようになったのは、ヨーロッパに持ち込まれてからおよそ200年後ということです。
日本へは17世紀後半頃持ち込まれたとされ、江戸時代前期に書かれた書物、『大和本草』(1709年貝原益軒著)に「唐ガキ」として描かれています。当初は観賞用として栽培されていましたが、明治以降、食用として利用されるようになりました。
旬は梅雨頃から晩夏までですが、現在ハウス栽培のものも含め、通年出回っています。大玉トマトのほか、中玉、ミニトマトのほか、直径が1cm前後のマイクロトマト、また、色も赤いものから黄色、緑色、こげ茶と赤のまだら模様のものなど、現在は様々な種類のものを手にすることができます。
トマトの栄養価は?
① βカロテン
βカロテンはビタミンAとして発育を促し、皮膚や粘膜の保護をするため、免疫力の向上につながります。また、抗酸化作用があり、アンチエイジング効果が期待できます。
大玉トマト100gあたり540μg、ミニトマト100gあたり960㎍のβカロテンを含んでいます。
② カリウム
カリウムは取りすぎたナトリウムを体外へと排せつし、むくみを予防して血圧を正常に保つ働きがあります。また、近年の研究ではカルシウムの骨への沈着を助け、骨粗しょう症予防に一役買っていることが確認されました。
大玉トマト100gあたり210mg、ミニトマト100gあたり290mgのカリウムを含んでいます
③ ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、筋肉や皮膚、骨の組織同士を結び付けるコラーゲンを生成する働きがあります。
また、鉄分の吸収を助け、活性酸素を除去したり、血管を保護したりすることから、動脈硬化や心疾患の予防も期待できます。
大玉トマト100gあたり15mg、ミニトマト100gあたり32mgのビタミンCを含んでいます
④ 葉酸
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、細胞分裂を正常に行い、ビタミンB12とともに血液を作る働きがあります。また、脳卒中、心筋梗塞などの循環器系疾患の発症リスクを軽減する作用があります。
不足すると巨赤芽球性貧血という悪性の貧血を引き起こし、妊娠初期の女性が葉酸不足になると、胎児に発育障害がみられる場合があります。
大玉トマト100gあたり22㎍、ミニトマト100gあたり35㎍の葉酸を含んでいます
⑤ リコピン
リコピンはカロチノイドと呼ばれ、動植物に含まれる赤や黄色、オレンジ色の色素の一つです。日焼けによる肌の回復機能があるほか、抗酸化作用が強いカロチノイドのなかでも、リコピンの抗酸化力はとりわけ強く、カゴメ株式会社が独自に、また、大学等の研究機関と共同で行った研究では、以下のような作用が期待できるということです。
・ハウスダストに対する抗アレルギー作用
・気管支喘息の症状緩和
・スギ花粉症の自覚症状改善
・男性不妊予防、改善
トマトの選ぶポイント
店頭では、以下のような点に注目すると、美味しいトマトを選ぶことができます。
・ヘタが瑞々しいもの
・丸みがあって皮にはピンと張りがあるもの
・ずっしりと重いもの
・色が均一で華やかな赤色をしているもの
・ヘタとは反対側、花付きのあとから放射状に白い筋が広がっているもの
トマトの上手な保存方法
トマトが青い場合は常温でヘタを下にし、赤くなるまで追熟をします。全体に赤くなり完熟しているものは、ヘタを下にしてポリ袋などに入れて密封し、冷蔵庫の野菜室で保存します。
口があいた状態で冷蔵庫に入れると、トマトから発生するエチレンガスの影響で、ほかの野菜の劣化が進んでしまうことがあります。
箱単位で入手した場合は加熱してソースにしたり、冷凍してシャーベット状になったものを夏のおやつ替わりにしたりしてもよいですね。
トマトのおすすめレシピ
【トマトの出汁浸し】
【材料】
・ミニトマト 10個程度
・出汁 200cc
(かつおこんぶ出汁)
・しょうゆ 大さじ1/2~
・みりん 大さじ1
・塩 少々
・酢 適宜
・粉寒天 1g
・かつおぶし、大葉など 適宜
【作り方】
① 鍋に出汁を沸かし、しょうゆ、みりん、塩で味を調えます。トマトの味や酸味が薄い場合は、出汁のほうに酢を数滴落として味を調整します。粉寒天を加えよく混ぜ溶かし、常温程度まで冷ましておきます。
② ミニトマトは洗ってヘタを取り、ヘタの部分を中心に十字に皮に切り目を入れます。
③ 鍋に熱湯を沸かし、30秒程度つけて氷水に放ち、皮をむきます。
④ ①が人肌まで冷めたら③のトマトを浸し、冷蔵庫で30分程度冷やしながら味をなじませます。
⑤ 器にミニトマトと出汁を盛り、かつおぶし、千切りにしてさっと水にさらした大葉などを天盛りにします。
『トマトのレシピ』まとめ
和洋中を問わず、さまざまな食材と相性が良いトマトは、日々の食卓にも欠かせない食材の一つではないでしょうか?
トマトには今回ご紹介した栄養素のほかに、昆布などに含まれるうまみ成分、グルタミン酸が多く含まれています。料理の塩分を控えたいとき、ちょっと味が物足りないときなどに、トマトを少し加えると味が深まり、取れる栄養素の量もアップします。ぜひ日々の食卓に加えてみてくださいね。