きんぴらごぼうや煮物など日本の食卓に欠かせない「ごぼう」。食物繊維が豊富に含まれており整腸効果が高いことでも有名ですが、その他にもがんや糖尿病など生活習慣病の予防にも効果が期待できる野菜です。ごぼうの栄養についてご紹介します。
目次
◆ごぼうについて
ごぼうはユーラシア大陸北部が原産のキク科ゴボウ属に分類される多年草で、11月~1月頃に旬を迎えます。日本には平安時代に薬草として伝えられたと言われています。古くから食べられている野菜ですが、ごぼうを食用としている国は日本や台湾、韓国とごくわずかな国だけです。
ごぼうには整腸効果がある食物繊維が豊富に含まれており、野菜のなかでもトップクラスの含有量です。また、食物繊維の一種であるリグニンは大腸がんの予防にも効果が期待できると言われています。その他にもマグネシウムやカリウム、亜鉛、銅などのミネラルも豊富です。
◆ごぼうの選び方と保存方法
・泥がついているもの
・太さが均一でまっすぐなもの
・ひげ根が少ないもの
泥付きごぼうは新聞紙に包んで冷暗所で立てて保存しましょう。洗いごぼうや新ごぼうはラップに包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。泥付きごぼうは1週間ほどで、洗いごぼうや新ごぼうは2~3日で食べきるのがおすすめです。
◆ごぼうの種類について
・滝野川ごぼう
直径2~3㎝で長さ1mほどになります。現在スーパーで購入できるごぼうの多くがこの滝野川ごぼうから派生したものと言われています。江戸時代初期に東京の滝野川地域で栽培がはじまったことから地名をとって名付けられたそうです。
・新ごぼう
一般的なごぼうは秋から冬にかけて収穫されますが、新ごぼうは4月~6月頃に旬を迎えます。別名「夏ごぼう」とも呼ばれます。完全に成長していない若いうちに収穫するので繊維がやわらかく、優しく上品な香りが特徴です。
・堀川ごぼう
京都の伝統野菜で約400年前から栽培されていると言われています。長さは50㎝前後で一般的なごぼうよりも太く、ビタミンやミネラル、食物繊維もより多く含まれています。収穫するまでに2年以上と時間がかかり、収穫量も少ないことから1本700円前後で販売されている高価な野菜です。
・大浦ごぼう
千葉県匝瑳市大浦地区のみで栽培されている伝統野菜です。長さは60㎝~1mほど、直径が10㎝以上ととても太く中に空洞ができることが特徴です。繊維質は少なめでやわらかく、煮物にして食べられることが多いです。
・葉ごぼう
一般的なごぼうは根の部分を食べますが、葉ごぼうは根・葉・茎とすべて食べることができます。主に関西で栽培されており、3月~4月頃に旬を迎える春の野菜です。根の部分は小さいですがやわらかく、茎の部分はシャキシャキとした食感が特徴、葉にはほろ苦い独特の風味があります。
◆ごぼうに含まれる栄養
【ごぼう(可食部100gあたり)】
エネルギー…65㎉
水分…81.7g
たんぱく質…1.8g
炭水化物…15.4g
カリウム…320㎎
カルシウム…46㎎
リン…62㎎
鉄…0.7㎎
亜鉛…0.8㎎
銅…0.21㎎
ビタミンB1…0.05㎎
ビタミンB6…0.10㎎
食物繊維総量…5.7g
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・食物繊維
ごぼう100g当たりには水溶性食物繊維が2.3g、不溶性食物繊維が3.4gとどちらも豊富に含まれています。不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸い込んで膨らみ、腸を刺激することで便通を促して便秘の解消に役立ちます。また、有害物質を排出する効果もあります。水溶性食物繊維は、腸内環境を整える効果や血糖値の急激な上昇を抑える、コレステロールの吸収を抑制する効果が期待できます。食物繊維は噛み応えがあるので満腹感を感じやすく、しかも低カロリーなので肥満予防にも効果的。糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にも効果が期待できます。
・イヌリン
イヌリンは水溶性の食物繊維の一種です。胃に入るとゼリー状になり糖を包み込んで小腸で糖を吸収しにくくする働きがあります。血糖値の上昇を緩やかにする効果があることから糖尿病の予防に効果があると言われています。また、善玉菌を増やして老廃物の排出を促す効果があるので、腸内環境を整える効果もあります。
・リグニン
不溶性食物繊維の一種であるリグニンは、腸内の発がん性物質を排出する働きがあり、大腸がん予防に効果が期待できると言われています。
・クロロゲン酸
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、優れた抗酸化作用があります。血糖値の上昇を抑える効果や脂肪の蓄積を抑える効果があると言われています。抗がん作用も期待されている成分です。
・マグネシウム
マグネシウムはリンやカルシウムと共に働き、歯や骨を作るのに必要なミネラルです。また、カルシウムと協力して筋肉の働きを調整する役割もあります。さらに、体内の酵素の働きを助けてエネルギー生産にも関わっています。
◆ごぼうの栄養を上手にとるコツ
・皮ごと食べる
ごぼうの皮にはタンニンやクロロゲン酸などのポリフェノールが豊富に含まれています。これらの栄養素を効率的に摂取するためには皮はむかず、たわしや包丁の背などで軽く表面をこそげ取るようにして洗いましょう。また、ごぼうの香り成分は皮に近いところに含まれているので、皮をむかないほうが美味しく食べることができます。
・ささがきや乱切りにする
がん予防に効果が期待できるリグニンは切り口に多く発生します。ささがきや乱切りなど切り口の面積が多くなる切り方にして、少しおいてから調理をすると効率的に摂取することができると言われています。
・水にさらす時間は短時間で
アク抜きのために水にさらす場合は短時間にしましょう。水につけた時に出てくる茶色い成分はポリフェノールです。栄養素をムダなく摂取するためには5分以内が目安。酢水なら1~2分にしましょう。油で炒める料理ならえぐみがそれほど気にならないので、水にさらさずに使用しても大丈夫です。
◆レシピ|鶏とごぼうの煮物
鶏とごぼうで作る定番の煮物。しっかり味でご飯が進みます。
【材料(2人分)】
鶏もも肉…1枚
ごぼう…1/2本
Aだし汁…1カップ
A酒…大さじ1
Aしょうゆ…大さじ2
Aみりん…大さじ2
A砂糖…大さじ1
サラダ油…大さじ1/2
【作り方】
①鶏もも肉はひと口大に切る。ごぼうはたわしなどで表面を軽くこするようにして洗い、ひと口大の乱切りにする。さっと水にさらして水気を切る。
②鍋にサラダ油を熱し、鶏肉を炒める。色が変わったら、ごぼうも加えて炒め合わせる。油が回れば、【A】を加える。
③沸騰したらアクを取り除いて落としぶたをし、弱火で約20分煮る。具材に火が通れば出来上がり。
【ポイント】
・出来上がってから一度冷ますと味がよく染み込みます。
◆ごぼうレシピのまとめ
整腸作用だけでなく、がんや糖尿病などの生活習慣病予防にも効果が期待できるごぼう。栄養を効率的に摂取するためにも皮ごと調理したいですね。炒め物や煮物、炊き込みご飯など様々な料理で栄養満点のごぼうを美味しくいただきましょう。
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