高齢者が住む家は、安全で快適な暮らしを考える必要があります。
どのような住宅で生活するのかについては、さまざまな選択肢があります。
自身の老後を考え始めた方、家族の介護問題を目前にしている方のなかには、「老後はどんな家に住むと安心なのか」「高齢者住宅とはどのような家なのか」などと疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、高齢者住宅とは何か、高齢者の住まいの選択肢について解説します。
目次
高齢者住宅について
高齢者住宅に明確な定義はなく、高齢者が安心かつ快適に暮らせるように配慮された住まいのことの総称です。
そのため、高齢者住宅と称される住まいには、いろいろな種類の住宅があります。
また、それぞれ特色や提供サービス、費用などが異なります。高齢者の受け入れ条件が定められていることも多いので、入居を検討している場合には、事前に確認が必要です。
分類の方法もいくつかありますが、民間と公的な住宅の違いは以下のとおりです。
民間の高齢者住宅
民間の高齢者住宅は、介護サービスや娯楽など提供しているサービスの種類が豊富で、施設ごとに特色を持っています。
身体状態などにもよりますが、比較的選択肢の幅が広いこともメリットです。
ただ、サービスが充実している分、入居にかかる費用は高額になりがちです。
公的な高齢者住宅
民間施設よりも費用を安く抑えられることが一般的です。
費用面からも人気が高いため、入居待ちが長いといったデメリットがあります。
また、要介護度によって入居の可否が決められるなど、入居条件が高く設定されている施設もあるので、検討する際は注意が必要です。
高齢者住宅の選び方
高齢者が安心で快適な暮らしを実現するための住宅選びのポイントは、入居者の身体状態が挙げられます。
当面は自立して生活できる状態なのか、あるいは要介護状態なのかが、大きなポイントとなります。
認知症の有無や、進行度合いによっても、受け入れの可否が変わります。
まずは身体状態によって高齢者住宅のタイプを絞り込み、そのうえで、費用や特色をもとに比較検討するとよいでしょう。
高齢者向けの住宅【介護不要】
現時点で介護を必要としておらず、自立した生活を送れる高齢者向けの住宅としては、次の5つが挙げられます。
①シニア向け分譲マンション
②シニア向け賃貸住宅
③サービス付き高齢者向け住宅
④有料老人ホーム
⑤ケアハウス
①シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションとは、生活をサポートするサービスがある分譲マンションです。
バリアフリーになっているほか、食事の提供や家事代行サービスを受けられたり、図書館やフィットネスジムなどが利用できたりと、暮らしを豊かにしてくれるサービスや設備が整っていることが特徴です。
分譲マンションのため、自分の資産となりますが、その分高額になります。
②シニア向け賃貸住宅
シニア向け分譲住宅のように、バリアフリー化されていることが特徴です。
施設や設備が整っているかどうかについては、運営元によって異なります。
生活に関するサービスや介護サービスはついていないケースが多いので、必要に応じて自分で利用申し込みをする必要があります。
立地や間取りが同条件の一般的な賃貸マンションと比較すると、入居費用は高くなります。
③サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、バリアフリー化されており、広さや廊下の幅などは認定基準に基づいて設計されています。
そのため、高齢者が暮らしやすい環境が整っているといえます。
また、安否確認や生活相談サービスを受けられることが特徴です。
安心した暮らしのサービスを受けながら、自宅と同じ感覚で生活したい高齢者におすすめの住宅です。
有料老人ホームに比べると初期費用が抑えられる反面、一般的な賃貸住宅よりも家賃が高い傾向にあります。
④有料老人ホーム(健康型・住宅型・介護付)
有料老人ホームとは、以下のようなサービスのうち、いずれか1つ以上を提供する施設のことです。
・入浴・排せつ・食事の介護
・洗濯や掃除などの家事
・健康管理
・食事の提供 など
さらに、有料老人ホームは健康型・住宅型・介護付の3つの種類があります。大きく異なる点は、介護が必要になった場合の対応についてです。
・健康型:介護サービスの提供はないので、退去が必要
・住宅型:外部の介護サービス事業者と契約、または住み替え
・介護付:ホーム内に常駐する介護スタッフによって介護サービスが提供される、または介護居室へ住み替え
提供サービスや、介護が必要になったときの対応が、比較ポイントとなります。
⑤ケアハウス
ケアハウスは公的施設で、一人暮らしに不安を抱える60歳以上の高齢者が入居できる住宅です。
食事の提供や生活支援サービス(掃除・洗濯など)、緊急時の対応といったサービスを、民営の施設よりも低価格で提供してくれることが特徴です。
ただし、介護サービスは常設されていないので、介護を受けるには自身で外部事業者と契約を結ぶ必要があります。
高齢者向けの住宅【介護必要】
介護が必要な高齢者を対象とした住宅について、ここでは3種類取り上げます。
①介護型・サービス付き高齢者向け住宅
②有料老人ホーム(住宅型・介護付)
③介護老人保健施設
①介護型・サービス付き高齢者向け住宅
サ高住には、介護が必要な人向けの施設もあります。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護型サ高住では、24時間常駐の介護スタッフによる介護サービスが受けられます。
また、日中には看護師のケアも受けられるなど、手厚いケアが特徴です。
要介護状態になっても、自宅で暮らすように生活したい方におすすめです。
ただし、そこに入居している限りは、指定の介護サービスしか受けられないことが注意点として挙げられます。
②有料老人ホーム(住宅型・介護付)
有料老人ホームとは、要支援・要介護認定を受けている高齢者を対象とした施設です。
食事サービスや生活支援サービス、介護サービスが受けられます。
介護サービスの受け方については、「住宅型」と「介護付」では以下のような違いがあります。
・住宅型:外部の介護サービス事業者と契約する
・介護付:ホーム内に常駐する介護スタッフによる介護サービスを受ける
介護付有料老人ホームでは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていることから、ホーム内に常駐する介護士や看護師によるケア・サポートが受けられる環境となっています。
③介護老人保健施設<
介護老人保健施設では、在宅復帰を目的として心身のリハビリを行うことが大きな特徴です。
そのため主な対象者は、「退院したものの、すぐ自宅に戻るのには不安が残る」といった状態の人となります。
施設において、医師や看護師によるケア、専門家のリハビリを受けられます。
あくまでも在宅復帰を目標とした仮住まいなので、入居可能な期間は3〜6か月程度と短く設定されていることには注意が必要です。
また、共用設備が多くとなっており、多床室がほとんどなので、十分にプライバシーを確保するのは難しいといえます。
今の住まいで暮らし続けたい場合は?
ここまで高齢者住宅を紹介してきましたが、健康状態にかかわらず、「できる限り住み慣れたわが家で暮らしたい」「最期は自宅で迎えたい」と考える人も多いかと思います。
そういった人の場合には、自分の身体状態に合わせてリフォームする方法も考えられます。
バリアフリー化することで、少しでも長く、あるいは最期まで自宅で過ごすことが可能になります。
また、見守りサービスや介護保険サービス、自治体によるサポート、民間のサービスなどを活用するとより安心です。
要介護状態になる前に、利用できそうなサービスの有無について確認しておくとよいでしょう。
早めに計画を立てましょう
高齢者住宅への入居については、これからのライフプランや資金計画などをよく考え、家族とも話し合いながら検討を進めていきましょう。
住宅ごとに対象者や入居条件、入居費用が異なるので、必ずしも希望通りの入居先が見つかるとは限りません。
しかしまず大切にすべきなのは、「自分がどう暮らしたいか」ということです。
「自分らしく生きていくためにはどうすればよいか」を軸に、早めの計画を立てておくといざという時も安心です。
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