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シーチキンとはどんな食材?
シーチキンは、静岡県に本社のあるはごろもフーズ株式会社が製造する、マグロまたはカツオを主原料とした油漬けまたは水煮の缶詰で、商品名の「シーチキン」は1958年に商標登録がされています。
国内販売を開始するにあたり、原料の蒸したビンナガマグロが鶏肉のように白くてやわらかく、味も鶏のささみに似ていることから、「海のにわとり」に例えられて「シーチキン」と命名されました。
シーチキンの原料
・ビンナガマグロ
マグロの仲間の中ではもっとも小型で、大きい個体でも30㎏ほどです。体型はアーモンド型で胸びれが長いのが特徴です。肉の色は白く淡白な味です。
・キハダマグロ
体長が長く、大きな個体は100㎏にもなります。体が黄色味を帯びているのが特徴で、キハダマグロの名前の由来ともなっています。肉質はやわらかく刺身にも利用され、缶詰には10~30㎏程度の比較的小型の個体が使われています。
・カツオ
カツオは大きな群れで遊泳する回遊魚です。背中が暗青色、腹側は銀白色で縞があり、大きい個体でも10㎏程度です。
肉質は赤身でやわらかく味が良いので、鰹節や刺身などに広く利用され、缶詰には比較的大型の個体が使われています。
シーチキンの種類
シーチキンは魚肉の形状によって3種類、調理方法によっては4種類に分けることができます。
【形状による分類】
・ブロックタイプ
ソリッドタイプとも呼ばれます。大きな形のまま缶に詰められています。
・かたまりタイプ
チャンクタイプとも呼ばれます。使いやすい大きさにほぐしてあります。
・フレークタイプ
フレーク状に細かくほぐしてあります。
【調理方法による分類】
・油漬け
綿実油・大豆油を主として野菜エキスを使用したものです。
・油入り水煮
大豆油と野菜エキスを使用し、水煮で仕上げたものです。
・素材そのまま
油を使用せず、まぐろ節エキスとまぐろエキス、またはかつお節エキスとかつおエキスに海水塩を加えて仕上げたものです。
・食塩・オイル
食塩・油を一切加えず、天然水のみを使用したものです。
シーチキンの歴史
マグロ油漬け缶詰はアメリカで1903年に発明されました。
日本でも水産試験場で研究開発が行われていましたが品質の良い製品は完成せず、1929年に静岡県の水産試験場で開発された製品が日本での最初の成功例といわれています。
はごろもフーズの前身である後藤缶詰は、1931年にマグロ油漬け缶詰の製造を始めました。当初はアメリカ向けの輸出製品として製造されていましたが、戦後の復興による食文化の西洋化に伴い、商品名を「シーチキン」として国内販売を始めました。
シーチキンの栄養
タンパク質
タンパク質は糖質や脂質とともにエネルギー源としても利用されますが、体の組織や酵素、ホルモンなどの材料として優先的に利用されます。
摂取されたタンパク質は消化酵素の働きを受けてアミノ酸に分解され血液によって全身に運ばれて、体の各器官や酵素、ホルモンなどを構成します。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収や骨の成長を促進したり、血中のカルシウム濃度を調節するなどの働きがあります。また免疫機能を調節する働きもあり、感染症の発症や悪化の予防にもかかわっていることがわかってきています。
ビタミンE
強い抗酸化作用によって体内の脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化や血栓の予防、血圧の上昇を抑制する働きがあります。
紫外線などの外的刺激から皮膚を守るためのバリア機能を安定させ、血行促進作用によって皮膚の新陳代謝を高める効果もあります。
ビタミンK
ビタミンKは血液凝固にかかわるビタミンです。またカルシウムが骨に沈着するのを促す働きがあるため、骨粗しょう症の治療薬としても利用されています。
ナイアシン
ナイアシンは非常に多くの酵素の補酵素としての働きがあります。
糖質、脂質、タンパク質の代謝や、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復や合成、アルコールの代謝などにかかわるほか、神経伝達物質のひとつであるセロトニンの生成にも必要であり、心の健康にもかかわっていると考えられます。
ビタミンB6
タンパク質の代謝に必要です。免疫機能の正常な働きの維持や皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビン合成にもかかわっています。
ビタミンB12
ビタミンB12は補酵素として、アミノ酸の代謝に必要なほか、正常な赤血球の産生や、組織の機能や発達を正常に維持するために必要です。
DHA・EPA
DHAやEPAは、人の体内ではほとんど作り出すことができない必須脂肪酸の一種です。魚の油に多く含まれており、シーチキンにもDHAやEPAが含まれています。
缶詰の種類によってDHAとEPAの含有量は異なり、日本食品標準成分表2015年版(七訂)脂肪酸成分表でみると、原料がビンナガマグロの水煮タイプが最もDHAとEPAが多く含まれています。
DHAは脳や網膜などの神経系に豊富に含まれている栄養素であり、脳の構成成分として脳の成長に重要であると考えられています。
EPAは血液や血管の健康維持、体脂肪や内臓脂肪などの代謝と深くかかわっていることがわかっており、高脂血症や閉塞性動脈硬化症の治療薬としても利用されています。
薬膳の効果
シーチキンの原料であるマグロには気・血を補い、造血の作用があります。体を温める性質があり、血流を改善・促進することでコレステロールを下げ、動脈硬化を予防する効果が期待できます。
またカツオにも気・血を補う作用があり、胃腸を温めて消化吸収を促進する働きがあります。体力が低下している人や貧血傾向の人、睡眠の質が低下している人などに適した食材です。
シーチキンのレシピ
シーチキンは原料や形状、調理方法によって多くの商品が販売されています。魚が苦手な人でも比較的食べやすく、いろいろなレシピに利用できます。
食べきれなかった分は清潔な容器に入れ替えて冷蔵庫で保管し、できるだけ早く食べきるようにしましょう。
【シーチキン春巻き】
【材料】(15×15㎝の春巻きの皮10枚分)
・シーチキン(今回はシーチキンLを使用)
140g
・玉ねぎ 100g(小さめのもの1個)
・青じそ 5枚
・マヨネーズ 大さじ2
・うま味調味料 適量
・こしょう 適量
・揚げ油 適量
【作り方】
1.シーチキンは、軽くしぼって油をきっておきます。
2.玉ねぎはスライスしてボールに入れ、塩(分量外)ひとつまみを混ぜてしばらくおいておきます。
3.玉ねぎから出た水分をよくしぼります。
4.玉ねぎとシーチキン、千切りにした青じそ、マヨネーズをよく混ぜ、うま味調味料とこしょうを加えて味を整えます。
5.春巻きの皮で包みます。今回は小さめの皮を使っています。通常サイズの皮を使う場合は、材料を2倍量に増やしてください。
真ん中より、やや下方に具を置きます。
春巻きの皮の下側を持ち上げて折ります。
両脇を中心に向かってたたみます。
中の空気を抜くように巻きます。春巻きの皮の上方の三角部分に、水で溶いた小麦粉をつけて止めます。
6.具材を包んだら、あまり時間をおかずに油で揚げます。具材は生でも食べられる食材なので、表面がカラッとおいしそうな色になったらできあがりです。
シーチキンレシピのまとめ
シーチキンはマグロやカツオを原料としています。形状や調理方法によって多種類の商品が販売されているので、いろいろなレシピに利用でき、常備しておくと便利な食材です。
シーチキンは魚が苦手な人でも比較的食べやすく、魚油に含まれるDHAやEPAなども摂取できます。
魚が体に良いことはわかっていても、食生活が肉に偏りがちになることも多いのではないでしょうか。
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