高齢者が暮らしやすい住宅とは?

高齢者が暮らしやすい住宅とは?
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「暮らしやすさ」は、人それぞれの価値観によって異なることがありますし、同じ人でもライフステージによって変化することがあります。

特に高齢者では、心身の機能によって暮らしやすい住宅の条件は大きく変わることもあります。

高齢者が暮らしやすい住宅について考えてみましょう。

高齢者が暮らしやすい住宅のポイント

健康であっても、加齢に伴った心身の機能低下は誰にでも生じます。

若い頃と同じようにはできなくなることもあり、無理をすると事故やケガにもつながります。

高齢者が安心、安全に暮らすためには、住宅やその周辺環境にもチェックしておきたいポイントがあります。

交通機関の充実

住宅周辺の公共交通機関が整っていることは、高齢者にとって暮らしやすい条件として重要です。

自分で車の運転ができる場合であっても、駅やバス停が近く移動手段を選べることは、行動範囲を広げることにつながります。

公共交通機関の整備は都市部と地方では異なり、都市部の方が電車やバスは利用しやすい環境にあるといえます。

地方では高齢になっても自分で車を運転する人も多いため、道路が安全に整備されていることも暮らしやすさの条件といえます。

医療・福祉サービスの充実

慢性疾患の治療で通院が必要な場合はもちろん、ケガや急な体調不良時なども、医療機関が近くにあれば安心です。

すぐに受診できる診療所やクリニック、整形外科や歯科医院のほか、総合病院も通院が可能な圏内にあるのが理想的です。

福祉サービスは自治体によっても制度が異なるため、高齢者福祉サービスの充実した自治体の方が高齢になっても安心して暮らすことができると考えられます。

公共交通機関や公共施設などがバリアフリーであることなども目安のひとつとなります。

医療・福祉サービスの充実

住居の機能とメンテナンス

加齢に伴う心身の変化を考えると、住居内に段差がなかったり、スロープや手すりが設置してあることは暮らしやすさにつながります。

さらに廊下やトイレ、浴室などのスペースが広く取ってあることで、万が一車いすの生活になっても活動的な生活が可能となります。

設備が整っているだけではなく、そのメンテナンスにもできるだけ手間や費用がかからないことも重要です。

持家と賃貸の比較

内閣府による2018年(平成30年)度の「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」では全国の60歳以上の高齢者では「持家(一戸建てと分譲マンションなどの集合住宅の合計)」が88.2%で、9割近くという結果があります。

持家でも賃貸でも、子どもや孫など若い世代が同居している場合と高齢者夫婦または高齢者の一人暮らしの場合ではその暮らしやすさは大きく異なるといえます。

ここでは高齢者夫婦または高齢者の一人暮らしの場合として考えてみます。

持家のメリットとデメリット

持家は比較的若い頃から住んでいるケースが多く、住み慣れていることが最も大きいメリットと考えられます。

周囲の環境を理解していて近隣の人とも面識があることは、高齢になってからの生活には大きな安心感となります。

支払いが終了してしまえば毎月の家賃負担がなく、自分の資産となることもメリットです。

また自由にリフォームが可能なので、暮らしやすいように改装していくこともできます。

毎月のコストは比較的かかりませんが、建物の管理や修繕には、ある程度のまとまった費用が必要となることがあります。

また固定資産税など税金が発生し、自分が亡くなったあとの相続などについても考えておく必要があります。

賃貸のメリットとデメリット

賃貸住宅では毎月の家賃や駐車場代などの支払いが必要ですが、建物の管理や修繕に基本的には費用負担はなく、建物や設備の管理、共有部分の清掃などを大家さんや管理会社に任せておけることは、高齢者にとっては大きなメリットといえます。

しかし加齢に伴って心身に変化が起きたとき、住居内に不便な部分があっても自由に改装はできません。

その代わり、より住みやすい環境の住宅に住み替えることは、比較的簡単にできるといえます。

住宅の種類、戸建てと集合住宅の比較

戸建てでも集合住宅でも、住み慣れている家が暮らしやすいと感じることがあるかもしれません。

しかし高齢者だけの世帯や高齢者の一人暮らしでは、住宅が心身の状態に適していることで安心・安全に暮らせることもあります。

そのため近年は、高齢になってから住み替えるケースも増えているようです。

戸建てのメリットとデメリット

2階建て以上の住宅では階段の上り下りが必要であり、ごみを集積所まで運んだり、庭の管理や家の周辺の清掃など、体力が必要な作業が日常的にあります。

さらに高齢者だけの世帯や高齢者の一人暮らしでは防犯にも注意が必要であり、施錠など日常的な防犯への注意や、賃貸の一戸建てであっても監視カメラの設置やホームセキュリティ契約など個別の防犯対策が必要なこともあります。

戸建てのメリットとデメリット

集合住宅のメリットとデメリット

集合住宅では上下左右に住宅があるため、生活音や振動などには日常的な配慮が必要です。

加齢に伴って聴覚機能が低下することで、気づかないうちにテレビやその他の生活音が大きくなっていることもあるため注意が必要です。

一般的に共用部分については清掃などの必要もなく、エレベーターがあれば階段の上り下りもないため、身体的な負担は少なくなります。

ごみの集積所も敷地内や建物に隣接していることが多いので、離れた場所まで運ぶ必要はありません。

また近年は防犯設備の整った建物が多くなっているため、高齢者だけの世帯や高齢者の一人暮らしでも比較的安心して住むことができます。

高齢者向け、そのほかの住宅

加齢に伴う心身の状態によっては、高齢者だけの世帯や高齢者の一人暮らしにはさまざまな不安も生じます。

健康面の懸念から、住居内での事故や介護が必要となったときのこと、さらには「孤独死」などを心配して住み替えを考えるケースも増えているようです。

そのような場合に選択肢となる住宅にも、いろいろな種類があります。

シニア向け分譲マンション

一般的な分譲マンションと同じく所有権方式のマンションであり、資産として保有でき、売却や相続が可能です。

設備やサービスの内容、料金などはマンションによっても異なりますが、一般的に建物はバリアフリーであり、スタッフが常駐していて日常的な生活支援を受けることができたり、コールシステムや見守りセンサーなどが設置されていることで緊急時の対応が可能です。

また医療機関と提携していて訪問診療や、必要に応じて訪問介護にも対応していることもあります。

サービス付き高齢者向け住宅

一般的には要介護認定を受けていないか要介護度の低い高齢者が入居でき、安否確認と生活相談のサービスが受けられる住宅です。

住宅部分は一般的な賃貸住宅と同様に建物賃貸借契約で、介護サービスを利用する場合には別途介護サービスの利用料が必要です。

中には訪問介護など在宅介護のサービスを併設した介護対応が可能なサービス付き高齢者向け住宅もあり、要介護度の高い高齢者が利用できる施設もあります。

有料老人ホーム

有料老人ホームの多くは利用権方式で、居住部分と生活支援、介護サービスの料金が一体となっており、入居一時金を支払うことで利用権が付与されます。

利用権は相続できないため、利用者本人が亡くなった時点で権利は消滅します。

有料老人ホームは「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類があります。

「介護付き」は自治体から「特定施設入居者生活介護」に指定された施設であり、介護体制が整っており、要介護度の高い高齢者も入居することができます。

「住宅型」は要介護認定にかかわらず、比較的幅広い高齢者が入居できる有料老人ホームですが、介護サービスを受ける場合は外部の介護事業者を通して介護サービスを利用します。

「健康型」は健康な高齢者が対象であり、介護が必要となった場合には退去を求められることがありますが、全国的に数が少なく、マイナーな施設です。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは基本的には要介護3以上の高齢者が入居できる施設です。

原則として終身利用が可能ですが、要介護度の重い高齢者や所得の低い高齢者の保護と支援に重点を置いているため有料老人ホームなどと比較すると費用が安く、入居待機者が多く入居が困難な現状があります。

高齢者が暮らしやすい住宅とは?

高齢者が暮らしやすい住宅は、心身の状態によっても大きく異なります。

現在は高齢者の住居にもさまざまな選択肢があり、心身の状態や経済状況によって自分で選択できる幅も大きくなっているといえます。

現在だけではなく、将来の暮らしやすさについても想像し、対策をしておくことも考えてみましょう。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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