塩糀の効果とおすすめレシピ

塩糀の効果とおすすめレシピ
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塩糀とはどんな調味料?

塩糀は米麹と塩、水で作る発酵調味料です。商品によって「塩糀」「塩麴」「塩こうじ」など表記に違いがありますが、同じものを指しています。「麹」は中国から伝わった漢字であり、「糀」は明治時代に日本でできた漢字で米こうじを指します。

塩糀の歴史

塩糀は、東北地方の伝統的な保存食である「三五八漬け」の漬け床がルーツと考えられています。江戸時代に編纂された「本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)」の「鰯」の部分に「塩麴漬け」の文字がありますが、これは塩分濃度が高く、漬け床として保存食を作る目的で利用されていたものです。

調味料としての塩糀が注目を集めたのは2011年、大分県の「糀屋本店」の女将が、江戸時代の書物を参考に作ったものが全国に広まったといわれています。

塩糀の調理効果

塩糀は主に塩味の調味料として利用されますが、他の調味料と比べると、塩糀自体に個性的な味は少ないといえます。

しかし塩糀には塩味だけではなく甘味や特有の淡い発酵香があり、塩とみりんを一緒に加えたような調味効果があります。さらに塩糀の持つ酵素の働きによって、味付け以外の調理効果が期待できます。

・肉をやわらかくする

塩糀にはタンパク質分解酵素が比較的安定して存在しています。塩糀に肉を一定時間浸けてから加熱調理すると、塩糀の酵素の作用によって肉がやわらかくなります。

・食材自身のうま味を引きだす

塩糀に含まれる酵素の作用によって食材自身が持っている酵素反応が活性化し、新たにうま味成分がうまれます。これは熟成に似た現象であり、塩糀の持つ調理効果の大きな特徴です。

塩糀の作り方

塩糀は家庭でつくることもできます。

材料:生麹、生麹と同量~1.5倍量くらいの水、麹と水を合わせた量の13~20%の塩
準備:ボール、スプーン、計量カップはよく洗って乾燥させておきましょう。

保存用の容器は大きめのものを用意して、よく洗って乾かしておきましょう。ガラス瓶など、煮沸消毒ができるものは煮沸消毒して乾かしておきましょう。

作り方:
1.ボールに生麴を入れてほぐします。
2.塩を加えてよく混ぜてから、保存用の容器に入れます。
3.水を加えて混ぜます。ふたをして常温におき、1日1回かき混ぜます。粒がふやけてとろみがつき、甘い香りがしてきたらできあがりです。完成後は冷蔵庫で保管しましょう。

完成後、冷蔵庫で保管した場合も緩やかに発酵が進みます。発酵を止めたい場合は冷凍保存が適しています。塩分濃度が高いほど保存性が高いといえますが、調理に使用するときには使い過ぎに注意が必要です。

塩分濃度が低いと発酵に時間がかかり、雑菌が繁殖しやすくなる可能性があるため、減塩で作る場合も塩分は10%を下回らないことをお勧めします。市販の塩糀は塩分が13%程度の商品が多いようです。

塩糀に含まれる栄養

ビタミンB群

塩糀にはビタミンBの仲間であるビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、葉酸などがバランスよく含まれています。他の食品と比較して含有量が特別に多いことはありませんが、ビタミンB群が効率よく働くためには、そのバランスも大切です。

人の体内ではさまざまな化学反応が連鎖していて、化学反応を効率よく進めるためには酵素が必要です。そしてその酵素を活性化するために補酵素が必要ですが、ビタミンB群には補酵素としての働きがあります。しかし食品から摂ったビタミンB群はそのままでは働けず、お互いに作用しあって活性型に変化することで働けるようになります。

ビタミンB群は、糖質や脂質、タンパク質の代謝にかかわり、生命活動に必要なエネルギーを産出するために欠かせません。体内に貯蔵しておくことができないため、毎日の食事から摂ることが大切です。

赤血球中のヘモグロビンは成分として鉄が必要ですが、銅は鉄を必要な場所まで運ぶ役割があります。そのため鉄が十分に存在しても、銅が不足していると正常な赤血球がつくれず、貧血の原因となることがあります。また銅は体内の化学反応に必要な酵素としても働き、活性酸素の除去や骨の形成にも役立っています。

モリブデン

モリブデンは、糖質や脂質の代謝にかかわる酵素の成分としての働きや、鉄の利用効率を高めることで造血作用にもかかわっています。

薬膳の効果

麹は脾や腎に働きかけ、消化を促進させたり下痢を止める作用があるといわれています。また気の巡りを良くして、疲労回復や虚弱体質の改善に効果が期待できます。

塩糀のおすすめレシピ

市販の塩糀は、未開封であれば常温で保存できるものが多いですが、保存環境によっては色や風味が変わることがあります。開封後は冷蔵庫で保存し、賞味期限にかかわらずできるだけ早く使用しましょう。

容器によっても異なりますが、チューブタイプの商品は特に注ぎ口が汚れやすいので、使用後は清潔なキッチンペーパーなどで拭きとっておくようにしましょう。

開封後すぐに使い切れない場合は、冷凍保存することができます。使いやすい分量に小分けし、密封できるチャック袋などに入れて冷凍します。使用時は冷蔵庫にもどして解凍し、冷凍前と同様に扱えます。解凍したものはできるだけ使い切り、再冷凍は控えましょう。

【とんかつ】

塩糀をまぶしておくことで、とんかつをやわらかく仕上げることができます。下味も付くので、ソースをかけなくてもおいしく食べることができます。

とんかつ

【材料】(1~2人分)
・とんかつ用豚肉      2枚
・塩糀           大さじ1
・こしょう         適量
・小麦粉          適量
・卵            適量
・パン粉          適量
・揚げ油          適量
・キャベツ         1~2枚

【作り方】
1.とんかつ用の豚肉はスジを切り、フォークで全体を刺しておきます。塩糀を全体に塗り、ラップをして冷蔵庫に入れて30分から1時間くらい置いておきます。

作り方1

2.塩糀を軽く拭って落としてからこしょうを振り、小麦粉をまぶします。余分な粉はよくはたいておきましょう。

3.溶きほぐした卵に豚肉を浸し、パン粉をつけます。

作り方3

4.170℃くらい(パン粉を入れると泡立ち、すぐには色付かないくらい)の油に静かに入れます。表面が固まるまではそのまま静置しておきます。

5.側面に色がついてきたら裏返します。きつね色になり、表面がカリッとして泡が小さくなってきたら油からとりだします。

作り方5

6.油がきれたら、食べやすい大きさに切り、千切りにしたキャベツと一緒に盛り付けてできあがりです。

塩糀レシピのまとめ

塩糀は米麹と塩、水からつくられる発酵調味料で、現在のように一般的になったのは比較的最近のことです。タンパク質分解酵素の働きによって肉や魚をやわらかく、しっとりと仕上げる効果や、食材自身の持つうま味を引きだす効果が期待できます。しょう油やみそなどと同様に常備して、日常のお食事にとり入れてみましょう。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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