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ナンプラーについて
ナンプラー(ナムプラー)はタイの魚醤(ぎょしょう)です。カタクチイワシなどの魚介類を塩に漬け込んで発酵させた、タイ料理には欠かせない発酵調味料のひとつであり、タイでは日本の醤油のようにいろいろな種類の商品が販売されています。
ナンプラーの歴史
もともとはタイに住む中国人が、タイ人向けに魚醤を作ったのがナンプラーの始まりといわれています。タイでナンプラーが一般的な調味料となったのは20世紀の初め頃といわれており、比較的新しい調味料です。
ナンプラーの種類
ナンプラーはカタクチイワシなどの魚介類を塩に漬けて作りますが、原料として使われる魚介類に決まりはなく、いろいろな種類の魚が利用されており、原料の魚介類によって風味も変わります。
魚介類を塩に漬けると数日で水分が出てきて、2週間ほど経つと液体がオレンジ色に変化します。この状態で約1~2年発酵・熟成させて完成します。
・本ナンプラー
熟成後、最初にとれる一番搾りナンプラーは、うま味の濃い極上品として扱われます。
一番搾りのあと、濃い塩水を足して熟成させたものから二番搾りのナンプラーが作られます。この二番搾りまでのナンプラーが本ナンプラーとして扱われます。
・ミックスナンプラー
三番搾り以降のナンプラーをミックスナンプラーと呼びます。搾ったあと、塩水を継ぎ足しながら、通常4回くらい搾ることができるとされています。
魚醤の仲間
ナンプラー以外にも、魚醤は世界各地に存在します。魚介類を塩に漬けこみ、魚介類に含まれる酵素や微生物によって発酵したものから出た液体が魚醤です。
魚介類に含まれているタンパク質が分解されてできたアミノ酸を豊富に含み、塩味とともにうま味のある調味料です。
・ニョクマム(ヌクマム)
ベトナムの魚醤です。ナンプラーと似ていますが、ナンプラーよりも発酵の度合いが低く、香りの強いものが多いようです。塩分濃度は高いのですが、塩辛さはナンプラーよりも比較的弱く感じられます。
・しょっつる
秋田県の伝統的な魚醤です。もともとはハタハタを原料として作られていましたが、現在はハタハタ以外の魚で作られたものもしょっつると呼ばれています。
・魚露(ユーロウ)
中国の小魚を原料とした魚醤です。広東料理や福建料理に多く使われています。
ナンプラーに含まれる栄養
ナンプラーは発酵・熟成の過程で魚のタンパク質が分解され、アミノ酸やビタミン、ミネラルも含んでいます。
醬油と比べると色が薄く透明感がありますが、ナンプラーの塩分濃度は約22%と高く、醤油よりも塩分が多い調味料なので使い過ぎには注意が必要です。
ナイアシン
水溶性のビタミンでビタミンB群の仲間です。体内で500種類以上の酵素の補酵素として働き、糖質や脂質、タンパク質の代謝にかかわっています。
他にも脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復・合成、アルコール代謝などにも必要です。ナイアシンが不足すると、神経伝達物質のひとつであるセロトニンが生成されなくなるため、メンタルの健康を保つためにも重要なミネラルです。
ビタミンB12
アミノ酸の代謝や核酸の代謝、葉酸の代謝に補酵素としてかかわっています。また正常な赤血球の産生に必要で、その他にも多くの体内組織の機能や発達を正常に保つために必要です。
マグネシウム
体内のマグネシウムの半分以上が骨に存在し、骨の成長や強化に重要です。カルシウムの働きとかかわりながら筋収縮を調整したり、血管を拡張して血圧を下げたり、血小板の凝集を抑制して血栓ができにくくする作用もあります。
カルシウムとマグネシウムはお互いに血中濃度を一定に保っているため、マグネシウムとカルシウムは1:2の比率で摂取するのが理想的といわれています。
セレン
体内では主に肝臓や腎臓に含まれており、甲状腺ホルモンの活性化に必要です。
また水銀などの有害物質を無毒化したり、血栓の予防にも役立つといわれています。
セレンは過酸化脂質の分解にかかわる抗酸化酵素の構成成分であるため、強い抗酸化作用を持ち、アンチエイジングやがん予防にも期待されているミネラルです。
ナンプラーのおすすめレシピ
通常は約1年熟成後に商品として販売されますが、約2年熟成させたものは高級品として扱われるものもあります。
長期熟成によってうま味が増す一方で、特有の香りも強くなっていることがあり、好みが分かれることがあります。初めは小さめの商品を購入し、実際に使ってみて好みのものを選ぶとよいでしょう。
開封後は、使用ごとに注ぎ口をきれいに拭きとり、キャップをしっかりと閉めて冷蔵庫で保存しましょう。
保存状態が適切であれば1~2か月は使用できますが、風味が変わることがあります。賞味期限にかかわらずできるだけ早く使い切るようにしましょう。
【エスニック焼きそば】
【材料】(2人分)
・やきそば麵 2玉
・豚ひき肉 140g
・長ねぎ 1本
・ニラ 1/2束
・もやし 1/2袋
・にんにく 1かけ
・サラダ油 小さじ1
・鷹の爪 1本
・ナンプラー 大さじ1
・オイスターソース 大さじ1
・砂糖 小さじ1
・うま味調味料 適量
・塩 適量
・こしょう 適量
【作り方】
1.長ねぎは洗ってから縦半分に切り、斜めにスライスします。ニラは洗ってから3㎝くらいの長さに切っておきます。もやしは洗って水をきっておきます。
2.ナンプラー、オイスターソース、砂糖、うま味調味料を合わせて混ぜておきます。
3.フライパンに、みじん切りにしたにんにくと種をとって輪切りにした鷹の爪、サラダ油、豚ひき肉を入れて火をつけ炒めます。脂がにじみ出てくるまでよく炒めましょう。
4.長ねぎを入れて炒めます。油がまわったら、ニラともやしを入れて炒め合わせます。
5.焼きそば麺を入れ、ほぐしながら炒めます。
6.麺がほぐれたら、合わせておいた調味料を入れます。
7.塩とこしょうで味をととのえて、できあがりです。
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ナンプラーレシピのまとめ
ナンプラーはタイの魚醤で、タイ料理には欠かせない発酵調味料です。魚介類が発酵・熟成することでうま味が生まれ、ビタミンやミネラル類も含んでいます。
ナンプラーを使うことでエスニックな風味になり、いつものお料理にレパートリーが増えます。ぜひ使ってみましょう。
ナンプラーには特有の風味があるので、慣れるまでは使い方に迷うことがあるかもしれませんが、タイ料理だけではなく和食の隠し味としても利用することができます。
魚介類が原料の調味料なので、魚を使ったスープ類や鍋物などにはよく合います。ぜひ使ってみましょう。
しかし塩分濃度が高いので、日本の醤油のように使っていると塩分の摂り過ぎになることがあるので注意が必要です。
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