貧血予防に効果的な食材として知られているレバーは、鉄以外にもいろいろな栄養素が含まれており、とても栄養価の高い食材です。
一般的にスーパーなどに出回っているのは牛・豚・鶏のレバーで、それぞれ味や食感も異なります。
牛・豚・鶏のレバーについて、特徴や栄養をご紹介します。
目次
牛・豚・鶏のレバーの特徴
レバーは、主に食用にする動物の肝臓のことです。一般的に入手しやすいのは牛・豚・鶏のレバーであり、それぞれ形や大きさのほか、味や食感も違います。
・牛レバーの特徴
牛レバーはやわらかい肉質と濃厚な味わいが特徴です。
豚や鶏のレバーに比べるとやや臭みを強く感じることがありますがうま味も多く、下処理を丁寧にすることで美味しく食べることができます。
貧血予防に効果的なビタミンB12や抗酸化作用の強いビタミンEが豊富に含まれています。
レバニラ炒めや揚げ物、赤ワイン煮込み、焼き肉など、しっかりとした味付けの料理に向いています。
・豚レバーの特徴
豚レバーは牛レバーよりも弾力がありしっかりとした食感が特徴です。
3種類の中では最もたんぱく質や鉄分が豊富で低脂肪であり、運動後のたんぱく質補給や貧血が気になる時にもおすすめの食材です。
下処理後しっかりと加熱する、レバニラ炒め、レバーカツ、甘辛煮やクリーム煮などの料理に適しています。
・鶏レバーの特徴
牛や豚に比べてクセや臭みが少なく食べやすいレバーです。
キメが細かくしっとりとした食感で、レバーの中では比較的低カロリー。
糖質のエネルギー代謝に関わるビタミンB1や葉酸が豊富に含まれており、女性に嬉しい食材です。
焼き鳥やしぐれ煮、赤ワイン煮込み、レバーペーストなどがおすすめです。
レバーに含まれる栄養
鉄分を多く含むことで知られているレバーですが、鉄以外にも多くの栄養素を含んでいます。
【レバー可食部100gあたり】
牛レバー | 豚レバー | 鶏レバー | |
エネルギー | 132㎉ | 128㎉ | 111㎉ |
たんぱく質 | 19.6g | 20.4g | 18.9g |
脂質 | 3.7g | 3.4g | 3.1g |
炭水化物 | 3.7g | 2.5g | 0.6g |
ナトリウム | 55㎎ | 55㎎ | 85㎎ |
カリウム | 300㎎ | 290㎎ | 330㎎ |
リン | 330㎎ | 340㎎ | 300㎎ |
鉄 | 4.0㎎ | 13.0㎎ | 9.0㎎ |
銅 | 5.30㎎ | 0.99㎎ | 0.32㎎ |
ビタミンA | 1100㎍ | 13000㎍ | 14000㎍ |
ビタミンB1 | 0.22㎎ | 0.34㎎ | 0.38㎎ |
ビタミンB2 | 3.00㎎ | 3.60㎎ | 1.80㎎ |
ナイアシン | 13.5㎎ | 14.0㎎ | 4.5㎎ |
ビタミンB6 | 0.89㎎ | 0.57㎎ | 0.65㎎ |
ビタミンB12 | 52.8㎍ | 25.2㎍ | 44.4㎍ |
葉酸 | 1000㎍ | 810㎍ | 1300㎍ |
パントテン酸 | 6.40㎎ | 7.19㎎ | 10.10㎎ |
ビタミンC | 30㎎ | 20㎎ | 20㎎ |
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・貧血予防に効果的!鉄
鉄は赤血球中のヘモグロビン作るために欠かせないミネラルです。
ヘモグロビンが酸素と結びついて全身に酸素を運ぶので、鉄が不足すると全身に十分な酸素を運ぶことができずに、疲労感や動悸、息切れ、めまいなどの症状をひき起こす鉄欠乏性貧血の原因になります。
レバーに含まれている鉄は吸収率が高い「ヘム鉄」なので、効率よく鉄を摂取することができます。
・皮膚や目の健康を保つ!ビタミンA
特に鶏レバー、豚レバーに多く含まれているビタミンAは、目の機能維持や皮膚・粘膜の健康を保つために必要なビタミンです。
また肌のハリや弾力を保つ働きがあり、肌荒れ予防にも効果が期待できます。
さらに強い抗酸化作用を持ち、アンチエイジングにも効果があるといわれています。脂溶性のビタミンなので、油と一緒に摂ることで吸収率がアップします。
・DNAを作る材料になる!葉酸
鶏レバーに最も多く含まれている葉酸は、ビタミンB群の一種です。
赤血球を作るために必要な栄養素で、貧血予防にも欠かせません。またDNAやタンパク質の合成にもかかわっており、特に胎児の正常な発達には大切な栄養素です。
妊娠を希望する女性や妊娠中、授乳中の女性は特に、不足しないように摂取することが推奨されています。
レバーの下処理方法
レバーを美味しく食べるには下処理が一番のポイントです。レバーは鮮度が落ちやすいので新鮮なものを購入し、できるだけ早く下処理を行いましょう。
特に臭みの原因になるのは血のかたまりなので、丁寧に取り除きます。
レバーの下処理方法はいくつかありますが、今回は牛乳を使う方法と、酢と塩を使う方法ををご紹介します。
レバーの種類にかかわらず、同じ下処理の方法で大丈夫です。
<牛乳を使う下処理方法>
①レバーを料理に合わせた大きさに切る。
②ボウルに冷水(できれば氷水)を入れ、やさしくかき混ぜるようにしてレバーを洗う。2~3回水を取りかえて血のかたまりを取り除き、水が濁らなくなったら水分をキッチンペーパーでふきとる。
③ボウルにレバーを入れて牛乳をひたひたになるまで注ぎ、ラップをして冷蔵庫に入れて20~30分おく。牛乳を捨てて水洗いし、水分をふき取ってから調理する。
<酢と塩を使う下処理方法>
①~②は、牛乳を使う下処理方法と同じ。
③ボウルにレバーを入れて、レバー100gあたり塩小さじ1、酢大さじ1を入れてもみ込み、ラップをして冷蔵庫に入れて20~30分おく。
④冷水で水が濁らなくなるまで洗い、水分をふき取ってから調理する。
レバーの上手な栄養の摂り方
・玉ねぎやニラと一緒に食べてスタミナ増強
玉ねぎやニラ、にんにくなどの野菜には「硫化アリル」という辛みのもとになる成分が含まれています。
この硫化アリルは刻んだり加熱調理をすることで、ビタミンB1の吸収率を高める作用があります。
ビタミンB1はエネルギー代謝に必要であることから、慢性疲労や筋肉疲労の回復を助ける効果が期待できます。
レバーと玉ねぎやニラを組み合わせたレバニラ炒めは、レバーに含まれるビタミンB1を効率よく摂取でき、疲労回復やスタミナ増強にピッタリの組み合わせです。
・貧血予防にはビタミンCと一緒に食べる
貧血予防に欠かせない鉄はビタミンCを含む食材と一緒にとることで吸収率がアップします。
また、クエン酸など果実に含まれる酸にはミネラルを吸収しやすい状態に変化させるキレート作用があります。
レバーカツに千切りキャベツを添えたり、レモンをしぼって食べるのは、レバーに含まれる鉄を効率よく摂る食べ合わせといえます。
・食べ過ぎには注意
レバーにはビタミンAが豊富に含まれています。
それぞれ100gあたり、牛レバー1100㎍、豚レバー13000㎍、鶏レバー14000㎍です。1日のビタミンA摂取推奨量は成人男性が800~900㎍、成人女性は650~700㎍なので、レバーを100g食べると1日に必要なビタミンAを超える量を摂取できます。
ビタミンAは摂り過ぎると、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が現れる可能性があります。
また妊娠初期にビタミンAを摂り過ぎると、お腹の赤ちゃんの奇形や流産の危険性もあります。
成人1日の耐容上限量は、男女ともに2700㎍です。よほど食べ過ぎなければ心配はありませんが、毎日続けて多量に摂取することは控えましょう。
レバーのおすすめレシピ
牛レバーのカレー唐揚げ
おかずにもおつまみにもピッタリ!カレー風味の唐揚げです。
しょうがやにんにくで漬け込み、カレー粉を衣に混ぜることで臭みも消えて食べやすくなります。
【材料(2人分)】
牛レバー(薄切り)…150g
牛乳…適量
Aしょうゆ…大さじ1/2
A酒…大さじ1
Aおろししょうが…小さじ1/2
Aおろしにんにく…小さじ1/2
A塩…少々
B片栗粉…大さじ2
Bカレー粉…小さじ2
揚げ油…適量
サニーレタス…1枚
レモン…1/4個
【作り方】
①ボウルに冷水(できれば氷水)を入れて牛レバーを入れて洗う。水を2~3回かえて洗い、血のかたまりがあれば丁寧に取り除く。キッチンペーパーで水気をふき取ってボウルに入れ、牛乳をひたひたになるくらいまで注いでラップをかけ、冷蔵庫で約30分おく。
②①の牛乳を捨ててざっと水洗いし、水気をキッチンペーパーでふき取る。ボウルに入れて【A】を加えてもみ込んで20~30分おく。
③バットに【B】を混ぜ合わせ、②の水気を切ってから全体に薄くまぶす。揚げ油を180度に熱し、カラっと揚げる。
④皿にひと口大にちぎったサニーレタスとくし形に切ったレモン、③を盛りつける。お好みでレモンをしぼっていただく。
【ポイント】
・揚げ油はフライパンに1~2㎝程度の少なめの分量でも揚げることができます。
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レバーレシピのまとめ
鉄分豊富で貧血予防に効果的なレバーは、鉄の他にもビタミンやミネラルなどが豊富に含まれている栄養満点な食材です。
独特の臭みも下処理を丁寧にすることで美味しく食べることができます。
下処理に少し時間はかかりますが、慣れてしまえば工程は意外と簡単です。今日の晩ご飯にレバーメニューを取り入れてみてはいかがでしょうか?
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