高齢者のための住まいの工夫 住み慣れた家で暮らし続けたい!

高齢者のための住まいの工夫 住み慣れた家で暮らし続けたい!
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超高齢社会に突入した日本において課題となるのが、老後生活を長く送る人が増加していることです。

内閣府による調査によると、「身体機能が低下しても自宅に留まりたい」と回答した人は65.1%を占めており、最期まで住み慣れた自宅で暮らしたいと考える人が多いことがわかります。

そこで今回は、高齢になっても住み慣れた自宅で快適な暮らしを送るためにはどのような工夫が必要か解説します。

出典:内閣府『平成27年版高齢社会白書|P113 図表 3-6-ウ-1 身体機能が低下した場合の住宅(男女別)

高齢者が住み慣れた家で暮らし続けるためには?

高齢者が住み慣れた家で暮らし続けるためには?

いくら住み慣れた我が家だといっても、高齢になると生活しづらくなることがあります。

加齢に伴い、ライフスタイルや身体状況、金銭的状況に変化が現れるためです。

いまを取り巻く環境や身体の状態とともに、少し先の未来を見据えて、これからの暮らしについて考える必要があります。

同居もしくは子どもと近い距離に住む

高齢者が住み慣れた自宅で暮らし続けるための方法として、子どもと同居したり近距離に住んだりすることが挙げられます。

高齢になると身体機能が弱まるため、ケガや病気のリスクが高まります。

いざという時のために、子どもが近くにいると安心です。また、防犯面からも、子どもが近くにいることが安心材料となります。

近年、共働き世帯が増加していることからも、三世帯同居の良さが見直され、同居や近居の住み替えのニーズが高まりつつあります。

家を高齢者向けの仕様にリフォームする

子どもと同居するかどうかにかかわらず、家を高齢者向けにリフォームすると、快適な暮らしが実現しやすくなります。

リフォームするときは、バリアフリー化が必要です。

バリアフリーの住まいにするときは、段差をなくすことや、転倒を防ぐこと、寒暖差を減らすことがポイントです。

このような仕様にすると、高齢者に限らず、家族全員が安心して快適に暮らせる家になります。

【場所別】バリアフリーな家づくり

【場所別】バリアフリーな家づくり

バリアフリーな家づくりは、子どもから大人、高齢者まで、家族みんなが安心して快適な暮らしをすることにつながります。

ここでは、バリアフリーな家づくりをするときの工夫を紹介します。

場所別に工夫のポイントをまとめていますので、リフォームを検討するときの参考にしてください。

①トイレは寝室の近くに作る

トイレは、寝室のそばに作りましょう。

加齢とともに、夜間にトイレに行く頻度が増えます。また夜間に移動するときは、転倒リスクが高まります。

そのほか、ヒートショック(※)のリスクを抑えるためにも、寝室の近くにトイレがあると安心です。

また、手すりは必須で、トイレの広さについては車椅子+人ひとり分のスペースがあることが理想的です。

※気温の変化によって血圧が上下し、脳内出血や心筋梗塞、脳梗塞などが起こること。11月〜2月までの浴室や脱衣所、トイレなどで起こる可能性が高いとされている。

②洗面台は高さに注意

洗面台は、高さに工夫が必要です。

一般的な大人が使う高さだと、車いす生活になったときに不便になります。

あらかじめ、車いすに乗った時の高さを想定しておくことも、ひとつの方法です。

また、車いすのまま洗面台が利用できるような工夫も必要です。そのためには、洗面台下部の収納スペースをなくすことになります。

③廊下は幅広く

廊下についても、車いす生活になった場合を想定して、広いスペースを確保できることが理想です。

広さの目安は、介護者と被介護者の2人が並んで歩ける幅に、車いすに乗った場合を想定してプラスアルファした広さです。

最低でも、90cmの幅が必要だとされています。

そのほか、手すりをつけることや、すべりにくい床材を用いることも必要です。

夜間の安全な移動のために、足元ライトを設置するなどの工夫も求められます。

④玄関から廊下にかけてスロープを設置

廊下や階段はもちろん、玄関部分にもスロープを設置する必要があります。

玄関スロープは案外スペースを要するので、できれば家作りの段階から想定しておくと安心です。

高齢者の安全を守るためのバリアフリーな家づくりには、段差をなくすことが必須なので、上がり框は10cmを限度としましょう。

また、玄関扉は開き扉ではなく、引き戸にすることで出入りがしやすくなります。

靴の着脱をするときには、手すりがあると便利です。ベンチを設置するなどの工夫もおすすめです。

⑤バスルームにはすべり止めが必須

バリアフリーで大切なことのひとつに、転倒防止も挙げられます。

特に滑りやすいバスルームでは、床だけでなくバスタブにも、すべりにくい工夫が必要です。脱衣室と浴室の段差をなくすことも大切です。

バスルームの洗い場についても、車いす生活を想定した広さを確保することが望ましいでしょう。

高齢者の暮らしの工夫ポイント4つ

ここまで、バリアフリーの必要性やそのための工夫について述べてきましたが、高齢者の生活面における工夫についても紹介したいと思います。

高齢者自身が生活のなかで意識することも大切ですが、身近な人が、以下のような工夫ができるようにと高齢者をサポートしてあげましょう。

①快適な温度で健康維持

住宅における断熱の必要性が謳われて久しくなりますが、高齢者の暮らしにもやはり欠かせないポイントです。

高断熱・高気密な家は、夏は涼しく、冬は暖かい住まいが実現します。冷暖房機に頼らずに快適な温度が維持できるので、健康的かつ経済的な暮らしにつながります。

また家の中の温度が一定に保たれやすいことから、ヒートショックのリスクも避けられます。

高齢者の健康的な暮らしを維持するには、温熱環境に関する工夫が必要です。

②社会とのかかわりを持ちやすい環境づくり

社会との接点を持つことは、高齢者の心身の健康にとって欠かせません。

毎日わずかな時間でも、人と会ったり話したりする機会があれば、孤独感を感じにくくなり、認知症予防にも有効です。

また家族や友人、知人と会う以外にも、地域のイベントに参加したり、シルバー人材センターに登録して仕事をしたりすることも効果的です。

社会参加して生きがいを感じることは、QOL向上にもつながります。QOLは高齢者の健康寿命に欠かせない要素のひとつです。

③高齢者が自立できる生活

高齢者自身ができることは積極的に行うようにして、自立した生活を維持し続けることも重要です。

たとえば、自分でトイレに行って排泄できるかどうかは、人間の尊厳にかかわることです。

介護の現場でも、要介護者自身ができることはなるべく自分でしてもらうということが基本の考え方です。

自立するということは、身体の機能を維持することだけでなく、生きる気力を保つことにもつながります。

④コンパクトな生活で動きやすい工夫

生活動線や家事動線を意識して、家具の配置などを考える工夫も必要です。

高齢になると転倒のリスクが高まるため、必要以上に移動する必要がなくなるようにします。

なるべくコンパクトな空間で生活が完結できるように、室内を工夫しましょう。

暮らしの工夫をして、高齢者の安心安全で快適な生活を守りましょう

身体の衰えを感じても、住み慣れた自宅での暮らしを選択したいという高齢者は多いということです。

そのためには、高齢になっても暮らしやすい工夫が求められます。

バリアフリーな家を考えたときにポイントとなるのが、段差をなくすこと、転倒を防止すること、寒暖差を減らすことです。

また、バリアフリーな家づくりだけでなく、日々の過ごし方の工夫によって快適な生活を維持することも大切です。

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この記事の作成者:槌谷 久佳(ライター)
この記事の提供元:シルバーライフ

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