目次
トマトケチャップとは
トマトケチャップは完熟したトマトを加熱して煮詰めたトマトピューレに、調味料や他の野菜などを加えて作られる調味料です。日本では「ケチャップ」というとトマトケチャップを指します。
トマトケチャップの歴史
「ケチャップ」にはもともと魚醤の意味があるといわれており、中国に古くからある、魚介類を発酵させた液体に香辛料を加えた調味料「鮭汁(Koe-chiap)」を起源とする説が主流です。これが東西貿易が盛んになる17世紀頃にアジアからヨーロッパに伝わり、ヨーロッパではカキやロブスターなどの魚介類の他にも、フルーツやキノコなどを材料としたケチャップがつくられるようになりました。
イギリスで作られたマッシュルームケチャップは、現在も調味料として製造・販売されています。18~19世紀にアメリカに渡ったヨーロッパ人がトマトでケチャップを作り始め、当初は家庭で手作りされていました。工場で大量生産されるようになると、完熟トマトに砂糖や塩、スパイスなどを加えたレシピは製造業者それぞれが工夫を凝らし、安価でおいしいトマトケチャップは輸出品としても重要でした。
日本には明治時代にアメリカから伝わり、当初は輸入品が販売されていましたが、1903年(明治36年)に横浜の清水屋が国内初のトマトケチャップを製造し販売しました。また1908年(明治41年)から、現在のカゴメ株式会社もトマトケチャップの製造・販売を始めています。
戦後、洋食の普及に伴ってトマトケチャップも日本の食文化に浸透し、昭和初期には家庭でもチキンライスやナポリタンなど、トマトケチャップを使って味付けをする料理が作られるようになっていき、家庭でも欠かせない調味料のひとつとなりました。
トマトケチャップの特徴
トマトケチャップの原料であるトマトが赤いのは「リコピン」という赤い色素によるものです。リコピンはカロテノイドの一種ですが、カロテノイドの中でも抗酸化作用が非常に高く、ビタミンEの100倍以上ともいわれ、生活習慣病の予防やアンチエイジング効果などが期待されています。
トマトケチャップの原料となる加工用トマトは生食用のトマトの2~3倍のリコピンが含まれているといわれています。また生のトマトよりもトマトケチャップのような加工品の方がリコピンの吸収率が高いということもわかっています。リコピンは油と一緒に摂ることで吸収率が高まるため、オリーブオイルなどと組み合わせて料理に使うと、効率よく摂取できるといえます。
トマトケチャップの効果
トマトケチャップを料理に使うことで、味付け以外にもいろいろな効果が期待できます。
・うま味の効果
原料であるトマトにはうま味成分の一種であるグルタミン酸が多く含まれており、完熟トマトを煮詰めたトマトケチャップにはうま味が凝縮されているといえます。グルタミン酸はコンブにも含まれるうま味成分で、肉や魚に含まれるイノシン酸やキノコ類に含まれるグアニル酸などと一緒になることでうま味の相乗効果が生まれます。
トマトケチャップはしょう油やみそと比較すると塩分の少ない調味料で、甘味や酸味、香りのバランスが良くうま味成分が豊富であるため、調理に利用することで減塩の効果も期待できます。
・臭みを消す
トマトの香り成分のひとつであるシトラールには、肉や魚介類の臭みを消す効果があります。トマトケチャップに肉や魚を漬けこんだり、一緒に煮込んだりすることで臭みが軽減されてうま味がより引き立ちます。
・クエン酸
原料であるトマトにもクエン酸が含まれていますが、多くの商品には材料のひとつに酢が使われています。お酢にはタンパク質を分解する効果があるため、肉や魚をやわらかくする効果が期待できます。
トマトケチャップの栄養
トマトケチャップの原料は加工用に栽培されたトマトです。加工用のトマトは生食用のトマトとは栽培方法が異なり、完熟してから収穫されるため、生食用のトマトよりも多くの栄養を含んでいるといわれています。また収穫後すぐに加工されるため、栄養の損失も少ないといえます。
βカロテン
βカロテンは、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。皮膚や粘膜を丈夫にしたり、視機能の維持や免疫機能の強化、アンチエイジングなどの効果が期待できます。
ビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用によって血管の老化を抑制したり、体内で発生する過酸化脂質の増加を抑制する働きがあります。血流の促進やホルモンのバランスを整える作用によって、肩こりや冷え性、月経不順の改善にも効果が期待できます。
モリブデン
糖質や脂質の代謝、尿酸の代謝などに関与しています。鉄分の働きを高め、造血作用を促進する働きもあります。
薬膳の効果
トマトケチャップの材料であるトマトには体の中の熱を冷ます効果があり、口の渇きを癒します。胃腸の働きを高めて消化を促すので、食欲不振にも効果があります。
トマトケチャップのレシピ
トマトケチャップは開封後は冷蔵庫に保存し、1か月を目安にできるだけ早く使いきるようにしましょう。
容器の形状によっても異なりますが、キャップや注ぎ口には使用時に汚れがつきやすいので、使用後はキッチンペーパーなどでふき取っておき、酸化を防ぐためにキャップをしっかりと閉めて保存しましょう。トマトケチャップは保存中に水分が下に溜まることがあります。使用前に容器を振ってから使うようにしましょう。
【ポークケチャップ】
【材料】(2~3人分)
・豚肉(生姜焼き用) 8枚(400g)
・塩 少量
・こしょう 適量
・片栗粉 適量
・玉ねぎ 1/2個
・しめじ 1/2パック
・オリーブオイル 大さじ1
・酒 大さじ1
・みりん 大さじ1
・トマトケチャップ 大さじ5
・しょう油 小さじ1
【作り方】
1.玉ねぎはスライス、しめじは小房にほぐしておきます。
2.豚肉はスジを切り、塩・こしょうをふっておきます。
3.豚肉に片栗粉を薄くまぶします。
4.フライパンにオリーブオイルを入れて火をつけ、豚肉を焼いていったんとり出しておきます。
5.同じフライパンで玉ねぎとしめじを炒めます。必要に応じてオリーブオイル小さじ1(分量外)を足してください。
6.玉ねぎがしんなりしたら、残りの調味料と水大さじ2(分量外)を入れて混ぜます。ソースが煮立ったら豚肉を戻して絡めてできあがりです。
トマトケチャップレシピのまとめ
ケチャップは加工用の完熟したトマトを煮詰め、調味料などを加えたものです。完熟トマトを原料とすることでうま味や栄養が凝縮しており、特にリコピンは、生のトマトよりも吸収率が高いといわれています。洋食だけでなく、いろいろな料理に利用してみましょう。
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